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非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第17話 川沿いの村を数えよ

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(二)細くなった道

◆ (三)三つの村


一行は、その日のうちに三つの川沿い村を回った。

最初は東川村。

カランタに近く、川沿いの荷運びが多い村だった。

村へ入る前から、新しい車輪跡が何本も見える。


神殿の水祓い札は新しい。

村人は、前回巡回した神官の顔を覚えていた。

川の水位を記した杭も立っている。


「雨の後は、村の者が分院へ知らせています」


村人の一人が言った。

セリアが記録を確認する。


「ギルドにも報告が届いています。荷運び依頼も定期的にあります」


理人は表へ書いた。

東川村。

町や神殿との接触があり、報告経路も機能している。直近の巡回も確認できたため、対応は通常確認。


次は南瀬村。

橋が新しく、村からカランタへ向かう荷車も定期的に出ている。

神殿の祈祷記録も新しい。

村人の一人は、分院の神官が次に来る時期まで知っていた。


「少なくとも、町との接触はあります」


セリアが言う。

理人はうなずき、表へ書いた。

南瀬村。

町との接触があり、巡回と異常報告も確認できた。対応は通常確認。


最後は水原小村。

村は小さい。

道も狭い。


だが、最近入った神殿巡回の記録があり、村人も担当した神官の名を覚えていた。

川の濁りが強かった日について、ギルドへ知らせた記録も残っている。

リナは荷役獣の耳と足運びを見た。


「道は狭いけど、嫌がってない。柔らかい場所も少ない」


理人は表へ書く。

水原小村。

規模は小さいが、町との接触と報告経路は維持されている。最近の巡回も確認できたため、対応は通常確認。


三つの村を回った時点で、日が傾き始めていた。

その日はカランタへ戻る。


理人は夜、確認表を広げ直した。

東川村。

南瀬村。

水原小村。

すべて小さな問題はある。


だが、町や神殿との接触は続いている。

異常があれば、何らかの形で報告が届く。


白倉村だけが違う。

台帳と水祓い対象には含まれているが、直近の巡回は確認できない。荷運びと祭礼参加は減り、ギルドへの依頼も少ない。現在の報告経路も不明だった。

理人は、白倉村の行に線を引いた。

消えてはいない。


ただ、薄い。

エルネストは向かいの席から、その線を見ていた。


「明日は、そこですね」

「はい」


理人は答えた。


◆ (四)細くなった道


翌朝、一行は日の出前にカランタを出た。

白倉村までは、川沿いに半日ほどだという。

最初の道は広かった。

荷車が二台すれ違える。

川も穏やかで、道の端には新しい車輪跡が残っている。


だが、途中から道が細くなった。

石が崩れたままになっている。

古い橋の板は一枚外れ、端へ寄せられていた。

荷車が通れないわけではない。

橋板を避け、慎重に進めば渡れる。


ただ、進んで使いたい道ではなかった。

リナが荷役獣の耳を見る。


「ここ、嫌がってる」

「橋か?」

「橋の前。石の下が少し動く」


理人はしゃがみ、地面へ手を触れた。

表面は乾いている。

だが、踏み込むと石の下から湿った土が見えた。


「雨の後は、もっと崩れますね」


セリアが言う。


「荷運びが減った理由の一つかもしれません」


理人は周囲を見た。

新しい車輪跡は少ない。

歩いた跡も薄い。


道の脇にある小さな祠は、屋根の一部が落ちたままだった。

少し先にある休憩所も使われていない。

薪は古く、腰掛けには苔が生えている。


「荷が減ると、人の行き来も減る」


理人は言った。


「人の行き来が減ると、知らせも減る」


リナが頷く。


「村がなくなったわけじゃないのに、遠くなるんだね」


理人は細い道の先を見た。

白倉村までの距離そのものは変わっていない。


だが、通る者が減った。

道を直す者も減った。

途中で話を受け取る者も減った。

何か起きても、誰かが町へ持ち帰る機会が少ない。


「村が遠くなったんじゃない」


理人は言った。


「連絡の経路が細くなったんだ」


後ろで、筆が紙を擦る音がした。

記録係の神官が、その言葉を書き留めていた。

エルネストは何も言わなかった。

ただ、細くなった道を長く見ていた。



※第17話「川沿いの村を数えよ」は全八回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

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