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非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第14話 未来形ではなく、遠いということ

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(六)未来・距離表現

◆ (十五)仮対応表


理人は木片では足りないと判断し、セリアに紙を頼んだ。

セリアは渋い顔をする。


「紙は安くないんですけど」

「価値を出します」

「先に言うようになりましたね」

「この一か月で学びました」

「誰にですか」

「主にセリアに」


セリアはため息をつきながらも、紙を机へ置いた。

理人は神託の写しを横に並べ、上部へ題を書く。

神託文中の未来・距離表現に関する仮対応表。

その下へ、項目を作った。


神託文の語。神殿側の訳。現地で受ける感覚。理人の仮説。距離の種類。

時間的な遠さか。空間的な遠さか。情報の未到達か。次に見るもの。


一つ目の語。遠き水。


神殿側の訳は、いずれ来る水の災い。

リナの感覚は、遠い。まだ届いていない。

理人の仮説は、離れた場所、未確認の場所、またはまだ届いていない水の異常。

距離の種類。時間。空間。情報の未到達。どれかは未確定。

次に見るもの。川の濁りの記録。雨の後の荷運び報告。上流と下流の水の違い。


二つ目の語。後なる濁り。

神殿側の訳は、後に来る災い。

リナの感覚は、後ろから来る。遅れて届く。

理人の仮説は、雨の後に届く濁り、または今いる場所にはまだ届いていない異常。

距離の種類。時間。川の流れ。確認不足。


次に見るもの。川沿いの報告。雨後の道の状態。荷車の遅延記録。水を使う倉庫の記録。


三つ目の語。雨とともに来たり。

神殿側の訳は、来たる雨に備えよ。

リナの感覚は、向こうから近づく。ただし、時だけではない。

理人の仮説は、雨期そのもの、または雨によって運ばれてくる外部要因。

距離の種類。時間。外部からの移動。到達。


次に見るもの。雨期前後の川の変化。過去の水祓い記録。雨の前後で増えた依頼。


四つ目の語。呼ばれし村。

神殿側の訳は、古くからある村。

リナの感覚は、昔の言い方。ただし、今も残っている。

理人の仮説。過去側の表現と、現在の残存状態が一致していない。

距離の種類。分類保留。


次に見るもの。水祓い対象の台帳。神殿の訪問記録。村の名称と古い名称。


五つ目の語。呼ばれぬまま残る。

神殿側の訳は、祈りを忘れるな。

リナの感覚は、呼ばれていない。でも残っている。

理人の仮説。何らかの対象から外れたまま、存在している可能性。

ただし、何の対象かは不明。


距離の種類。分類保留。

次に見るもの。水祓いの巡回記録。神殿からの訪問頻度。ギルド依頼の発生頻度。荷運びの往来。近隣の村との交流。


セリアは、理人の書いた表を見ながら、だんだん真顔になっていった。


「これ、神託の解釈というより、調査票ですね」

「その方が使えます」

「神官が聞いたら怒りますよ」

「すでに一人怒らせました」

「胸を張るところではありません」


理人は表へ目を戻した。


「神託が当たるかどうかを決めたいわけではありません」

「では?」

「次に何を見るかを決めたいんです」


リナが表を見て、小さく言った。


「未来じゃなくて、遠いものを見る」


理人はうなずいた。


「そうだ」


リナは最後の二行を指した。


「こっちは、まだ分からないね」

「まだ分からない」

「過去なのに、残ってる」

「そう見える」

「誰に呼ばれてたのかも分からない」


理人は手を止めた。

そこも重要だった。

村の名前を呼ぶことなのか。

祈祷の対象として呼ぶことなのか。

助けを求めて呼ぶことなのか。


台帳に載せることなのか。

まだ、何も決められない。

理人は、その二行へ分類保留と書いた。

分からないものを、分かった形にしない。

そのための表でもあった。



※第14話「未来形ではなく、遠いということ」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

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