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非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第21話 開示権限がありません

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(四)次に見るもの

◆ (十五)未開示の場所


理人はノートの新しいページへ、開けなかった項目だけをまとめた。

流入主体。流入理由。勇者呼出対象外の理由。加護が付与されていない理由。言語理解支援が付与されていない理由。勇者呼出判定不成立の理由。介入判断規則。上位命令。

すべて、情報がないとは言われていない。


返されたのは、

開示権限がありません。

という言葉だった。

リナがページをのぞく。


「分からないことばっかり」

「でも、分からない場所は分かった」


理人は答えた。


「前よりは進んでる」


エルネストがうなずく。


「無知なのではなく、未開示」

「はい」


存在するかどうかも分からない情報を探すのと、存在するが閉じられた情報を開くのとでは、進め方が違う。

次に探すべきなのは、答えではない。

開くための条件だった。


◆ (十六)ここにいる


しばらく、誰も話さなかった。

白い女性だけが、静かに待っている。

リナは理人の袖を握ったままだった。


「理人は、ここにいるよ」


理人はリナを見る。


「うん」

「元の体は、もう動かないんだよね」

「そうみたいだ」

「でも、理人はここにいる」


リナは少しだけ強く袖を握る。


「それは、なくならないよね」


理人は答えるまでに時間がかかった。


「なくならない」


口にすると、ようやく息が入った。

エルネストが深く頭を下げる。


「山科殿。あなたの記録へ立ち会ったことを、軽く扱いません」

「お願いします」

「神殿に残すべき記録と、残してはならない情報を分けます」


理人はうなずいた。

記録は必要だ。

だが、残せばよいわけではない。

情報は、持つ者によって人を守りも、傷つけもする。


◆ (十七)次に見るもの


理人は新しいページを開いた。

次に見るべきもの。

一、勇者呼出判定が不成立になった理由。

二、危機種別評価とは何か。

三、現地対応可能性評価とは何か。

四、勇者では対応できない危機があるのか。

五、魔王は現在の危機の主要因なのか。

六、勇者を呼ぶことで悪化する条件があるのか。

七、制度、物流、記録、神託運用の不足は、危機評価に含まれるのか。

書き終え、筆を止める。


魔王。勇者。危機。現地対応可能性。

ようやく、一つの線が見え始めていた。


勇者がいない理由は、勇者が不要だからとは限らない。

勇者だけでは足りないのかもしれない。

勇者を呼ぶという方法そのものが、今の問題に合っていない可能性もある。

理人は白い女性を見る。


「勇者呼出判定が不成立となった理由を、照会します」

『当該照会には、危機種別評価および介入判断規則が含まれます』

「分かっています」


理人は答えた。


「開示範囲判定から始めてください」


◆ (十八)閉じないノート


『開示範囲判定を開始します』


白い女性は、変わらず穏やかに微笑んでいる。

理人はノートへ目を落とした。

原世界肉体状態。生命活動停止。勇者呼出対象。否。加護・支援。付与なし。言語理解支援。付与なし。魔力経路接続。なし。

自分は勇者ではなかった。

女神から力を与えられた者でもなかった。

言葉も、自分で覚えた。

記録も、自分で残した。

何もなかったからこそ、見えたものもある。

言葉が通じない不便さ。情報が落ちる怖さ。制度の外に置かれる危うさ。


理人は、自分の名前を見る。

山科理人。

この世界へ来た理由は、まだ開かない。

勇者ではない理由も、まだ開かない。

だが、勇者呼出判定が不成立だったことは分かった。


次の問いも決まった。

理人はノートを閉じなかった。

まだ、閉じる時ではなかった。


◆ (十九)ログ


ログ

個体履歴:部分開示

原世界状態:確定

対象個体支援:付与なし

勇者呼出判定:不成立

注記:

対象個体に死亡認識が発生。

介入判断領域への照会要求を確認。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

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