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非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第21話 開示権限がありません

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(三)開示権限がありません

◆ (十一)開示権限がありません


理人は問いを続ける。


「なぜ、俺は勇者呼出対象ではないのか」

『開示権限がありません』

「なぜ、加護が付与されていないのか」

『開示権限がありません』

「なぜ、言語理解支援も付与されていないのか」

『開示権限がありません』


同じ答えが返る。

だが、理人は苛立たなかった。

無回答ではない。

理由がないのでもない。

理由は存在する。

ただ、現在の理人には開示できない。

ノートへ書く。

勇者呼出対象外の理由。制限対象。加護がない理由。制限対象。言語理解支援がない理由。制限対象。


「本人の情報でも開示されない?」

『当該項目は、個体履歴の本人開示範囲に含まれません』


個人情報の保護とは別の壁だった。


◆ (十二)変わる権限


「俺に開示権限がない、ということですか」

『現在の照会権限では開示できません』


理人は、現在という言葉へ線を引く。


「照会権限は変わる可能性がありますか」


短い沈黙。


『条件により変動します』


理人の筆が止まる。

固定ではない。


「変動条件は?」

『開示権限がありません』


エルネストが、苦笑に近い息を漏らした。

理人も少しだけ口元を歪める。


「そこも開かないか」

『はい』


自然な返事だった。

リナが首をかしげる。


「開ける方法があることは、分かったんだよね」

「そうだな」


条件はある。

権限も変わる。

だが、その条件を知る権限がない。

理人はノートへ書いた。

照会権限。条件により変動。変動条件。開示不可。

壁はある。

だが、動かない壁ではなかった。


◆ (十三)勇者呼出判定


理人は、別の方向から尋ねることにした。


「現在、勇者は呼び出されていますか」

『否』


エルネストが白い女性を見上げる。


「勇者を呼び出す判定は行われていますか」


理人が続けた。


『判定履歴があります』

「結果は」

『勇者呼出判定、不成立』


降託の間が静まり返った。

勇者が現れていないだけではない。

呼び出しの要否を判定し、その結果として成立していない。

エルネストが低く尋ねる。


「女神は、勇者を必要としていないのですか」


白い女性は答えなかった。

問いの範囲が広すぎる。

理人が聞き直す。


「勇者呼出判定が不成立となった理由を照会します」

『開示権限がありません』


やはり、そこにも壁があった。


◆ (十四)不成立


「判定に関係する領域を提示してください」


白い女性が答える。


『危機種別評価』

『介入判断規則』

『現地対応可能性評価』


理人は書き写した。

勇者呼出判定。不成立。判定理由。開示不可。関連領域。危機種別評価。介入判断規則。現地対応可能性評価。

危機種別。現地対応可能性。

二つの言葉へ線を引く。

勇者が不要だから、呼ばれないのか。

勇者では解決できないから、呼ばれないのか。

勇者を呼ぶことで、別の問題が起きるのか。

まだ分からない。

だが、不成立の理由は、魔王の有無だけでは決まっていない。

少なくとも、現地がどこまで対応できるかも判定に含まれている。


「次に見る場所は、ここだ」


理人は呟いた。



※第21話「開示権限がありません」は全四回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

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