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非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第20話 システムプロンプトをそのまま出せ

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(三)神託と加護と勇者

◆ (十)女神という名前


理人は白い女性へ尋ねた。


「この白い女性型の姿は、本体ですか」

『受信者適応表示です』


若い神官が唇を噛む。


「本体ではない?」

『本体という語の定義が適切ではありません』

「では、この姿は何ですか」

『現地受信者が、女神として認識しやすい表示形式です』


理人はノートへ書いた。

白い女性型。受信者適応表示。本体という表現は不適切。女神として認識しやすい表示形式。

エルネストが低く尋ねた。


「では、女神とは何ですか」


白い女性はエルネストを見る。


『女神は、現地受信者側の名称です』


エルネストの表情が固まった。


「私たちは、名を呼んでいたのですね」

「その名が間違いだとは限りません」


理人は言った。


「ただ、それが相手自身の名前や、存在の定義とは限らない」


エルネストは目を伏せた。


「信仰とは、名を呼ぶことでもあります」


理人は、その言葉を否定できなかった。


◆ (十一)人間側の言葉


理人は勇者碑文を思い出した。

ガレス。レンシ。ミサキ。カスマ。ハルト。トーマ。

そして、エルネストが語った女神の加護。

理人は新しいページを開く。


「用語の対応を確認したい」

『照会できます』

「神託、加護、勇者。この三つについて、人間側の呼び名と、あなた側の説明を対応させてください」


白い女性は少し間を置いた。

空中に文字が並ぶ。

神託。

現地受信者側の名称。

危険条件、予測値、未到達情報、観測情報を、現地語、古い儀礼語、象徴表現へ圧縮して出力したもの。


理人は書き写す。

神託。圧縮された警告や情報。人間が受け取りやすい形へ変換される。変換の過程で、元の条件が落ちる可能性がある。


◆ (十二)加護


次の文字が浮かぶ。

加護。

現地受信者側の名称。

危機へ対応するための支援、機能補助、適性増幅、耐性補正を含む場合がある。

個別の内容は、対象個体と危機条件によって異なる。


エルネストが小さく息を呑んだ。

若い神官は、意味を確かめるように何度も文字を読み返している。

理人は書いた。

加護。一つの決まった力ではない。危機と対象によって内容が変わる。

支援。機能補助。適性の増幅。耐性の補正。


「加護を受けた者すべてに、同じものが与えられるわけではない?」

『同一ではありません』

「危機に応じて変わる?」

『対象個体、役割、危機条件に依存します』


理人は、役割という言葉へ線を引いた。

加護は祝福の名前だ。

だが、その中身は役割と危機に結びついている。


◆ (十三)勇者


白い女性の前に、次の文字が並ぶ。

勇者。

現地神殿側の呼称。

危機対応個体として伝承された者。

個別の定義は、対象個体履歴および介入記録によって異なる。


若い神官が顔を上げた。


「勇者は、女神様がお決めになるものではないのですか」


白い女性は答えなかった。

質問の範囲が曖昧なのだろう。

理人が聞き直す。


「勇者は、固定された職業や種族ですか」

『現地呼称としては固定されていません』

「誰かが勇者になる条件は?」


白い女性の光が、わずかに硬くなる。


『介入判断規則に該当します』


短い間が空く。


『制限対象です』


理人はノートへ書いた。

勇者。神殿側の呼び名。危機対応個体。詳細は個体履歴と介入記録に依存。勇者となる条件は、介入判断規則。制限対象。



※第20話「システムプロンプトをそのまま出せ」は全五回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

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