↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
非正規転生 ~転生したけど最弱スキルすらもらってない~  作者: KEI
第19話 祈りではなく、問い合わせ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
100/115

(五)問いの届き方

◆ (十七)問いを整える


若い神官が、エルネストの記録を見る。


「神官長……祈りでは足りないということでしょうか」


エルネストは白い女性を見上げた。


「祈りを捨てるという意味ではありません」

「では」

「祈る者が何を求めているのか、私たち自身が分からないままでは、返された言葉も正しく読めません」


理人は顔を上げた。


「白倉村の神託は届いていました」

「はい」

「しかし、私たちは予言として読み、起きる時を待った」

「条件を確認しなかった」

「ええ」


エルネストの視線が、自分の記録へ落ちる。


「女神のお言葉が足りなかったのではない。私たちの問いと受け取り方が足りなかった」


リナが尋ねる。


「ちゃんと聞くために、質問するの?」


エルネストはうなずいた。


「ええ。ちゃんと聞くためです」


理人はノートへ書いた。

祈りを疑うのではない。

聞き落とさないために、問いを整える。

祈祷を行う前に、何を問うのかを明確にする。

追加確認事項。

応答の規則。

開示の規則。


◆ (十八)次に問うべきこと


理人は新しいページを開いた。

次に問うべきこと。

一、あなたは誰か。

二、女神とは何か。

三、その姿は本体か、表示か。

四、神託はどのように作られるか。

五、応答できる範囲は何か。

六、応答できない範囲は何か。

七、俺に関する履歴は存在するのか。

八、存在するなら、どこまで照会できるのか。

九、対象個体照合はどのように行うのか。

十、開示範囲は何を基準に決まるのか。


そこで筆が止まった。

地下へ降りる前に見た勇者碑文が、頭に残っている。

ガレス。

レンシ。

ミサキ。

カスマ。

ハルト。

トーマ。

特に、ミサキ。


あの名前だけは、古い異国名として片づけられない。

そして、エルネストが説明した女神の加護。

危機に応じて与えられた力。

勇者たちが言葉に苦しんだと読める記録はない。

自分は言葉でつまずいた。


もし勇者たちも外から来た者なら、同じ苦労があってもおかしくない。

だが、記録には残っていない。


◆ (十九)つながらない線


理人は続きを書いた。

十一、勇者とは何か。

十二、過去の勇者は、この世界の人間だったのか。

十三、外から来た者だった場合、どのように来たのか。

十四、呼ばれたのなら、誰が、何のために呼んだのか。

十五、勇者が来た時、言葉は通じていたのか。

十六、通じていたなら、それはなぜか。

十七、勇者に与えられたという加護とは何か。

十八、外から来た者に、何かが与えられることはあるのか。

十九、祈りと問い合わせの違いは何か。

二十、応答と開示を定める規則は何か。

そこまで書いて、筆を止める。

多すぎる。

いくつかは、まだ聞く順番ではない。


ミサキという名。

外から来た自分。

女神の加護と、言葉に苦しんだ記録のない勇者たち。

線は見える。


だが、まだつながらない。

問いの順番を間違えれば、返された答えの意味も間違える。

最初に聞くべきことは、内容ではない。

応答と開示の規則だった。


◆ (二十)理人の祈り方


理人はページの一番上に、新しい一文を書いた。

まず、あなたの応答規則を確認する。

その下へ続ける。

開示条件を確認する。

エルネストが、その文字を読む。


「女神に対して、規則を問うのですか」

「女神が何であっても、返答には条件があります」


理人は白い女性を見る。


「条件があるなら、先に確認した方がいい」


エルネストは少しだけ苦笑した。


「やはり、あなたをここへ連れてきてよかった」


若い神官は、まだそう思えていない顔をしていた。

リナは白い女性をじっと見ている。


「女神さま、困ってるかな」

「困る、という感じではないと思う」

「じゃあ、待ってる?」


白い女性は淡く光っている。

消えない。

急かさない。


ただ、次の入力を待っている。


「たぶん、待ってる」


女神は答えた。

願いではなく、問いに。

そして、問い方を選ぶことができた。

理人はノートの表紙へ手を置いた。

祈る前に、問い合わせる。

問い合わせる前に、問いの届き方を確認する。

それが、山科理人の祈り方だった。


◆ (二十一)ログ


ログ

祈祷入力:未確定

照会形式:成立

人型表示:生成

応答範囲:限定開放

注記:

未登録形式の対話が開始。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/irregular-reincarnation-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。