6話 魔族のヴァリシア
サナの書類は随分と硬い内容の書類だった
内容は要約すると、王都神授守聖護学園の魔法形態をエレメント魔法のみに集約し
祖霊魔術は学園では教えないし、学問にも入れないと言うことらしい。
結果、ライカ聖教、魔法省、の意見が分断され揉めている。
ギルドや、冒険者は強うほうが良いって事で、やっぱり反対しているようだ
「あーなんだ、難しいな……」
カームは難しいと言いながら何となく解っていた
祖霊とリンクさせることで際も適合した魔法を診断でき、強力かつ機能的な魔法が発現できるがこのままでは祖霊系魔術は衰退し、そして弱体化する弱体化が定着すると国の防衛そのものが弱くなる。
「…そう言えば、騎士団の奴らも最近の人は弱いのが多いって言っていたな…」
ともう一枚用紙を確認する。こちらはサナの字で結構な殴り書きだ。
――――――――――
カームにお願いがあるの、
祖霊の霊廟の間から出られなく成っているソウルラウンダー達が居るの
救出をてつだってほしい。剣士が居れば余裕のはず、理由は来てから話すわ、
あと、同僚のヴァリシアにも来てもらう予定なの。
私と会えなかった時はこのヴァリシアが頼りよ
前にもちょっと話したけれど、
やっぱりセシアン・コーディックススは関わらない方が良いみたい。
どうやら、各国の交渉事を円滑化する団体と言うのは噓みたいね、
あの人たち、二重構造で悪意や陰謀を私たちに察知できないようにしてるのよ、
特に、導声石を直さないって言ってる奴は全部怪しいから気おつけてね
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「ふむ 困ったな、……」
サナには会えなかった、それとも霊廟の中にいるのか、
このメモを見て途方にくれる。先ほど教会の祖霊の霊廟の間に行った時は封鎖中、人も変わり情報がない。
セインが手がかりを少し教えてくれているが……
「くそ、どうしたものか……」
カームは、その同僚のヴァリシアという奴もどんな奴か覚えがなかった。
「少し落ち着こう……まずどうするべきか…」
思考が追い付かない。ぼんやり景色を眺めながら
カームはふと思い出していた
自分も魔法は使えなかったが、セナ・ククルの「※御霊菊理」により祖霊とのパスが通り
〈※御霊菊理ソウルラウンダーが行う調整術式、対象の魂と祖霊を繋げ、魔法適性を引き出す“基礎儀式”〉簡単な回復魔法と探索/感知、雷属性付与を獲得していた。
サナが言っていた…
「聖属性の先祖とシーフの先祖、雷属性のエレメントがあなたを見てくれているわ、感謝してあげてね
」
そんな言葉に、こんな事を言う
「かんしゃって、“ありがとうございます”ってかんじかな?」
「はぁ?(笑)それは、“お礼”だよ、感謝しなきゃ」
サナはカームを後ろから抱きしめながら
「感謝だよ…うーん。あなたらしさに…かな?あなたの中に居るあなた……に…祈って…あなたが望めば必ずその現象は起きるわ」
カームは旅の疲れもあって、ぼんやり思い出しながら遠くを見ていた。
突然、音も気配もなくいきなり声が聞こえる
「こんにちは、」
カームは感知能力をすり抜けて近くまで接近を許してしまった事に驚く、
ふと見ると、魔族の女が立っていた、その魔族は先ほどの馬車で同乗していた魔族だった。
気配も無ければ殺気もない。しかし、その視線には存在感が有りながらも圧迫感は無く、むしろ穏やかで静謐な印象をあたえていた。
「ああ、あんたは……」
カームは何とも間抜けな声を出す。
「ヴァリシアです。お久しぶりです、やはり貴方がカームでしたか、」
カームは頭をかきながら難しい顔をする。乗合馬車で一緒だった魔族だった。
何だかサナの手のひらで踊らされている様に感じる。サナはソウルラウンダー(霊媒師)だ。こう言う巡りあわせを上手くコントロールしやがる。
「前にたしか合っていたのかな?…、君も同業者のソウルラウンダーか?」
カームは記憶の中を探りながら会話する。ちょっと思い出せない。
ヴァリシアは優雅にカームの横に座り、ふんわりとしゃべる。
「はい。同業ではなく、同種の職業でソウルリンカーです。サナの※Medium’s Allyミディアムズアライ霊媒師の盟友です。」
〈Medium’s Allyミディアムズアライ(霊媒師の盟友)
リンカー+ラウンダーの二人一組体制。人々に祖霊補正「御霊菊理」を施す〉
ヴァリシアは落ち着いていたが、何か言いたげな表情だ。
カームは驚いていた。
ソウルラウンダーやリンカーは意外と地味な感じの者が多かった様に思う。
しかしこのヴァリシアは違った。
燃えるような赤みを帯びたオレンジ色の長い髪が、緩やかな波を描きながら肩へと流れている。
頭には漆黒に染まった双角が緩やかに反り、オレンジ色の髪と相まってまるで夕日に漆黒の三日月がある様な曲線を描く。
透き通るような白い肌は、白と言うより限りなく薄いピンクの様にも見える。
唇は自然な赤みを帯び、柔らかくもセクシーな意志を感じさせる形をしている。
「そうか、サナの……」
カームは戸惑っていた。魔族と言うのはここまで美しいものなのかと。しかし、
服装は民族衣装を彷彿させるような外套を着ており、馬車で同乗していた時のセクシーな洋装では無かった。
そんな服装をみてカームは少し安心する。
「あなたがヴァリシアさんか、」
「はい。」
ヴァリシアはすでに情報を持っていた、セインが言っていた王国の使者の話だ、魔族が管理するダンジョンに使者たちが殺害され放置されると言う事が起きていた、その霊魂がゴースト化してダンジョンのバランスを崩して居たようだ。
その問題解決にヴァリシアは王都の中央教会に出向くタイミングであサナの応援要請も来ていたので、ここにいるそうだ。
カームが真剣な面持ちで言う
「うむ。随分とヤバイ話に成っているな…」
話を纏めると、ソウルラウンダーが祖霊の霊廟の間に軟禁されているはずが、祖霊の霊廟の間は、閉鎖中、そこにソウルリンカーのヴァリシアさんが行くのは危険と判断する。ソウルラウンダーが拉致されたのであれば、ヴァリシアさんも危ないかも知れない
「ヴァリシアさん、中央教会に行くのは待った方が良いな。」
「まず、俺が冒険者の方は俺が探りをいれるのでそれが終わるまで中央協会に行かず待っていてくれ、後に二人で出向こう」
「わかりました。では、私は王都に残っている同胞と魔法使い系の方の所在を調べておきます、あと情報収集もしておきますね。」
「でも大丈夫か?あまり動かない方が良いのでは?」
ヴァリシアは、あ、っと言う表情を見せたが、何か確信したような顔で言う
「では、職業を隠して動きますね。それと邪気や敵意はすぐ解りますし、隠密で動くので…安心してください。」
なるほど、沙庭職のソウルリンカーはその辺りは長けているようだが、魔族は目立つのだが、どうするのだろう?…
「では、連絡は3日後で…宿屋横のパブ…。“バルーハウス”で夕食時にしましょう」
随分と人の集まる王都の人気スポットだ、まぁ人が多い分、怪しまれないって所か。
「木を隠すには森の中ってことか、で、サナの所在は解らないのか?」
沙庭職系なら解るものか、試しに聞いてみた、いま、カームにとって一番重要な事だ、
ヴァリシアは少し戸惑った表情を見せた
「その件なのですが…」
何か考えを巡らせ直ぐに引き締まった顔に成る
「わかりました…今、リンクさせてもらって良いでしょうか?」
実際、いままで何回か交信を試みて居たそうだ、その時々に情報が違うらしい
ヴァリシアは楽な姿勢でリラックスした状態で霊媒を始める。
民族衣装の外套をスルリと地面に落とすと、下の服があらわになる。
外套の下の服は馬車で見たあのドレスでは無く王国を訪問する正式なドレスだった。
そのドレスは肌の起伏をきわどく計算し尽くして沿う。
胸元は、触れれば指先が沈みそうな白い柔らかさを暗示し、鎖骨から肩の曲線にかけての露わなラインは、視線を逃がす隙を与えない。
腰のくびれをなぞるように金色の文様が走り、まるでその下の肌を直接抱きしめるかのように輝いていた。
前が短く後ろが長い裾は、太ももの白さを覗かせ、動くたびに網目のタイツが熱を帯びてゆく。
ヒールブーツは足首をしなやかに締め、そして挑発的だった。
カームは息を飲むと同時に呆れて確信する
「ああ、……」
《やっぱ、魔族ってこうゆう格好するんだよなぁ》と口に出そうとして押し殺す。そういえば俺が「御霊菊理」をしてもらった時にサナの横に居たドエロイ女はこいつだったか…そんな事を思い出しながら冷静をよそおい聞く
「霊媒で意思疎通とか出来るのかな?」
カームは動揺を隠しながらも可能な限り紳士的にふるまう
。
「ある程度なら……でも、このまえから、気配が妙なのです。サナの事を、お話する前にもう一度確かめます。周辺の目をそばだてて(見張って)頂けますでしょうか?」
「わかった」
周辺の人や魔獣を警戒しよう……
使う能力によって、所作は異なるが、今回は簡単な瞑想だけだった。
カームは少し安心した、ソウルラウンダー/リンカーは術を使う時、“舞”を踊る事が有るのだ。
今のヴァリシアの格好で踊られると目のやり場に困ると同時に男としては少し残念な複雑な心境だった。
そもそも、外套を脱ぐ必要あったのだろうか?
(俺がチャラい男だったら大喜びなのだろうなぁ…まあ、おれは大人だし、まぁ……なれているし、紳士だから……って?え?)カームが考え事をしている間に、偉いことに成っていた。
「はぁはぁ、っあぅ。んあぁん。うぅ、あうん゙」
ヴァリシアのあまりのエロい声にびっくりする
「うわぁ。えーーーーーぇぇぇぇ」
カームは驚く、ヴァリシアの瞑想は最初 静かに目を閉じて行って居るかと思えば、今は息が荒く肌は桜色に上気し、苦悶の表情をしていた。まるで悶えている様な声は聞くだけ温度と匂いが感じられる様な気さえする。
「あの、ちょっと、ヴァリシアさん?」
ヴァリシアはカームの声にビクリと脊髄を波打たせ我に帰る。
「カームさんありがとう。ちゃんと行けました。」
(ああ、やめて、なんかセリフだけ見ると変な事していた みたいにみえる。)
そんな事をごまかす様にカームは声をかける
「大丈夫ですか?いったい何が…」
ヴァリシアは脱いだ外套を抱きしめながら息も絶え絶えに話す
「サナさんに交信と周りのエレメントや霊に情報を求めていました。リンカーの能力では届かない場所に居るようで……」
リンカーの届かない場所?だから悶えていたのか?
「確かリンカーはあまり遠くや階級の高い霊とか、先祖代々の祖霊までは、さかのぼれないと聞いたが…」
カームは何かに引っかかる
「はい。サナと私は霊媒師の盟友で直ぐに解るはずなのですが…」
「ちょっ、まって、サナは無事なんだろ…な??」
まだ、息が上がっているのか、途切れ途切れに言う
「それが…サナが…数日前一度…消えて……少したって、また現れて、それから……一日ごとに消えて現れる、そんな事が24回以上、有ったのです。」
「消えるとは??」
ヴァリシアは少し目を細め何かが空中に見える様な仕草をする
「……正確に言うと24回以上……死んで、生き返って、気配が有るって事になります。」
カームは考えが追いつかない
「え…どうゆうことだ?生きているだよな?」
賢い方では無いカームは混乱する。ヴァリシアは少し口に手を当てながら言葉を選んでいる。
「解らないのです……一度目に消えてから後、気配が薄いというか、何かに邪魔をされている感じなのです。本来なら水粒子の記憶だったり魔素の流れ、近辺の霊達に干渉すれば、物事の前後がわかるのですが、ごっそりと何も情報が無いのです。ソウルラウンダーなら、もっとちょっと解るのでしょうが……こんな事は初めてで…」
ヴァリシアにも解らない様だった。霊媒師の盟友で解らないのであれば死んでいるのが普通だ、しかし生存の気配はある。リンカーの能力で感知出来なければ、上位霊、祖霊、等の類になる。
「それも含めて調査しましょう、」
ヴァリシアが言うには他のラウンダーが居ればもう少し状況が解るらしい。
カームは気が気ではないが今は調査を進める事以外に手がかりは無く動くこととする




