5話 普段と違う街
「これは?いったい?」
カームは教会に付いて違和感を覚えていた。
サナが出入りしていた祖霊の霊廟の間は立ち居入り禁止に成っており、封鎖されている。
治癒魔法系向上の為の研究にも造詣が有るソウルラウンダーは他の魔法との連携を研究する施設もあり、そこの研究員なら少しは顔なじみが居るはずだが、教会の人員が一新されており知った顔は無く、問い合わせをしても対応もそっけない。
「まいったな…」
カームはタメ息をつくように言うが、ちょっと不安に成ってくる。まるで初めて来た様な錯覚に陥っていた。
それどころか、ソウルラウンダーの話をすると、あからさまに“それは知りません”って感じで逃げていくのだ。
ソウルラウンダーは希少職で小さい町ならソウルラウンダーを知らない事もあるが、ここは王都だ、しかも2,3ヶ月前までは魔法省で共同研究をしていたはずだ、
「すこし、変だな、魔法省はどうだ?」
しかし、魔法省は学園開校の為多くの人がいるはずだが魔法省自体が機能していなかった。
途方くれたカームはギルドに顔見知りを探しに行くことにした。
なんだろう、街は、変わった様子は無い。変な苛つきと胸騒ぎがする。
「くっ。サナ、あいつ大丈夫か?…」
最近はあまり立ち寄っていなかったギルドの扉を開け
ギルドの受付で顔見知りを探す、
「いた、セインだ」
ズカズカと受付に近づくカーム
「おい。セインちょっと聞きたいのだが、」
セインは淡い赤みを帯びた頬と、困惑したような視線をカームに向ける。
「カームさん、お久しぶりです」
シャツにベストを重ねた落ち着いた服装の青年。猫の耳と尻尾が生えており、どこか不思議な雰囲気を醸している。女性にとても人気な受付、猫人族の男の子だ。
物静かで繊細な性格だが、信頼した相手には実に誠実で甘える特技も持っている
「サナ達の事を聞きたいのだが…」
セインは突然の出現に戸惑いながらも、逃げるわけでもなくじっとカームを見つめている。
これはセインのクセである
「うっ」
カームは周りの異様な視線に気がつく…カームはイケメンではないが以外にハンサムなのだ、
少しワイルドなハンサムな人間と可愛いキャシャな猫人族の男の子。
この組み合わせは、周りの女性陣が注目してしまう
セインは少し小声で喋る
「サナさん達(ソウルラウンダー達)が来てくれたのに。セシアン・コーディックススの提案で学園の上級魔法教育の廃止が決まったんです。」
「表向きは“高度に成りすぎる、全て人に魔法を”との事なのですが、何か言ってることが変ですよね、その為の王都神授守聖護学園なのに…。」
カームは周りを見回しながら聞く
「ああ、ギルマスからもそんな話効いたな、何処に居る?」
セインは落ち着いた調子で書類を書きながら答える
「学園の件でライカ聖教の教皇に召喚されて今は外出しています、ライカ聖教側も国の弱体化は反対なので…その件でサナさん達…(ソウルラウンダーたち)中央教会に行ったのですが……」
カームは少し腹立たしそうに
「そうか、ライカ聖教変じゃないか?」
セインは左耳をピクピクと動かしながら言う
「今、ライカ聖教は箝口令はしかれていまして私も今は取り合ってくれません」
セインはカームの肩から手先までをゆっくり撫でながら顔を近づけるように話す
「あ、それから、色々妙な動きもあります、声導石通信も不調で、ベテラン冒険者も…王国の使者達でさえ、行方知れずです。」
カームはセインの変わりように鳥肌を立てながらうめく
「うおっ。セイン?どうした?」
正直、これは何だろう…セインは男色では無いはずだ、
先程から喋っている口調やトーンからは想像できないほど行動が乖離している。
セインは少し笑って言う。
「訳有って、お芝居です」
男二人が近づいてコソコソ話すものだから、そのたびに何だか女性陣がどよめく
「何か変なことに成っているんだな?」
セインは頷きながら書類作業をするフリをしながら喋る、
「国から人探しの窓口がギルドに開設されていますが、彼ら部外者です、昔からこの国に居た人間では有りません。」
また、左耳をピクピクと動かしながら言う
「上級魔法教育廃止に意義を申し立てた冒険者は皆、行方不明です、行方不明の親族があの窓口を使うと、その親族も行方が解らなくなります。」
「やべぇじゃねーか、国に部外者入り込んでいるのか?」
男二人が近づいてコソコソ話すものだから、そのたびに何だか女性陣がどよめく
「王国の新しいルールや新魔法論を提案している団体でセシアン・コーディックススという名です、本来は、国の交渉を公平、安全に支援する団体という事なのですが、どうも、動きがおかしく、色んなところに絡んできています。」
セインは表情を変えては居ないが目の色は少し苛立っていた
「ギルドに来るベテラン冒険者を付け回して居ると思われますが、今のところ証拠はありません。」
と同時にセインがカームの手を取り頬に当てる、また、女性陣がどよめく
「僕達の行動に動揺してない人たちが、部外者ですね。」
カームとサナの仲はギルド内では周知の事実である。知った人間ならセインとのこの芝居を見るとびっくりするだろう。動揺していない奴等が部外者ってことか……
確かに人探しの窓口周辺の人間は興味無さそうにしている。
「サナさんから、カームさんが来たらこれを渡せと言われています」
セインが用紙を出した。初心者向けの天然ダンジョン周りの雑魚モンスター討伐の案内用紙だ、その用紙に紛れてこの国に起こっている問題がまとめられている用紙も手渡される。これはサナの字だ
「カームさんが来たら男色的行為であの団体の目を欺けとサナさんが…」
危険だ……いや、このセインとのやり取りも危険だが…それに、これ目そらし出来ているのか?
?
「わかった、しかしやり過ぎだろう、男色と誤解される」
セインが くすくす と笑い
「サナさん言っていましたよ、と言い、メモを見せる
《へーだ、誤解されれば良いのよ変な虫が来なくなるわ》
確かにサナの字だ
しかし、まったく、サナの作戦にあきれてどっと疲れるカームであった。
「解った、又来る」
カームはそう言うと用紙をピラピラさせ手早くたたんで手を振りギルドを後にした。
「新規の方は、書類ちゃんと読んでくださいねー」
セインはベテラン冒険者のカームに初心者冒険者クエストを渡した事を苦笑しながら元気に手をふる
ギルドの扉が閉まる瞬間キルド内で騒ぎ声が聞こえる。
「セインちゃん、カームとそういうー」
「私のセインちゃんがーー」
「…………」
凄く目立ったが、逆に目を付けられる事は無いだろう。
馴染の冒険者には何か異常事態ってのが上手く伝わった…かも知れない…
変に尾行も付いていないようだ。
(セインとカームの名誉の為に言っておくが、二人はノーマルです)
カームは初心者向けの天然ダンジョン周りの雑魚モンスター討伐に出かけるふりで王都の町をでた。
王都の近く見晴らしの良い丘で大木が2本並んでそびえ立つ根本で腰をおろし。一休みする。
ここなら誰か近づいても解りやすいし、冒険者がサボる…いや、討伐に行く前に皆が休む いい場所である。
セインからもらったサナの書類に目を通す……




