11話 ヴァリシア視点 レイス出現との攻防
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「げせんな…」
ベテランビショップが呟くことでヴァリシアは、我に返る
「浅い階層入口近くになんであんなに居るんだ? 外に出す事前提だったか?」
プリーストも浅い階層に密集してる事でその可能性を感じていたようだ
「出たら二次被害は免れません」
そんな会話しながら進み、ふと見ると、ダンジョンの暗闇に複数の死体が転がっていた。
その下には、うっすらと光る奇妙な魔法陣。
魔法陣が光ることで死体の数が数十人いる事がわかる
「これは……」
王都の使者たち、行方不明の冒険者とその家族――
無惨な姿で横たわっている。
「ひどい……」
「ん?アレは何だ?」
魔族の戦士は訝しげな顔をする
死体の中心には、見たことのない小さな黒い携行箱が、観音開きに開かれたものだった。
その中身は祭壇で、何か動物のようなミイラの様な物が祀られていた、
その上の空間はゆらゆらと蜃気楼のように歪み、祭壇自体がカタカタと震え、蒼黒の緑色光を漂わせて祭壇のミイラは微かに蠢く。
その異様な気配に、ダンジョン内の魔物すら逃げ出しているようだった。
「解決になるか分かりませんが……破壊しましょう」
ヴァリシアの“勘”がそう告げていた。
魔族の戦士が近づくと、祭壇の背後の闇が蠢き――巨大な影が立ち上がった。
――レイスだ。
フードを被った巨人。その顔には黒い髑髏。
しかも、外套はライカ聖教のもので、体の下半分には死者たちの魂が密集し、動くたびに顔が伺え表情さえ解る。
自然発生ではなく、ライカ聖教の人間を元に意図的に作られた存在だ。
魔族の戦士は不意を突かれ、呪をかけられて倒れ込む。
レイスの発する闇の霧は触れるだけで体力を削り、視界と行動を奪っていった。
「コ……ア…は……どこだ……ここでは……ない……」
祭壇は震えながら共鳴していた。
時空を歪めるような物をコアに近づければ、何が起きるか分からない。
その瞬間、ヴァリシアは悟った。
――いや、浄化された魂が彼女に囁いたのだ。
《あれをコアに近づけてはならない。世界が壊れる。》
ヴァリシアも理解した。あの祭壇は、何かの術式と連動している――。
プリースト達は直ぐに浄化を試みる
「彷徨う魂よ神への帰還を願い、魂を抱き返すーーピュリファイ…ベネディクション!!」
レイスは一瞬怯むが、ダメージは受けていない。
ヴァリシアは聖属性の者たちに支持をする。
「あれをお願いします」
プリースト達は複合魔法を唱える。
その呪文は祖霊を介した呪文で非常に強力であるが、解析は出来ておらず。現在使われている言語ではないし、聞き取れない。噂では大天使の拘束と言う事も囁かれている
「……■■■Dispel■■……」
「■……■ ■Purify…」
「■■■……■…Absolve■■■■…」
「……Redeem■■…■…■」
「■■■…■…■…Ascend」
「Lumen Gradus Ark(ルーメン…グラドゥス…アーク )!」
レイスと戦士を囲むように、幾重もの丸い光の柱が立ち上がった。
近くのゴーストたちは瞬時に浄化され、レイスも光に拘束される。
しかし蒼黒の霧は晴れず、膠着状態が続く。
「これで、おあいこですね……」
ヴァリシアはネメシスに全力で魔力を注ぎ込む。
「聖女エルンよ――お力をお借りします」
「――ブレス…カタルシア(Bless Catharcia)!」
――光が弾け、闇の霧が一気に晴れる。
その瞬間、ヴァリシアの姿が掻き消えた。
次に見えたときには、すでにレイスの懐に飛び込み、剣士を庇いながらネメシスを凄まじい速さで振るっていた。
ヴァリシアは舞を踊るようにレイスは殴り続ける、
通常の肉眼では、僅かに舞しているように見えるが動きは認識が出来ない程早い、それでいて鈍器が不気味に軋む様な打撃音が連続で響く、レイスは殴られると言うより、打撃の連打で押される。
次第にほころび煙のように崩れ、声にならない断末魔を上げる。
取り込まれた魂たちの「未練の意識」が、ネメシスの一撃ごとに削り取られていく、
やがてレイスの形は保てなくなり
ヴァリシアもまた呟くように詠唱を始めた。
突然ヴァリシアの動きが止まる。
――魔力切れか?
皆がそう思った瞬間、ヴァリシアは呪文の詠唱を終えていた
「名こそ魂の記憶なり、在りし想い、その心ここに転ず。
此の肉を媒とし
リバース…オブ…グレイス…ソウル…リターン!」
ネメシスが淡い光を放つ。
ヴァリシアは殴ると同時に、ソウルリンカーとしての力を発動していた。
ネメシスの核――麗石導環の力を使い、取り込まれた魂たちを受け入れ、対話し、諭し、神へと還す。
その対話の時間は数時間にも及んだが、現実では数秒の出来事だった。
麗石導環が時間の流れを歪めていたのだ。
魂を失ったレイスは弱り、光の柱に触れた瞬間、半身を失った。
ヴァリシアは熊の様にだらんとした仁王立ちのまま、更に、残った異世界の生き物にソウルリンカーの力を行使する。
サナが言っていた異世界の生き物とは何なのか、サナのソウルラウンダーで上級職が故に干渉出来ないのなら、
ソウルリンカーがリンク出来るはず。下位互換という訳では無いが、ラウンダーとリンカーが別職である役割だ
生き物でこんなに近くに居るのならば…きっと…
会話こそできないが、イメージは読み取れた。
―――神に関心を持たれなくなった魂。
―――生命への渇望。
―――故に“生きる世界”を作る。
―――そこは、■しき■界、■■。
―――■完■■■のもの。
「か……は、ぁ……っ……」
ヴァリシアは魔力切れを起こし、地面に倒れ込む。
レイスは消滅し、静寂が戻り最後の言葉は読み取れなかった。
意識が遠のく中、彼女は感じていた。
――魂が、滑り落ちる。
プリーストたちは必死に回復を試みたが、虚脱は癒えない。
“この世の理から外れた魂”――そんなものが存在するのだろうか。
薄れゆく意識の中で、ヴァリシアはそう思った。




