第25話 2回目
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岳南原田駅。
ここは先週、四人で集まった場所だ。でも、独りで立つホームは全く違う景色に見える。製紙工場の巨大なタンクが目の前に迫る圧迫感。一両編成の電車が滑り込んできたとき、僕はあえてシャッターを切らず、その風圧だけを感じて見送った。
「……贅沢な無駄遣いだな」
誰にも急かされない。撮らなくてもいいし、撮ってもいい。
その自由こそが、僕の「独旅」の原点だった。
帰路につく前、僕は少し足を伸ばして鎧ヶ淵親水公園に立ち寄ることにした。
ただ、ふらふら~っと川の近くを歩いていった。
(ここ。私道じゃ…ないよな。大丈夫だよな。)
そう緊張しながらもマップが指し示している道へと歩みを進めた。
滝川の両脇にある2本の道。
道の背後に迫る工場の配管や倉庫。
(富士市。こういう道多いのちょっと怖いんだよな)
僕は、一歩一歩少し緊張しながら歩いた。
(本当に捕まらないよな?ってあのトラックこの細い道はしったの?!)
(恐るべし運転技術)
工場の音。
川の音。
風の音。
風で運ばれる工場の匂い。
書き消されそうになる足音。
(ここの柵ないとちょっと怖いな 安全柵あるのに感謝感謝だよー)
いつの間にか場所は流れ、住宅街へとはいった。
おそらく湧きたてほやほやであろう綺麗な湧き水が、隣をゴオゴオゴオゴオと流れてる。
(すごい水の量だ)
公園の入り口に到着した。
(ここは、3月。確か春休みの始まる少し前にもきたよな。)
源頼朝が軍勢を休め、鎧を脱いで体を洗ったという伝説が残る場所。
清らかな水が湧き出し、川底の石が透き通って見える。
僕は水辺にしゃがみ込み、冷たい水に指先を浸した。
先日の美歩さんとの会話が頭をよぎる。
『佐野くんと話してると、景色が立体的に見える気がする』
(……立体的に、か)
独りで見る景色は、深く、鋭い。
でも、誰かと共有した景色は、温かく、広がっていく。
どちらが欠けても、僕の「探景」は完成しないのかもしれない。
ポケットの中で、スマホが一度、短く震えた。
グループチャットに、原くんが撮った「今日のお昼ご飯」の写真がアップされている。続いて結衣のツッコミと、美歩さんの「おいしそー」というスタンプ。
僕はそれを見て、少しだけ口角を上げた。
「……さて。帰るか」
独りの旅を終え、僕は再び「四人」の日常へと戻っていく。
「やっぱり独りも好きかな。」
(寂しさも緊張も全部まとめて独旅が好きだ。)
帰るまでが探景であり独旅。
そして、帰る場所があることもまた、今の僕にとっては悪くない景色だった。
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