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第15話 分岐する鉄路、湧水のまちの2人きり

最後まで読んでくださると嬉しいです!

男2人の吉原駅での撮り鉄から一週間後の日曜日の朝。


富士市の空は雲一つない「富士山日和」となった。


集合場所は、僕たちが勝手に拠点にしている吉永校舎の正門前だ。

「おーい! 佐野くん、お待たせ!」

遠くから、凄まじいスピードで駆けてくる影が二つ。


先頭は原くんだ。小学校時代、県内1位の身体能力を誇った彼は、今日も重い一眼レフを首に下げているとは思えない軽やかな足取りだ。そして驚くべきは、その後ろをピタリと追走する渡辺結衣だった。


「おはよ、悠希くん! 朝のジョギングがてら、原くんと競走してきちゃった!」

結衣は額に薄っすらと汗をかきながらも、呼吸一つ乱していない。彼女もまた、中学に入ってからさらに体力が底上げされたのか、原くんの「爆走」に涼しい顔で付いていける数少ない存在だ。


「……二人とも、朝から元気すぎだろ」

僕は眼鏡を「くいっ」と直し、少し呆れながら答えた。


最後の一人、戸田美歩は、校門の陰から「おはよー」と、茶色がかった髪を揺らしながら現れた。彼女はすでに「家を出る」という行為でエネルギーを半分消費したような、少しとろんとした目をしている。


「よし! 探景同好会、初活動開始! まずは入山瀬駅まで歩くぞ!」

原くんの号令とともに、僕たちの旅が始まった。


広見公園の横を通り、緩やかな坂を登っていく。原くんと結衣は、道中の階段を見つけるたびに「どっちが早く登れるか勝負!」と駆け出していく。そのバイタリティは、もはやアスリートの域だ。


「……ねえ、佐野くん。……あの二人、人間なのかな。…私、もう足が棒なんだけど」

美歩が僕の隣で、消え入りそうな声で呟く。

「……まあ、あの二人は特別だよ。特別な訓練を受けてるんだよきっと。僕たちは僕たちのペースで行こう」

「…そうだね。」


入山瀬駅に到着し、身延線のホームへ。やってきた313系の車内で、原くんが身を乗り出した。


「実はさ、僕と結衣ちゃん、富士宮浅間大社は前に行っちゃったんだよね。だから今日は二手に分かれないか? 僕らは一つ先の芝川駅まで行って、沼久保駅付近の富士山絶景ポイントを狙いたいんだ! あのS字カーブ、僕らの脚なら駅からダッシュですぐだし!」


「そうそう! 悠希くんと美歩ちゃんは浅間大社でゆっくりしてて! 後で富士宮駅で合流ね!」

結衣も悪戯っぽく笑いながら賛成する。


富士宮駅に到着すると、二人は嵐のように去っていった。「じゃあな! 最高のショット撮ってくるから!」という原くんの叫び声が、遠ざかる電車の音に紛れる。


ホームに残されたのは、僕と美歩の二人だけだ。

女子と二人きりの「探訪」は人生で初めて。

(では、ないな。春休みの前だか、春休み中に、確か親水公園から竹採公園に結衣と「探訪」したことがあったな。)


僕は不自然に眼鏡を直し、階段を上り、改札へと向かった。


「……さて。行くか、美歩さん」

「うん! 佐野くん、よろしくね。……あー、やっと静かになった」


美歩は歩き出すと、急にシャキッとした表情を見せた。どうやら騒がしい二人がいなくなったことで、脳のモードが切り替わったらしい。


浅間大社の巨大な朱塗りの鳥居をくぐると、彼女は得意げに口を開いた。

「知ってる? 浅間大社って、富士山そのものが御神体なんだよ。この湧玉池の水も、何十年も前の雪解け水が湧き出してるんだって。……歴史の重み、感じない?」


「……よく知ってるね。感心したよ」

僕が少し驚いて言うと、美歩は「えへへ、予習してきたんだ! 面白そうなことには爆速で食いつくのが私の長所!」と胸を張る。


「……じゃあ、僕からも補足。この社殿は徳川家康が寄進したもので、二階建ての『浅間造せんげんづくり』っていう珍しい形なんだ。家康は関ヶ原の戦いに勝ったお礼に、ここを大改修したんだよ」

「……へぇー! さすが会長、詳しい! 私、そういう背景を知ってから見る景色、大好き!」


美歩は楽しそうに笑い、湧玉池の透明な水面を覗き込んだ。透き通った水の中、揺れる水草を彼女は真剣な眼差しでカメラに収めていく。知識を競い合い、補い合う時間は、意外なほど心地よかった。


帰りは、神田川の横を綺麗な川の流れを眺めながら、時おり良さげな場所で写真を撮ったりした。


僕は、デジカメや一眼レフ。美歩さんは、スマホで。それぞれの形は、ありつつも富士山の恵みが流れるようすを写真におさめていた。


やはり、自分で足を使って現地に赴き、五感を使って感じるとネットでわかる情報以上のことを感じることがてきると改めて感じた。


川の水を触れそうなところをみつけた。

「向こうの方行ってみる?」そう僕は、指を指しながら、問いかけた。

「そうだね!行ってみよ!」そう答えてくれた。階段のように、川の近くまで降りれる場所まで行ってみることにした。


「つめたっ」

思わずそんな、言葉が溢れるほどつめたくて心地よい水だった。

「流石、わきたての水だね。」僕は、そういった。

「焼きたても、わきたても。できたてのものってなんというかやっぱりいいね~」


「正確に言えば、この水も富士山に何十年も前に降った雨とか雪なんだけどね。でもやっぱりいいよね~」

「うんうん。」


ザアザアザアザ と音を立て、白い飛沫を立てながら、流れていく、水の様子をただみていた。


お昼は、近くの地方民の味方、イオンで、それぞれ好きなものを食べようということになった。

僕は、一階にある某たこ焼き屋の「絶対にうまいたこ焼き」を注文した。美歩さんも同じのを注文したようだ。


近くのテーブルにいき、たこ焼きと貰った水を机においた。

「「いただきます」」 そう言って、たこ焼きをひとつ、またひとつと頬張った。


(まぁ。控えめにいって、滅茶苦茶うまい!!勿論、富士宮に来たんだから、富士宮のB級グルメ、富士宮焼きそばを食べたかった。だがしかし、超混雑してたから断念した。)


解説しよう!

富士宮焼きそばは、非常に美味しい。なので、昼時になると、どこのお店も超混雑する。昼飯時間を外れた時に、いくとあまり並ばずに食べられる。(大抵、いつも混んでるけどね☆)

以上。解説の佐野でした。


美歩が、とても美味しそうにたこ焼きを堪能する様子に、(美味しそうに食べるな~)そんな風にふと思った。


多分僕は、少しだけ「可愛い」と似た感情を持ったのかもしれない。


午後の集合時間まで少し時間が余った。


「…さて。もう少し時間もあるし、散策する?」

「ん…?いいけど。」僕は、提案にのり、食べ終わったたこ焼きのごみを捨て、テーブルを慣れた手付きでさらりと拭いた。


「じゃあ。いきますか!」

「うん!」

そうして、昼休憩の終わった僕らは、再び散策へとでかけた。


「どの辺行くか。」

「ん~。さっき、神田川沿いに歩いたときに、チラッと見えた、富士山世界遺産センターでも行ってみる?」

「確かに、そっちのほうあんまり行けなかったよね。」


「あ…結衣から、メッセージきてる。」

「なんてきてた?」

「読むね。沼久保駅から、歩いてそっちのほういきたいと思うから、西富士宮駅集合でも良い?あと、?!?!?なんでもないよ。だってさ。」

(2人でデート楽しんでるか?!?全く結衣ってば。またからかってきて。ムッ)


「結構そこの駅間長いのに、よく歩くな。確かに、富士山と身延線が綺麗に撮れるスポットもあるし、歩いたら楽しいか。 了解。」

「じゃあ、了解って送っとくね。」

「ありがとう~。」


「じゃあ。世界遺産センター経由で、西富士宮駅目指してレッツゴー!」

「おー!」

最後まで読んでくださりありがとうございました!

別の作品や次の話も是非見てみてください!

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