第三部 最終話 『創世の彼方へ』
神王の間。
世界そのものが震えていた。
天井は崩れ、白い空は黒く染まる。
巨大な裂け目の奥から、一つの"瞳"が世界を見つめていた。
その視線だけで空気が凍りつく。
「創世者」
神王がゆっくり前へ出る。
「ついに……目覚めましたか。」
茜音が震える声で聞く。
「創世者って……何?」
神王は静かに答えた。
「七つの世界を創った存在。」
「そして私を創り、世界の管理を任せた者。」
「……世界そのものの"始まり"です。」
夜城零の告白
夜城零は創世者を見つめたまま話し始める。
「俺は神王から未来を見せられた。」
「だが、その未来は違った。」
氷雨たちは息を呑む。
「創世者は世界を救うために世界を創ったんじゃない。」
「完成した世界を選ぶために、何度も世界を作り直していた。」
神王は静かに目を閉じる。
否定はしない。
つまり、それは真実だった。
世界の正体
神王が語る。
「今まで存在した世界は数え切れません。」
「失敗した世界は消えました。」
「今の世界も、その一つです。」
月斗は拳を握る。
「じゃあ俺たちは……。」
「試作品ってことか。」
神王は苦しそうにうなずいた。
氷雨の怒り
氷雨が創世者を見上げる。
「そんな理由で……。」
「みんなの人生を作って。」
「失敗したら消すの?」
青い冷気が溢れる。
神域が静かに凍り始める。
神喰らいの少年
その時。
結晶が砕ける。
中から眠っていた少年がゆっくり目を開ける。
「ここ……。」
少年は辺りを見回す。
神王が優しく笑う。
「長い間、苦しかったでしょう。」
少年は小さくうなずいた。
「ありがとう。」
氷雨は涙を浮かべながら笑う。
「助けられてよかった。」
創世者の声
世界中に響く声。
「感情は不完全。」
「ゆえに世界も不完全。」
「新たな世界を創る。」
裂け目がさらに広がる。
七つの世界が揺れ始めた。
共闘
夜城零が剣を抜く。
「氷雨。」
氷雨もうなずく。
「うん。」
茜音が笑う。
「今度は四人だね。」
月斗が構える。
「未来はここから変える。」
四人が肩を並べる。
神王の選択
神王は玉座から立ち上がる。
「私は管理者でした。」
「ですが今は違います。」
神王は世界核へ手を伸ばす。
「未来は、あなたたちに託します。」
その身体は光になり始める。
「神王!」
咲希が叫ぶ。
神王は穏やかに微笑んだ。
「世界を守ってください。」
光となって世界核へ溶けていく。
新しい道
世界核が再び輝く。
裂け目は少しだけ閉じた。
しかし創世者は消えていない。
夜城零が振り返る。
「まだ終わらない。」
「創世者を止めるには。」
「創世の外側へ行くしかない。」
月斗が聞く。
「創世の外?」
夜城零は空を見上げる。
「ああ。」
「世界を創った者がいる場所だ。」
エピローグ
静かになった神域。
神喰らいだった少年は咲希に手を引かれ歩いていた。
茜音は笑い、
月斗は空を見上げ、
氷雨は夜城零の隣に立つ。
もう敵ではない。
同じ未来を目指す仲間だった。
最後のページ
夜城零が静かに言う。
「ここから先は、誰も歩いたことのない道だ。」
氷雨は微笑む。
「だからこそ行こう。」
「私たちの未来を、自分たちで決めるために。」
四人は光の扉へ向かって歩き出す。
その先には、世界の外側へ続く未知の道が広がっていた。




