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零界凍結 ―境界記録―  作者: 淺桜雫音
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第三部 第五話『零と蒼』

神王の間。

静寂が支配する白い空間。

向かい合う二つの影。

氷雨。

そして――

夜城零。

誰も動かない。

しかし、空気だけが張り詰めていた。

開戦

「来い。」

夜城零が静かに言う。

その一言を合図に、氷雨は駆け出した。

「はぁっ!」

氷の剣を生み出し、一気に距離を詰める。

鋭い一閃。

だが。

カンッ――!

夜城零は黒い剣で受け止める。

「力は増した。」

「だが、迷いが残っている。」

氷雨の想い

「迷ってなんか……!」

剣を押し返しながら叫ぶ。

「私は誰も見捨てない!」

冷気が爆発し、神王の間が青白く染まる。

零の力

夜城零は剣を振るう。

黒い斬撃が空間を裂いた。

その斬撃は氷では止められない。

「これは世界を断つ力。」

「《虚無断界》。」

氷雨は間一髪で避ける。

しかし肩が浅く切れる。

茜音の試練

その頃。

神王は茜音の前に立っていた。

「あなたは、人を信じ続けられますか?」

神王が手をかざす。

茜音の前に幻が現れる。

親しい人たちが争い、互いを傷つけ合う未来。

「裏切られても、なお笑えますか?」

茜音は拳を握る。

涙を浮かべながら答えた。

「……笑う。」

「悲しい時こそ、誰かの笑顔が必要だから。」

神王は静かに目を閉じた。

「強い心ですね。」

月斗の試練

月斗の前には、無数の未来が広がる。

そのすべてで誰かが犠牲になる。

誰も死なない未来は存在しない。

神王が問いかける。

「最善とは何ですか?」

月斗は長い沈黙のあと答える。

「最善なんてない。」

「だから俺は。」

「みんなで最悪を減らす。」

神王は小さく微笑んだ。

「その答えを待っていました。」

氷雨、覚醒

神王の間。

夜城零との戦いは激しさを増す。

氷雨は吹き飛ばされ、膝をつく。

(まだ届かない。)

(でも……。)

脳裏に浮かぶ。

茜音の笑顔。

月斗の背中。

幼い頃の自分。

「私は、一人じゃない。」

その瞬間。

青い光が全身を包み込む。

神域そのものが凍り始めた。

最終覚醒

「――《零界凍結・蒼天終焉》。」

氷ではない。

空間そのものが青く染まる。

夜城零が初めて目を見開いた。

「……これが。」

「零界凍結の真の姿。」

信念の激突

氷雨と夜城零の剣が交わる。

衝撃で神王の間に亀裂が走る。

夜城零が問いかける。

「もし世界か、一人かを選べと言われたら。」

氷雨は叫ぶ。

「そんな世界なら!」

「私が変えてみせる!」

夜城零の笑み

夜城零は静かに笑った。

それは初めて見せる、穏やかな笑顔だった。

「……その答えを。」

「待っていた。」

真の黒幕

突然。

神王の間全体が激しく揺れる。

神王の表情が変わる。

「来る!」

天井が崩れ、黒い裂け目が現れる。

そこから巨大な瞳が開いた。

世界を見下ろすような、圧倒的な存在。

神王が低く呟く。

「創世者……。」

夜城零は剣を構える。

「やはり目覚めたか。」

共闘

夜城零は氷雨たちへ背を向けたまま言う。

「今だけは敵ではない。」

氷雨もうなずく。

「うん。」

茜音と月斗も駆け寄る。

四人が並んで立つ。

目の前には、この世界を創った存在。

最後の一文

世界を救う戦いは、ここから始まる。

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