2章 世紀末の船上学園 5話 電気科組長カチコミじゃあ!
クレイバへと向かったユピタとセンリ。しかし航海中、巨大な船に攻撃され、捕縛されてしまう。その船は世紀末の船上学園、モフェルトンであった!「俺」と「俺の最強」を探す冒険ファンタジー!
コダマ「おい、おい!いつまで寝てんだ、コラァ!」
怒鳴り声で飛び起きた。気がつくと俺は薄暗い部屋にいて、目の前の明らかにヤベェ男が中腰でにらみつけてきた。
コダマ「オレは機械科組長コダマ。以後ヨロシク!ところでよぉ、野郎。オレらの船にぶつかっといてただで済むと思ってんのかよぉ。」
ユピタ「え!?そっちから攻撃してきたんじゃ…」
コダマ「ア”ァ“!?言い訳聞いてんじゃねえんだよ。今戦力が欲しくてなぁ。どっちか選べ。オレらの手下になるか、死ぬかだ。」
コダマは俺にリーゼントを突きつけ、恐ろしい形相で訊いてきた。俺はよくピンチになると走馬灯を見る。それがよいことであるとは言い難いが、感覚が冴えてピンチを切り抜けることができるかもしれない。今この瞬間、ドアのむこうの微かな足音を聞き逃さなかったように!
ドッガァーン 床に蹴破ったドアの破片が散らばった。
アスナロ「カチコミじゃあ!」
どす黒い学ラン、たなびくマントに車掌帽。正義の味方でないことだけは確かだが、その瞳の奥に光るものを見た。
ユピタ「そこのイカツい兄ちゃん!俺を助けてくれ!連れてってくれ!」
アスナロ「あぁ、いいぜ。半分はそのつもりで来たんだからな。」「ソンブ!こっちは完了した。そっちはどうだ!?」
ソンブ「こっちはだめだ!情報とまるで違う。やつらの戦闘用ロボは出撃体制だ!一旦退くしかねえ!」
アスナロ「わかった。退くぞ!ん?」
壊したドアの向こう側で、生徒らしいやつが何やら耳に手を当ててひとりごとを言っている。そのときイカツい兄さんはそいつを見て、何かに気づいたかのように悲しみ、怒っていた。
俺はその兄さんとともに何とか機械科棟を脱出した。
うすうす感じてはいたが、どうもここは学校らしい。どいつもこいつも曲がりなりにも学生服を着ている。そしてやはりここは船の上。機械科棟の向かいにある棟に入る前、はるか下に海を見、潮風を感じた。
電気科組員たち「オッス、組長。お疲れ様です!」
アスナロ「オゥ兄弟たち。ちょっと無茶な作戦だったからな。お互い無事でよかったぜ。」
ユピタ「イカツい兄ちゃん!俺はユピタ。行きたいところがあって、小舟を貸してくれないか?」
アスナロ「おれは電気科組長、アスナロだ。おめぇの願いもかなえてやりたいとこだが、今戦力がほしくてなぁ。」
ユピタ「手下になるか、死ぬか。の二択…?」
アスナロ「おめぇ、コダマのやつにそう言われたのか。安心しな、ここでそんなこと言うやつはコダマと、おれだけだぜ。だけどよ、その二択だとどうしようもないだろ?だから提案だ。おれの仲間になれ。機械科組に勝てたら、この船で目的地まで連れてってやる。どうだ?」
ユピタ「手下じゃないならいいよ。あいつらに勝つんだね。」
アスナロ「オーケー、兄弟。今日からおまえも電気科組だ。飯と寝床はおれのをくれてやる。今日はなんの仕事もねえ。機械科棟以外は入れるから遊んできな。」
と、いうことで船の中を探索することにした。どうやら船後方は共有空間らしい。船中央部の寮、職員室をぬけると建築科棟にたどり着いた。建築科棟はふつうに廊下でつながっていて、バリケードみたいなのは見当たらなかった。教室をのぞいてみると女子高生が3人立ち話をしていた。ここにはさっきのヤバめの雰囲気はない。
セムカ「あなた、見ない顔ね。どの科の人?」
背後の気配に気づきもしなかった。おどろいて振り返ると、そこにも女子高生が立っていた。
否、建っていた。さっき歩いてきた廊下が要塞…というより迷宮になっており、そのゴールに声の主がいた。
セムカ「あなた、今うちのクラスのぞいてたでしょ。ウチらに危害くわえちゃだめよ。」
ユピタ「いや、、危害くわえるつもりなんてないけど…」
セムカ「ふーん。ならいいわ。最近そういうの多いのよね。ウチはセムカ。あなた、名前は?」
ユピタ「おれはユピタ。一応さっきから電気科組に所属してる。ねぇ、この学校はなんでこんなぶっそうなの?」
セムカ「新入りだからしらないんだぁ。いいよー、ウチが教えてあげるわ。ここは、船上科学技術学園モフェルトン!」
建築科棟を散策していたユピタ。女子高生のセムカと出会い、この学校の残酷な惨状を知る。次回、6話、組長の恨みはオレらの恨み




