22話 そのデタラメはお見通し
怪盗に資料を盗まれた跡武。突然現れた探偵は、真犯人を跡武自身だと言った。到着した警察たち。跡武は逮捕されてしまうのか。「最強だと思ったもの」が能力になる世界の旅。「俺」と「俺の最強」を探す冒険ファンタジー!
警察が来た。そして探偵は逃げていく。もう、アイツ犯人でいいだろ。
警部補「失礼、この研究所に例の怪盗が匿われているとの通報があり、調査に来た。」
警備員「お巡りさん、またいつものようにガーランドさんは去られましたがコイツが犯人だと推理し、自白もしております。」
あとむ「…ええ。何なりと処罰を。」
あとむさんは何の抵抗もせずに警察の方へと歩いて行った。
センリ「ちょっと待たんかぁ! ええか、警察。今の探偵の推理はマチガイや! だってなぁ、アイツ(へっ、オレの能力改竄推理でまた犯罪者を増やしてやったぜ。オレが『こいつが犯人だ』と思えた奴を無理やり犯罪者にする能力だぜ)って、顔してはったんやで?」
⁉その場にいた誰もが驚いた。アイツの「顔」から何かを悟っただと?
警部補「なにを根拠にそんなこと言ってるんだ。とにかく署までご同行願おう。」
そのとき、狭い研究所の外から渋い声が響いた。
チェイサ「ちっと待たんかい。そこにいるボウヤの意見も一理あるのう。」
ドアにもたれかかって深々とフェドラ帽をかぶる男が、その場の警察を止めた。
警部補「警部! 一理あるとは、どういうことですか。」
警部と呼ばれた男は、イレブンスターをふかしながら研究所に入ってきた。
チェイサ「わしもな、前の調査で顔見て以来、おんなじこと思ったんじゃけぇ。もし仮に操られてるとしたら、自白にゃならんじゃろ。おんしら今日中に署に来んさい。そん時の証言が答えじゃ。」
なにか後ろで、センリがあたふたしている。
センリ「おい! もしかして、オヤジやないか。」
チェイサ「ああん? なんじゃセンリかいな。さっきの千里眼、どっかの小僧がやっとるんならええな思ったが、おんしならできて当然じゃのう。」
なるほど。この人はセンリの父親だったのか。二人で方言が違うのは置いといて、話が続く。
センリ「なんや、千里眼て。ワイの能力は唯我独走やぞ。」
チェイサ「千里眼は、わしと相棒だったやつが警察学校時代に編み出した究極の警察用読心術じゃ。おんどれは生まれたときからわしが鍛えとるけぇ。…あの探偵にゃわしは警戒されとる。おんしが行って見破れば、ヤツ自身が『こいつが犯人だ』と断定できのうなって術は崩れるじゃろう。」
そうか、奴の嘘を見破れてない俺は、今術にはまってるんだ。だから、アイツの不利になることを言えない。ここはセンリに任せるしかないな。
チェイサ「奴もここの研究者じゃけぇ。生物学心理科のな。奴の研究所は北西ブロックのBにある。術が解けたら警察署に来い。署は南西ブロックのBじゃ。警察諸君、帰るけぇのう。」
センリ「ちょっと待てや、オヤジ。もともと配属本部やったやろ。なんでこんな辺境に…おかんのためか?」
チェイサ「いいや、万里はわしがいのうても強え女じゃ。いらん心配じゃ。」
警部は煙をふかしながら警察たちを連れて行った。
ふぅ。とりあえず逮捕はされなかった。今から、あの探偵のところに行くのか。
センリ以外術中にはまっている。だが、クレイバの土地勘がわからない。跡武さんを呼び出せないものか。
ユピタ「セムカ、子守歌歌ってよ。」
セムカ「えぇ~…ふつうに恥ずいんですけど。まぁ、アイツに術かけられっぱなしなのも癪だし。♪子供は風邪の子~現金の子~」
すやぁ~ あとむさんは一息で寝てしまった。そして入れ替わり、起きる。
跡武「起きたぁー! あの探偵さん、うちのあとむさんにこっぴどく言ってくれまして、どうしてくれるおつもりなんですかねぇ!」
ユピタ「! あとむさんの間の記憶があるんだね。なのに術にかかってない。」
跡武「なんか、暗闇の世界で一人、遠くにいるあとむさんを眺めているような感覚なんです。だから、挙動がおかしければすぐにわかります。さぁ、術を解きに行きましょう。」
跡武さんはクレイバの地図を描いて教えてくれた。円形の都市は中心へ向かうにつれて低くなる。外壁の6か所から中央に水が流れ込み、その水路によって北東、東、南東、南西、西、北西、中央の7つに地区が分けられている。さらに外周の6地区は2つに分かれており、A、Bと記されている。
跡武「このA、Bは階級です。大きな功績を残せば僕みたいなB級研究者もA級となり、大きな研究所が与えられます。」
セムカ「この都市の構造…変。」
センリ「なんや、ここか。ワイが走れば一瞬やで。」
ユピタ「行くか!」
表へ飛び出し、センリにつかまった。次の瞬間にはガーランドの研究所まで来ていた。
跡武「これは驚いた。瞬間移動ですか。」
センリ「いや、走っただけやで。じゃあ、行くで。」コンコンコン「すんませーん、迷探偵さんおられますか。」
そのとき、ゾッと凍るような目線を感じ、さっと身構えた。
それは隣の家の二階にいた白衣の女性の目線であった。その人はつららのような目で、跡武さんをにらんでいた。
探偵のデタラメを暴きに向かったユピタたち。行く先々で怪しい人と出会いまくる。次回 23話 唯我独走




