2話 めざせ研究都市クレイバ!
猛獣うごめく森から抜け出したユピタとセンリ。センリの村の長老から、ユピタの種族の謎が明かされる!ユピタが「俺」と「俺の最強」を探す冒険ファンタジー!
「光の速度」がイメージできないからなのか、思ったより速く走れないな。
センリ「悪ぃ悪ぃ。置き去りにしてまったな。いろんなこと、その目で見て学ばんと、なんにもできへん。まあ、これからや。せやけどついたで。わいの村ケルや!」
すごい。人がたくさんいる。村というよりは市場というにぎわいだ。
センリ「わいらはケリスト族いうてな、この大陸を行きかう行商民族や。ここはその拠点の一つ。どや、ここなら安全やろ。」
ユピタ「あの、俺、生まれたときなんで一人だったのか知りたいんだ。なんか調べる方法ないかな、お兄さん。仲間を、探す方法。」
センリ「せやな、少なくともわいは知らへん。たしかにどう見てもわいらとちゃう種族やもんな。ワンチャンあるとしたら長老… いや、だめや。方法はあらへん。」
ユピタ「その長老ってのはそんなにやばいの?」
センリ「一言でいうと金の亡者や。あのじっちゃんにとっては情報も貴重な売り物や。今のわいの財布じゃあ武勇伝くらいしか聞けへん。」
ユピタ「行ってみるだけ行ってみようよ。」
センリ「まあ、ええか。どーなってもしらんで。」
ということで長老の屋敷へやってきた。荒野の村に1本だけそびえたつ巨木。そのうろに、誇らしげに美しいドアがついていた。涼しい木かげの下、戸を叩こうと手を伸ばした、その時だった。
ピピィーーー あたりに笛の音が鳴り響く。
コマッズ「あ"ー、あ"ー、そこにいる小僧につぐ。わしはケリスト族の長老コマッズじゃ。たった今、おまえはわしの敷地に侵入した。入場料1500π払ってもらおう。」
ユピタ「すいませーん。俺、金なんも持ってなくて。聞きたいことがあるんですけど。」
コマッズ「洒落にならんぞ、無一文でわしが動くと思うのか!」
ユピタ「とにかく聞いてくださいよ。俺が何族か、知ってませんか?」
コマッズ「ふむ、たしかに見慣れない種族じゃの。…もしや、小僧!目を見せてみい!」
木の上からかろやかに老人が飛び出してきた。そして眼光きらびやかに俺の目をじっと見つめてきた。
コマッズ「 … 4,5,6,7, … 12! やはり。おぬしは寿殿我族じゃ!目の虹彩に十二点がある。」
ユピタ「ジュ、寿殿我族? その種族の村は、このあたりにあるんですか?」
コマッズ「村があるかどうかなんてレベルの話じゃない。寿殿我族がこの世界にいたのは500年も前じゃ。」
ユピタ「そんな… でも、俺の以外にも卵がありましたよ!?今が生まれてくる時期なんじゃ、」
コマッズ「なるほど、卵生じゃったか。その可能性もある。じゃが他の子が生まれてくるのを待つのには時間が足りない。小僧、お前には言っておかねばな。寿殿我族の寿命は、一年じゃ。」
そのとき、俺の心は暗闇の渦へと飲み込まれていった。仲間に会えぬ不安、この世界で何事も成せない絶望、そして『死』という底知れぬ恐怖。それらが絡みあい、心を締めつけ、俺を底なし沼へと引きずり込もうとした。一年… 一… 年…
誰かの声が聞こえる。声が、俺の魂を現実へと連れ戻した。
センリ「おい! おい! 小僧! 起きろや!」
ユピタ「あ、お兄さん、俺、どうしよう。もうすぐ死んじゃうよ。」
センリ「なに言うとんねんボケ。言ったやないか、『生まれたからには走りだせ』って! わいらは寿命来んの指くわえて待つアホちゃうねん!行動してなんぼやろ、人生は!」
コマッズ「センリの言うとおりじゃ。まだ一年ある。今すぐ、仲間を探す冒険に出るのじゃ! 卵のところには、たまに見に来て確認すればよい。」
ユピタ「教えてください!どこに行けばいいんですか!」
コマッズ「まずあたるとすれば…古代研究都市クレイバじゃろうな。センリ、おぬしなら道がわかるじゃろう。連れてってやれ。」
センリ「クレイバかぁ~、ちーっと思い出があるんやけどな。ま、ええか。行くで小僧。そや、まだ名前聞いとらんかったな。わいはセンリ。」
ユピタ「俺はユピタ。よろしく、センリ!」
センリ「ああ、よろしく。じゃ、一丁クレイバまで行くとすっか!」
コマッズ「おぬしらに各町の長老への紹介状を渡しておこう。物資の補給ができるはずじゃ。」
ユピタ「あ、そうだ。長老、入場料とか払ってないけどいいんですか?」
コマッズ「いや、それはいい。わしの故郷の言い方を借りれば、これはお前らへの掛け金、オールインじゃ!」
ユピタ「ありがとうございます! それじゃあ行こう! めざせ研究都市クレイバ!」
かつてセンリが、クレイバへむかうときに通った地峡は封鎖されていた。 ユピタたちは未知の海原ルートへと足を踏み入れる。次回、3話、見えて届かぬ海の先




