1章 俺の最強の能力 1話 生まれたからには走りだせ
生まれたばかりの少年ユピタに、怪獣が襲いかる。そこに現れたのは『最強の足』を持つ男!
「俺」と「俺の最強」を探す、冒険ファンタジー!
パキ パキパキッ バリバリバリッ
ユピタ「ふわぁー。やっと生まれたか」
俺の名は…ユピタ。生まれたばかりなのに、自分のことを知っているぞ?なぜだ?
あたりには自分の入っていたと思われる卵の殻が散乱していた。
まわりを見渡すとほかにも同じ大きさの卵が置いてある。が、人影はない。
そのうち親が帰ってくるだろう、と思って待っていたが、3度日が昇っても親は現れなかった。
腹がへったので仕方なく自分でめしを探しにいった。巣のあった山を少し降りると森があった。
生まれた時からこんなに「考えて」「動ける」のだし、この世界で生き残るのは余裕だと思った。
苦労なく獲物は見つかった。自分の体長の三分の一ほどのトカゲだ。捕まえようと手を伸ばした。
そのとき、トカゲが急に巨大化しだした。
なに!? なんなんだこいつは!? 無理だ。勝てる大きさじゃない。時間がものすごく遅く流れ始めた。
ユピタ「これは、走馬灯か。おれ、死ぬのか。いったい、なんのために生まれてきたんだろ。」
すべてをあきらめたその瞬間、光が消えて真っ黒になった。
ユピタ「これは、死んだのか? いや、生きている!」
手足には風にあたる感覚がある。視界も晴れ上がり、気が付くと細身の男に抱えられていた。
センリ「間一髪だったなあ、小僧。」
ユピタ「あ、助けてくれて、ありがとうございます。今のはいったい?」
センリ「わいの能力は、光より速く走ることじゃから。慣れてないと視界が真っ黒うなるんじゃ。」
ユピタ「最強じゃないですか! じゃあ、あいつに勝てるんですか!?」
巨大化したトカゲが怒り狂って、木々の合間を縫って走ってくる。
センリ「ああ、勝てる。 逃げるが、勝や!」
見る見るうちに遠ざかっていく。今回はさっきほどの速度ではないようだ。
ユピタ「か、勝ってないじゃないですか。」
センリ「しかたあらへん。こういう能力や。わいの『最強』は戦闘にこだわらへん。命優先や。わいも生まれたときに死にかけた。そんなんで死んでたまるか!生まれたからには走りだせ!」
ユピタ「その、能力ってなんなんですか?」
センリ「おぉ、まだ知らへんのか。この世界のすべてのいきものにはな、自分が『最強』だと思っているものを実体化できる能力が備わっとんのや。わいの『最強』はこの足や。自分、イメージしてみ。わいの村まで競争や!」
ユピタ「はい!」
俺は、とりあえずついていくことにした。
「誰よりも早い脚」…よし。森を抜け、荒野へと駆けだしていった。
センリの村までたどり着いたユピタ。センリたちケリスト族の長老から明かされた、ユピタの属する「寿殿我族」の秘密。次回、2話 めざせ研究都市クレイバ!




