3章 この世の秘密を紐解く地 19話 地を語る種族
古代研究都市クレイバまであと少し! 道中、ユピタ、センリ、セムカの3人は抗争で起きた気になることについて考える。「最強だと思うもの」が能力になる世界の旅。「俺」と「俺の最強」を探す冒険ファンタジー!
俺たちは船上学園モフェルトンに別れを告げ、ひたすらに森を進んでいた。先生に聞いたところ、この森を抜ければ道があり、それを西へまっすぐ進めばクレイバの正門につくという。
センリ「クレイバなら、陸路で何度か行ったことはあるさかい。モフェルトンなんかと比べると「古代」てかんじやで。電気もある。金属もある。やけど、研究にばっか使うて発展はせんのや。」
セムカ「いいじゃん。ウチは古風な建築も見てみたいな~」
ユピタ「まあ、俺は早く俺がどんな種族なのかを知りたいよ。ずっと気になってるんだ。」
ユピタ・センリ・セムカ。。。(そう! 気になっているといえば!)
皆心の中で考え出した。
ユピタ。。。(抗争中、ニコラスと戦った時、俺たちだけ3日も時を飛び越えていた。これも種族の秘密なのか?)
センリ。。。(ワイはなんでクジラの声を聞けたんかいな。あと奴が言っとった『星に選ばれしもの』? なんやわからへんなぁ)
セムカ。。。(サクラさんの刺青、あの家の出身だったってこと? もうやだよ、あんな家、私の血筋! もし、悪い予感が当たっちゃったら、守らなきゃ、サクラさんを。)
俺もたいがいだが、皆気になることがあるようだ。まあ、そのうちわかるだろう。そんな気がする。
森を抜け、道に出た。土の道が東西に続いており、道の向こうには田畑が広がっていた。さらに奥には銀嶺が連なっており、落ち着く風景であった。航海士の能力で方角はすぐにわかる。右に向かって道を歩き始めた。
道を行き、久しぶりに学生らしくない旅人の集団とすれ違う。センリの故郷、ケル周辺ほどの賑わいではないが、俺たち同様学者に情報をもらいに来る旅人が多いようだ。
田んぼのあぜ道と合流し、道幅が広がった。と、同時に同じ歩幅で歩く一人旅人と合流した。
なんか、気まずい。俺の今の服はアスナロにもらった学ラン。こんな服はなかなかこの景色に似合わないものだが、隣に歩いている人もだいぶ中二病チックな奇抜な服装で、似合わない。
跡武「あの、もしかしてあなた方もクレイバ向かってますか?」
ギョッ 謎の中二病長髪お兄さんに急に話しかけられた。見た目の割には丁寧な話し方だ。
ユピタ「あ、はい。お兄さんも旅をして、クレイバに向かっているんですね。」
跡武「いいえ、クレイバ住まいです。旅っていうほどの旅もしてません。」
ユピタ「へー、クレイバ住まい...いろいろ教えてほしいですね。」
跡武「え? 僕の研究について?」
ユピタ「いえ、クレイバのことを。」
跡武「え? 僕の家のことを?」
...だめだ、コイツ。話がかみあわない。
歩いているうちに、坂を上っていた。もうすぐ着くのかもしれない。
坂を上りきると、そこには立派な門があり、衛兵が二人立っていた。
すぐそばまで行くと、俺たちは衛兵に止められた。
衛兵「ただいま警戒中により、紹介状、パスポートのない方の出入りはご遠慮いただいております。」
え、入れないってこと? せっかくここまできたのに。
さっきのお兄さんが衛兵に尋ねにいった。
跡武「何かあったんですか。警戒中なんてめずらしい。」
衛兵「これはこれはB4研究室の跡武さん。いやね、怪盗が現れて研究資料が盗まれるという事件が起こったんですよ。」
跡武「それはそれはお気の毒に。それはどこの研究所なんですか?」
衛兵「あなたのとこですよ。」
跡武「えぇぇぇぇーーーー⁉」
跡武さんというのか。驚いてこちらまで飛んできた。
衛兵「しかもですね、明後日の夜にもう1度盗みに入ると予告状があって、極力人の出入りを制限してるんです。」
跡武「そうなのか、早く研究所に戻らねば。通っていいですか。」
衛兵「あなた一人なら。ですが、連れの3人は、ちょっと…」
…そうだ、紹介状と言えば、ケルの長老コマッズさんがくれたっけ。でも、こんな異国の地で効力はあるのだろうか。まあ、とりあえず出してみよう。
ユピタ「あの、この紹介状って使えませんか?」
衛兵の人にさっと渡した。跡武もそれに目をやった。
衛兵・跡武「…なにぃぃ! ほんとにコマッズさんか!」
なんだろう、なにかすごい顔をして、熟読している。
跡武「たしかにコマッズさんの筆跡だ。十分すぎる紹介状です。さあ入りましょう。」
衛兵「はい。なんの問題もありません。」
ユピタ「なんか、すごい人なんだなぁ。コマッズさん。」
門を開けると、フラッシュが入り、目を眩ませた。少しずつ目を開け、景色が映ってゆく。
ユピタ「ここが、クレイバ。」
美しい都市だ。まず思ったのはそれだった。傾斜の緩い円錐状の窪地に、だんだんと家が並んでいる。中心へ行くほど立派な建物になっている。そして、縁から中心へと6本の水路が流れており、それを用いた水車が回っている。
跡武「早く研究所へ帰らねば。君たちも来ますか?」
ユピタ「まぁ、行ってみるか。なんの研究をしてるんですか?」
跡武「さっき、言おうとしましたが… 僕の専門分野は地学。大地科学です。その過程で今は、「地を語る種族」寿殿我族について研究をしています。」
ユピタ「え…寿殿我族⁉」
クレイバの前で出会った奇抜な研究者・跡武は、ユピタの知りたい「寿殿我族」の研究者であった。その秘密を聞こうとしたユピタであったが、次の朝になると跡武のようすがおかしい。次回 20話 コミックパニック




