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10話 開戦

コダマの過去を知るため、アスナロに妹・メブキの命日を訊いているユピタ。そして全面戦争が幕を開ける。「俺」と「俺の最強」を探す冒険ファンタジー!

アスナロ ~ メブキ、メブキ! そんな、

いや、きっとまだ生きてる!


ザバァン ハッとした。コダマはすでに飛び込んでいた。

コダマ「メブキー! オレの、オレのせいだぁ! 今、助けるからな!」


チッ なんだと、今更… なんて考えてる場合じゃねえ!

ザバァン すぐさま飛び込み、クジラを追う。


ピキピキビキッ、バキッ、バリバリッ  ガシッ、巨大な機械の手がクジラをつかんだ。

コダマ「機械剛腕(サイボーグアーム)! 待てよコラァ! メブキを、返せ!」

ザッパァン ザッパァン クジラがもがき、荒波が押し寄せる。


アスナロ「オレが助ける! 対消滅タックル(ぶつかりわかちあう)!」

 ドウィーーン 光がはじけ、オレの肩とクジラの横っ腹が消滅した。

グオォーン クジラがうなり、何かを吐き出した。


メブキか!? 「それ」を見てオレの希望は消え失せた。

「それ」は夕日を反射して緋色に染まり、しぶきを輝かせながらオレの前に飛んできて海に落ちた。

「それ」は、メブキの、喰いちぎられた腕だった。


オレは震えながら、その差し伸べられた手を取り、そっと、握りしめた。

あぁ、生まれてから、この手を何度にぎったことか。

まちがえるはずもない。これは、アイツの手だ。かすかな温もりさえ、海の闇へと消えていった。 メブキは、死んだ。


アスナロ「ウォーーーオォォ…」 俺の顔は、飛び込んだ時よりもぐちょぐちょに濡れていた。


コダマもなにやら泣いていた。 クッソ、あいつ、

アスナロ「お前のせいだぞ。お前のせいでメブキは! 許さねぇ、メブキがてめぇを許すまで、オレはてめぇを許さねぇ!」


~ アスナロ「これがオレの知る『メブキが死んだ日』だ。」


ユピタ「やっぱりこんな抗争おかしいよ! コダマだって死んでほしくて言ったわけないじゃん。」

アスナロ「うるせぇ、んなこたぁ分かってる! だけどな、まだメブキはあの野郎を許してねえ。メブキが許すまで、オレはあの野郎と戦う。男の戦いってのは、一度始めたら止められねえんだ。」


キーンコーンカーンコーン 授業終わりのチャイムで一気に現実へと戻ってきた。


アスナロ「もう放課後か。オレと一緒にラグビー部来るか?」

ユピタ「よし。ちょっと息抜きだね。」



甲板のラグビーコートにやってきた

アスナロ「… そうか、今日は電気科ラグビー部と機械科ラグビー部が隣でやる日か。気を付けねぇと。下手したら全面戦争になっちまう。」


向こうで1年生たちが話しているのが見える。入学当初から抗争中だから、抗争に対する感情移入はしていないらしい。

カンベエ「あーもう、ぼくら建築科はどっちに入って練習すりゃいいんだ。」

カチュウ「まあ、今日くらい休んでもいいんじゃない?」

ガク「はぁ~あ、なんで抗争なんてしてるんだろうね。僕も電気科と練習したいよ。」


クヌギ「おぅい、電気科なんかと話してんじゃねぇ。アップ始めるぞ。」

ガク「うっす、すいません先輩。」

くるりと振り向き、友に別れをつげていた。


カチュウがこちらに走ってくる。

カチュウ「やぁ、ユピタ。君もラグビーやるのかい?」

ユピタ「うん。パスの仕方とか教えてよ。」

アスナロ「よし。やるか。」

俺たちは半コートで練習をはじめた。



練習が盛り上がっている。抗争を仰ぎ見る鈍い葛藤も、汗をかけばどこかへ吹き飛んだ。

ユピタ「ヘイ! 後ろユージット!」

カチュウ「ヘイ!」

シュウーン しまった、取り損ねた。かなりの速度のボールが機械科のほうへと飛んで行ってしまった。


カチュウ「やべぇ、ぼく取り行ってくる!」

シュウーーーーーーーン ドガッ あたったのは…コダマの頭だ…


タッタッタッ カチュウ「す、すいません、あの、ボール飛んでっちゃって、」

コダマ「あ? いい度胸してんなぁ。てめぇ。ちょっとツラかせ。」

ドガッ ボカッ  やばい、カチュウがキレられて痛めつけられてる。助けに行かなきゃ。


そのとき、後ろからすさまじい速度でアスナロが追い抜いてきた。 

ダダダダッダッダ

アスナロ「てめえ! オレの兄弟に手ぇ出してんじゃねえよ!」

ガシィ アスナロはコダマの胸ぐらをつかみ、殴りかかろうとした。


ニコラス「ほっほっほ、アスナロ君そこまでだよ。吾輩は機械科軍師のニコラス。コダマ組長の服にはセンサーが入っていて、ダメージを負うとうちのロボットの総攻撃が始まるようプログラムされている。悪いことは言わない、組長を殴るのはやめときな。」

コダマ「そういうことらしいぜ。全面戦争はしたくないだろ?」


アスナロ「知ったことかよ!てめぇのそういう精神が人を傷つけてきたんだ。一遍傷ついてみろ!」

ユピタ「おい、待てよアスナロ!」


アスナロ「対消滅腹パン(わかりあえなかったな)!」

ドウィーーーーン    燃えるような閃光とすさまじい爆音が通り過ぎて、コダマの腹筋とアスナロの拳が消滅していた。コダマはコートの向こうへと吹っ飛び、鈍い音をあげて地面に転がり落ちた。


ワァァァァァン ワァァァァァン

サイレンが鳴り響く。機械科のロボット部隊が出撃したようだ。やばい、電気科棟を守らなくちゃ!

コダマを殴り飛ばし、ロボット軍団が電気科を襲う。電気科にも軍師・ソンブがおり、対策を打てるようだが...?次回 恐怖の機械科ロボット部隊

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