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ナロト奇譚  作者: 木山碧人
第十二章 ナロト攻略

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第95話 予想

挿絵(By みてみん)





 どうして……こうなったんだっけ?


 ジェノの目の前では二匹の魔獣対二人の仲間の戦闘が繰り広げられている。爆発と意思能力が複雑に入り混じり、それぞれが全く引けをとらず、互角の状態が続いていた。この戦闘自体は想定の範囲内だし、二人がこの場に居合わせたことも特に違和感がない。バグジーは動機不明だけど魔獣を殺して回ってたわけだし、セレーナは『暁の星』を使えば地下空間に位置する場所ならどこからでも合流できる。


 ただ、戦闘になる前後が全く思い出せない。


 ジーナと闘っていたのは覚えているけど、どうして味方になっているかが分からない。話し合って解決したようにも思えず、人形のように静かだった。


 思い当たる節があるとすれば、白き神が出張っていること。以前にも似た経験があり、心の奥底に閉じ込められたことがある。恐らく、それに近しい何かだ。自分以外の存在に主導権を握られているのは間違いなく、身体を動かそうと思ってもピクリとも動かない。


 とはいえ、安易に白き神が黒幕だと決めつけるのは違う。人を殺してしまった反動……堕天によって白き神は心の奥底に封じられており、ジーナ戦で危機的状況に陥ったから出てきたとは考えにくい。確率はゼロとは言えないけど、堕天状態の黒鎧を維持できていた時点で活動を抑制できていると思っていいはずだ。白銀の鎧を纏えている状態が正常で、そうじゃないなら別の者が介入していることになる。


 だとしたら、誰なのか。特定の個人だけじゃなく、悪魔や思念のような超常的存在も考慮して候補を絞らないといけない。広大な砂漠の中からダイヤを見つけるような作業だけど、手掛かりはあった。


 取っ掛かりとなるのは、一発の弾丸。


『黄道十二宮。神の意思を十二等分する』


 ジーナ本人の口から語られ、十二の超常の一つに選ばれたもの。たぶんあれは、『血の千年祭』で心臓に撃ち込まれた弾丸と同じだ。能力の内容も彼女の言った通りとは限らないし、出所も不明だけど、おかしくなった原因としては最も確率が高い。だからこそ、考察する価値のある材料であり、掘り下げるべきは、銃弾の側面に刻まれていた特徴的な十字架か。


 確かあれは、白教のシンボルで『オクシタニア十字』と呼ばれるものだ。均等に伸びた十字には十二の突起があり、その先端に黒い球体が描かれている。左腕にある黄金のガントレットにも似たようなデザインが採用され、何らかの影響があるのは明らか。それが『黄道十二宮』に関係あるのかは不明だけど、掘り下げるための取っ掛かりとしては十分だった。


 十二の超常に、十二の球体がある十字に、黄道十二宮。いずれにしても十二という意味合いに強い結びつきがあり、新たなに発現した能力も十二の数字に絡んでいると思っていいだろう。ガントレットの突起の数も恐らく元々は十二で、ジーナ、セレーナ、バグジーにそれぞれ一本ずつ消費して残り九本になったと思われる。


 ただ、記憶が正しければ、弾丸を撃ち込まれた左腕は引きちぎって、その辺に放置してあるはずなんだよな。弾丸がおかしくなった要因ではあるんだろうけど、現在進行形でおかしくしている原因でもない気がする。


 こんがらがってきたな。能力の概要は掴めた感じはするけど、本質的な部分には届いてない印象だ。犯人を特定したところで意味があるのか? という疑問もあるけど、外に出るための条件になるかもしれないし、これといってやることもない。ひとまず、今までの情報を総合して、仮説を立ててみよう。


1、弾丸の製造者説。


2、白き神の上位形態説。


3、センスが自我を持った説。


 おおまかに挙げるならこうかな。もっと単純化すれば他人か神か自分かの三択だと考える。1に関しては突き詰めて考えても答えは出ないし、弾丸は摘出したから除外する。可能性が高いのは2か3だ。


 2は強い外部からの衝撃によって白き神の副反応を引き起こし、白銀の鎧や堕天を超える領域に到達したケースだ。もはや、人間の知識では計測できない場所で、言ってしまえばなんでもありのご都合主義に近い。神だからで説明がついてしまうし、これもまた突き詰めて考えても答えは出ない。


 残るは3だけど、これもなんだかなぁ。意思の力ってのは、自分自身が制御できる自由意思の範囲内で使えるイメージで、外に出す顕在的な面と内に秘める潜在的な面の両方を兼ね備えているけど、自分の想像を超える自我が働いたってのはいまいちピンとこない。出自や血族に特殊な事情があれば可能性は濃厚だけど……。


 いや、ちょっと待て。


 『波』が見えるようになった要因は魔眼だ。つまりは、異世界人の血を引いていることに繋がり、それが何らかの影響を及ぼしている可能性は捨てきれない。出自を知ることができれば、身体を操っている犯人にたどり着くかもしれない。


 本来なら知ることは不可能だ。時間を遡って自分の出生時前後の映像を見ることなんてできない。でも、可能だとしたらどうか。多少、歪んでいたとしても、取っ掛かりを知ることができるのだとしたら……。


「――――」


 ジェノは自身の『波』を見る。目の前の起こっている現象の裏を取るために、過去に意識を飛ばした。

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