逃げ切れるはずもなく。
インフルエンザになってたせいでストックほぼゼロです。来週更新出来なかったらすいません。
「さぁ、今度こそ全部聞かせてくれるよね?」
あぁ、目の前の笑顔が恐ろしい。
来客にすぐ反応出来たはずのマスターが気付かない、最早チートな気配の消し方に驚愕するしかなかった私は現在南條さんの実家にお邪魔している。どこから話を聞かれていたか分からない以上迂闊に話すことは危険だと思い、移動中は一切口を開けなかった。最初からだったらどうしよう。結構暴走して好意を口にしていた気がするけど、思い出す余裕もない。
「えと…、何のことでしょうか…?」
「全てですよ。まぁ1番気になる所を言うならば、僕が紫帆の最推し「わー!!ほぼ最初から聞いてたんですね畜生!!」」
なんてこった。誤魔化しようがないくらい全部聞いてるじゃないか。
テーブルの向こう側にいる南條さんの口を塞ごうと身を乗り出したが逆に捕まってしまう。何かを企んでいる笑顔から一転、真面目な顔で見つめてくるのは狡いと思う。
「この前逃げたのでだいたい僕の勝ちな気がするけど、ちゃんと紫帆の口から聞きたいなぁ。」
「何のことでしょうか…?」
「まだ誤魔化すの?…紫帆、僕は紫帆が好きだよ。」
「あ、その、ですね…。」
「うん?」
「……私も、好き。…だと思います…。」
言ってしまったことが恥ずかしくて身を引きたいのに、そうはさせてくれない目の前の彼は更に自分の方へ寄せようとする。この体勢だいぶツラいから離してほしいけど、さっきとは違うとても嬉しそうな笑顔でいるのでこのままでもいいかなと。
ついでに誤魔化したことを忘れていてくれれば万々歳なんだけど。
まぁ、そんなこと見逃して貰える筈もなく。
「へぇ…、随分とまぁ…。」
テーブルに置かれた端末には私が攻略して気に入ったスチルが映されている。最推しだった翔のエンディングの1枚だ。恐々とチマチマ説明をする私の声をBGMに全てのスチルを1枚1枚じっくりと確認した南條さんは感心したように呟く。
因みに、説明の前に最推しを聞かれて翔だと答えた瞬間に唇を奪われたことは恥ずかしすぎて忘れたい。
「彼等はアニメーションになるとこんな感じなのですね…。」
「驚かないのですか?」
「現在進行形で驚いてますよ。でも、本の世界だって言われた時よりはしっくりきてます。」
本当に彼のスペックはどうなっているのだろう。普通だったら頭の可笑しな奴だと思うだろうに。"腹に刺さった槍引き抜いてキレてる人間なりを見てれば信じるしかないですよね"って。馬鹿にしてますよね。
それにしても、もっとネチネチ小言言われるかと思ってたけど軽めな尋問で済んだことに肩の力が抜ける。この話はおしまいだと端末の回収を…
「駄目ですよ。」
「え?もう全部話しましたよ?」
素早く端末を奪って操作してるけど、それ私のですからね。プライバシー!
「ちょうど母が夕飯を作り終えたそうです。お義母様には連絡しておきましたので、食べ終えてからゆっくり再開しましょうか。」
画面には麗君のどアップ。
今日、帰れなそうです。。




