1番重要なことが聞けないパターンってありがち。
金平糖美味しい(更新しろ)
動いたのは無意識だった。
自分でも驚くくらいのスピードで彼との距離を詰め、右手をそのお腹に食い込ませる。後ろによろめいたその顔は痛みに歪んでいた。
だって目の前の彼の言葉が嘘でないなら。
「アンタが全ての原因か。」
沈黙は肯定。綺麗に90度頭を下げた中嶋君にどうしようもない怒りを覚える。右手を再び繰り出したが今度はいとも簡単に止められてしまった。
「なんで…なんでこんなことしたの!?結花ちゃんが亡くなって、どれだけ麗君がっ!」
絢子に麗君の話をしてから少しずつ朧気になる記憶の中で鮮明なそれは胸を締め付けてどうしようもない。両親の顔も友人の顔も曖昧になってしまったのに、あの子の病室から出てきた時の彼の表情が。大丈夫だと言った彼の無理矢理な笑顔が。
私が支えたかったのに。彼の痛みを分かち合いたかったのに。
「麗にも君にも本当に悪いことをしたと思ってる…。」
溢れ出た涙を拭ってくれる手を振り払う。あらゆる暴言をぶつけたいのに、口から出るのは嗚咽のみ。なんて惨めなんだろう。
「結花ちゃんが好きなら私達を巻き込む必要なかったじゃない!」
「俺だってそうしたかった!でも管理人なんだ!生活は出来ても介入は出来ないんだよ!」
小さな公園の隅で泣き叫ぶ大人2人は端から見ればなんと滑稽だろう。しかし不気味な程人の気配はなく、また時間が流れている感覚もない。
結局ここは夢なのか。
「管理人でも手が出せる抜け道を教えてもらったらやりたくなるだろ!?」
「知らんわそんなの!自分の都合で巻き込まないで!ていうか、アンタが神田先生の中身?何あのキャラ、気持ち悪すぎ!」
「禁忌の副作用だよ!俺だって好きであんな台詞言わんわ!」
ぎゃーぎゃー。流れた涙が乾くくらいには暴言の応酬を繰り返していた気がする。最早何について説明を求めていたのか分からないくらいだ。目の前の中嶋君と神田先生時代のキャラが結び付かなすぎていっそ笑えるくらい。
「ん?抜け道を教えた人がいる?」
「あぁ、可能性の1つだと掲示してくれた。」
「じゃぁ、黒幕って…。」
「そこまでだ罪人。」
何か恐ろしい事実が発覚しようとしたところで第3者の声がした。あまりにも低い声に肩を震わせ視線を動かせば、なかなかガタイのよろしいオニーサン。誰なのか聞こうと中嶋君の方へ顔を向けたが、既に拘束され会話不可能となっていた。
「怪我はないか?」
「え?あ、はい。話してただけなので特には…。」
守るように後ろに隠され聞かれるが、そもそも加護があるから物理的に私を傷付けるのは事故でも起きない限り不可能な気がする。あれ?私もしかして無敵?
そんな馬鹿なことを考えてる間に中嶋君の姿はなくなり、景色も何時間か前に見た通りに戻っていた。結局たいした話は出来なかった気がする。しかも肝心なところ確認出来なかったし。
抜け道を教えた人って誰なんだろう。




