たまには私が意地悪したい。
まったく関係ないけど、豊洲市場行ってきました!
お寿司美味しかったです!
「胃が痛くなってきた…。」
バレンタイン当日。
他の友人達と同様にお昼休みにお菓子を配り回り、一度帰宅してから向かったのは姉妹校で篠崎さんが理事長をしている私立校。
昨夜南條さんの仕事が終わる時間を確認したくて篠崎さんに連絡したところ、夕方までは学校にいるから来ないかと誘いを受けてしまった。部外者が入るのはどうかと思ったが理事長自らが出迎えてくれるのと、サプライズにはもってこいだなと思って承諾。
そして現在、篠崎さんに到着の連絡を入れて校門前で待機している。
こちらも自由登校のシステムがあるのか、15時という微妙な時間に登校する生徒もいれば帰宅する生徒も見られる。そんな彼等は私を見ると不思議そうにするが特に絡まれもせず。ただ視線は痛いので、篠崎さんには早く登場してほしいところ。
「やぁ紫帆さん!待たせてしまってすまないね。」
「あっ!えっと、理事長さん?」
「ははっ!いつも通りで構わないよ。それにしても、今日は大分印象が違うね。」
「向こうでの自分にできるだけ寄せてみました。」
制服のまま行って注目を浴びるよりはと、帰宅した際に着替えたのだ。万が一生徒に見られても可笑しくないように向こうにいた頃の服に似たものをコッソリ購入して。残念ながら愛用していたブランドは存在していなかった。まぁ、メイク道具は少しずつ揃えていたので顔は完璧。これなら高校生には見えないはず。
「化けるねぇ。」
「中身は28歳ですし。」
「貴史の驚く顔が楽しみだね。さぁ、応接室へ案内しよう。」
裏手の職員玄関から入って事務室で記録簿に署名をする。"理事長の姪っ子さんは綺麗だねぇ"なんて声を背に理事長室の隣にあるらしい応接室を目指す。姪という設定は篠崎さんが考えたものだ。
なんとなくソワソワした空気の中に漂う甘い香り、黄色い声がしたのは階段の手前だった。こちらに背を向けているその人は見覚えのあるシルエットで、女子生徒に囲まれて身動きが取れないようだ。
「先生これ受け取ってください!」
「あはは、ありがとうございます。」
「先生私のもー!」
想像通りの光景で面白くない。私が不機嫌になったのが分かった篠崎さんは、それは楽しそう笑う。
「南條先生は今年も凄いですねぇ。」
「え?理事長?」
「あー!篠崎先生女の人連れてる!?」
「しかも超綺麗!お似合い!」
生徒達は一斉にこちらを振り返りやや興奮気味に語り合っている。南條さんといえばアホ面でこちらを見るだけ。あれ?もしかして気付いてない?
「理事長!そんな若い方に手を出すのは止めてください!じゃなくて!学校に連れ込まないでください!」
「ぶっふぉ!」
あ。篠崎さんが吹いた。我慢の限界みたいで涙目になってお腹を抱えて笑い出す。それに反して私は更に無愛想になっていく。
「貴史っ…どんまいっ。」
「何がそんなに可笑しいのですか!?」
「南條さん。」
私が声を出した瞬間、彼の動きが止まった。表情は驚愕に染まっている。その様子に生徒達も静かになった。
「紫帆…?」
「いつもお世話になっております。今日は篠崎さんにバレンタインのチョコを届けに来ましたの。」
「え…?」
「それでは失礼しますね。行きましょうか篠崎さん。」
見せつけるように篠崎さんの腕を取り案内を続けてもらえるように促す。悪ノリした篠崎さんは腕をそのままに、南條さんにドヤ顔を向けてから私の歩幅に合わせて歩き出す。そのエスコートたるや、まさに紳士。
情けない顔で追いかけてこようとして生徒に阻まれてる変態紳士など知らん。




