ブラウニーに隠したい嫉妬。
遅くなってすいません。しかもグダグダ。
「え?調理室の開放?」
皆さんこんにちは。無事にセンター試験を終え、ほぼやることのなくなった主人公でございます。ちゃんと春からの専門学校生活に向けて準備はしてるよ?マスターの所で鍛えられてるし。
「毎年してるのに知らなかったの?紫帆らしいと言えばらしいけど。前々日から開放されてるから一緒に作らない?」
誘ってきた友人達に呆れられている気もするが、そんな設定ゲームにはなかったので驚きたくもなる。
バレンタインを1週間後に控えている本日は珍しく友人全員が揃っていた。明日から3日程受験で休む友人を皮切りにポツポツいなくなるみたいだが、話を持ちかけてくるにバレンタイン前後は登校してくるのだろう。
「私は別にあげる人なんていないけど。」
「嘘おっしゃい!文化祭の時のイケメンお兄さんとの目撃情報が多々報告されているわよ!国立君のライブにも行ったんでしょ!?」
「アレはアンタが行けなくなったからでしょうが。」
「その件は本当に申し訳なかった。」
そんなやりとりから日が経ちバレンタイン前日。予め用意した材料を家から持ってきて朝から調理室の一角を占拠した。1・2年生は普通に授業があるので早くても昼休みにならなければ来ないだろうし、内部進学組も午前中はそれぞれ勉強しないといけないので、この時間からいるのは私達だけだ。因みに外部で決まっていない友人に勉強は大丈夫なのか聞いたところ、本命の試験は終わったから気分転換したいそうで。
「絢子、材料はちゃんと計って!」
「料理なんて適当で何とかなるわよ。」
「お菓子はちゃんと計らないとマズイから!」
どばーっと。砂糖が大量に投入されているボウルを取り上げて真っ青になる。流石に入れすぎだ。料理は確かに適当でもなんとかなるけど、お菓子はそうもいかないわけで。絢子は納得していない様子だけど、作り直す余裕はないので勘弁してください。隣で別の友人が大さじ片手にプルプルしている。あそこまでじゃないけど、少しは見習ってくれ。
「そういえば、絢子はともかく皆は彼氏他校じゃん?明日休むの?」
「いや、午前中だけ来ようかなって。お昼休みに内部組とかに渡したら帰るよ。」
「アタシもー。向こうも自由登校だから、お昼過ぎに駅で待ち合わせー。」
なるほど、それなら友チョコもばら蒔けるか。
「紫帆も待ち合わせしてるんでしょ?」
「え?してないよ?」
「はぁ!?超優良物件捕まえておいて!?アンタ何様!?」
「そもそも付き合ってないからね!?」
超優良物件なのは認めるよ?出会った当初はバグなのかと思ったくらいの紳士でしたし?今じゃただの暴走紳士だけど。
「随分余裕なんだねー。あの外見じゃ何処でも注目されるだろうし。紫帆の知らない所で沢山チョコ貰うんだろうねー。じぇんとるまーんだから丁寧に受けとるんだろうなー。」
「そ、それは…!」
先に完成させた自分のブラウニーをオーブンから取り出す手が止まってしまった。
確かに向こうの学校でもさぞかしモテているだろう。女子生徒が見逃すはずもない。仕事中の彼を見たことないから断定はできないけれど、まぁ恐らく紳士だ。行く末は想像できないけれど、一つ一つ丁寧に受け取りはする。
「なんか、嫌かも。」
そんな小さな呟きは4限終了のチャイムに掻き消されて誰にも届かなかった。




