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逆ハールートは存在しません。  作者: うかびぃ
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丁度首回りが寒かったのです。


「もう観念して頷いちゃいなよ、ウケるから。」



散々笑ってそう言われた後、私は待ち合わせの為に先に店を出た。時間まではまだ少し余裕があるが、あのまま居ても絢子に笑われるだけだ。あっという間に暗くなっていく冬の街を点灯したイルミネーションを横目に歩いていく。



賑やかな駅前広場の横に設置されている小さな公園は、街灯は少ないものの広場の明かりのお陰でそこまでの暗さは感じない。時間まで駅で突っ立ってるのも嫌だったので入口に近いベンチを陣取る。因みに待ち合わせ場所は広場の時計台だ。

そもそもこの後の予定、本当は別の友人と約束していたものだった。それが終業式の日に別の用事で断られてしまったのである。平謝りの彼女に休み明けの奢りの約束を取り付けて解散、そのままバイトへ。もう当たり前となった南條さんの来店で接客をした際、冬休みの予定を聞かれてウッカリその話をしてしまったのがいけなかった。これまた素敵な笑顔で同行を申し出られ、拒否しようにも恐怖の為断念。本日を迎えたわけである。



そしてこれから向かうのはライブハウス。国立君に誘われたものだ。

知らんぷりしても良かったのだが、如何せん彼がしつこかった。人目を盗んでは現れ当日来るかの確認をして去っていく。物凄くうざったかった。今朝も念押しの電話で起こされた。誰だ連絡先教えた奴。



「紫帆ごめん、待たせた。」

「っ!?…いや、よく分かりましたね。」

「紫帆が何処に居てもすぐ分かるよ。」



うわー愛の力デスカ凄いデスネー。

私が引いてるなんて思ってもいない彼は手にしていた紙袋に片手を突っ込みガサゴソしている。

出てきたのはマフラーだった。落ち着いた色合いのそれを素早く私の首に持ってきて満足そうに頷いている。



「やっぱりこの色が良く似合う。」

「えと、これは?」

「クリスマスプレゼントだよ。少し早いけど、当日は仕事で会えなそうだから。」

「あ、ありがとうございます…。」



どうしよう。正直凄く嬉しい。デザインも色も私の好みドンピシャだ。

ただ紙袋に描かれているあの絵柄、ハッキリとは確認できないけどそれなりに良いブランドのものだったはず。結構なお値段だったと思うけどいいのかな?これからライブハウス行くのに匂いがついたりしないかな?



行きましょうか、なんて言われて手を差し出されて私はつい右手を乗せて歩き出していた。









ライブは一言で言ってしまえば"凄い"だった。それしか出てこなかった。

ゲームでもライブを見に来るイベントがあったけど、細かく描写されてはいないし寧ろその前後のトラブルなりがメインのせいで本当に触り程度だったし。これはファンが多いのに納得。顔だけじゃなく素晴らしかった。

国立君の演奏がラストだったので最後までいたけども、帰り際に彼に話しかけられた時の南條さんの不貞腐れ具合は酷かった。現段階では彼女じゃないので勘弁してほしかった。"現段階"だなんて意味深に言ってみるけど、その日がくるかは私の気持ち次第だろう。



南條さんの車で家まで送ってもらった時一応マフラーの入っていた袋もいただいておいた。やっぱり有名ブランドのもので、これは流石にお返ししないとマズイ、とクリスマス当日まで悩み続けることになるのである。


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