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逆ハールートは存在しません。  作者: うかびぃ
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昨日はお泊まりしてたのね。


あの後雪の中南條さんに自宅まで送ってもらい、お風呂に浸かりながら明日からの計画を立てていた。のだけど、積雪量が予報を遥かに上回ったらしく翌日は休校。変に力が入っていたのか、肩こりが酷い。

休校メールと一緒に届いていたぐっちーからのメッセージには、この前の動画の編集が終わって投稿した旨と、次の課題曲の動画が添付されていた。最近じゃすっかりフラ子の後釜として活動してるけど、卒業しても続けるのだろうか。

まぁそれも追々だなと、とりあえず課題曲の確認をしようとしたのだが。



「これは…季節感…じゃなくて!」



軽快な音楽にテンション高めなキャラクター達。

某有名テーマパークの夏イベントのショーじゃないか…!え?コレいいの?公式?そもそもこの世界にもあるの?え、やだ、遊びに行きたいんですけど!卒業旅行しよう!絶対行く!

ここ最近で1番のテンションだ。しかも1番好きなイベントのショーの動画である。2年くらいしかやらなかったのがとても残念だった記憶がある。



どうやらキャラクターの周りで踊っているキャストさんの方の振りらしい。まぁキャラクターは動き回るだけだからね。

文化祭の後に自腹で取り付けた部屋の鍵をかけ、早速準備を始める。この天気なら別に呼び出しもかからないだろうから、今日は1日練習に充てよう。ぐっちー驚かせてやる。

まずは流れを確認しないととヘッドフォンを手に取ろうとした瞬間、



ガンッ!!



…。今のは部屋のドアだよね?




「紫帆てめぇ鍵なんかかけてんじゃねぇよ!開けろや!」



鍵を取り付ける原因となった奴に言われたくないよね。乙女の部屋に許可無く入るとかギルティですよ。というかガンガン叩かないでよ。ドアが壊れちゃうじゃんか。



「翔が勝手に入ってくるからでしょ?何の用?」

「今日は俺じゃねぇよ。恭介連れてきてる。」

「は?」



国立君が?こんな雪積もってる時に?わざわざ?



「入りたくて嘘つくにしても、もう少しマシな嘘言いなよ。馬鹿なの?」

「いや、本当なんだが…。」

「あれれー?」



可笑しいな、向こうから国立君の声が聞こえてくるぞ?

仕方なくドアを開ければ本当にいた。

翔が物凄い不機嫌な顔をしてるのは見ないフリして2人を部屋に入れる。飲み物をと思ったけど、買ってきたのか冷蔵庫の中を物色したのか翔の右手にペットボトルが握られている。恐らく冷蔵庫だろう。お母さん…翔に甘すぎ。



「そんで、こんな雪の日にどうしたの?」

「本当は昨日渡すつもりだったんだが、出掛けてたみたいだったから。」



ペラペラなそれは何かのチケットのようだ。2枚あるらしく、受け取れば彼のライヴのチケットで。

そういえば、かくれんぼの時に新曲がどーのって言ってたなぁ。まさかライヴに招待してもらえるとは。これファンに知れたらフルボッコでしょ。



「2枚?」

「あぁ。折角だから友達でも連れてきてくれ。」

「ありがとう。楽しみにしてる。」



なかなか良い人である。チケットを財布にしまい、壁掛けのカレンダーに予定を足す。来週の土曜はちょうどバイトもないしタイミングぴったりだ。

1週間後私がここに存在していればだけど。



「誰と行くつもりだ?」

「絢子かな?」

「その日、航太が誘ってたぞ?」

「え、マジ?」



なんてこった。社君相手じゃ勝ち目がないじゃないか。デート羨ましい。

絢子が駄目だと他の友人に声が掛けられないから候補がいない。国立君のバンドに興味がなかった私が急に誘っても怪しまれるのが確実だし。それか1枚の為に争奪戦が起きそう。甚大な被害が出そうなので却下だ。

じゃぁ他に誘える人間は?って聞かれると、今目の前にいる幼馴染みか篠崎さんか南條さんだ。翔は結花ちゃんと行くだろうし、南條さんしかいないかなぁ。でも結花ちゃんのいる場所に彼を連れていくのもなぁ。



「俺が一緒に行ってやるよ。」

「あんたは先生とでしょ?デート良かったね。」

「なっ!」



なんで知ってんだ!?って顔してるけど、結花ちゃんが隠してないからバレバレよね。

あぁごめんよ国立君。今この状況で結花ちゃんの話は複雑な気持ちよね。






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