逃避くらいしたいよね。
「さっきは取り乱してすいませんでした。」
さっきまで座っていた椅子ではなく壁際の棚横に置かれたソファに篠崎さんとマスターは移動していて、その向かい側に手を繋がれたまま座り頭を下げる。篠崎さんが微笑ましそうに見てくるけど、私オッケー出してないからね?
「いや、状況が状況だしそう捉えられてしまっても可笑しくはないからね。そこを考慮出来なかったのは申し訳ない。」
「大丈夫です。それより、今後のことですよね?」
これからどうなるのか。これからどうするのか。
どう考えても1人じゃあの2人に勝てないのでマスターの力は借りないとなんだけど。
「君のいた世界の管理者…今は神田先生と呼んでおこうか、神田先生が結花さんに恋をしたのが全ての始まりだ。勿論その恋が叶うことがないのは本人もちゃんと分かっていたけど、それ以降彼の動きが怪しくてね。彼女を救えるのは僕だけだーとか切り離した魂を他の世界へ持っていけばーとか。」
隣から気持ち悪って声が聞こえたけどそれに同意したい。厨二病ですか?管理者としての職務全うしなよ神田先生。
「管理者が一個人の人生に介入するのは御法度だ。それは死んだ後だって変わらない。それを破った神田先生はすぐに捕縛、連行のはずだったんだけどね。結花さんの怨念というか逆恨みというか、負のオーラが彼に力を与えたというか…。君ともう一人の彼女、そして結花さんをこちらへ連れてきた後、抗議と捕縛で接触した僕に呪いをかけて介入不可状態にまでしてしまったからね。」
「介入出来なくとも、私が彼処でバイトするって分かってたから店を構えたのでは?」
「可能性は低かったから賭けだったね。代理人から前の世界のデータを貰えてなかったら君の好みは把握出来なかったし。上手く接触できて良かったよ。」
データでやり取りとか出来るのか…。なんか神様とかそういうのって、羊皮紙クルクルして持ち歩いてるイメージだったんだけど。USBとかそんな感じですか?PDFでお願いしますーな感じですか?
駄目だ、思考が脱線している。戻ってこい私。
「ちゃんとした理由とかは結花ちゃん本人から聞きます。だから、これからの流れを教えてください。」
「まだ他の機関と調整中だが、君を囮にして神田先生を捕獲。」
「散々迷惑かけといてまだ紫帆を使うんですか。人智を越えた存在でも対したことないんですね。」
「ちょ、南條さん…。」
なんとなく私で誘き出すんだろうなとは思ってたから不満とかはないけど、南條さんの機嫌がどんどん下がっていくのは困る。手に力入って私の手が握り潰されそう…。
「君を危険には晒さないよ。加護を付けさせてもらうからね。」
「呪われてるのでは?」
「下準備は出来てるから多分大丈夫。代理人からも許可を貰っているし。」
多分って言いましたけどこの人。本当に大丈夫なの?
不安を隠すこともせずマスターに視線を送れば何かを呟いていて、右手の人差し指には小さな光が集まっている。それを私に向けたと思えば、光は指を離れて私の周りを旋回した後消えた。
「捕獲までの流れは追々連絡しよう。それまで君が自由に動けるように。真実に辿り着けるように。全ての悪意から君を守ろう。」
約1名存在が空気になってしまっているけどこのまま進めます。
また更新あいたらすいません。




