随分失礼な人だ。
こんな小説をブックマーク、評価していただきありがとうございます。まだ毎日更新できるほど時間に余裕が出来たわけではありませんが、ペースを上げていけたらいいなと思っております。
思考が急にクリアになった気がした。別に今まで靄がかかっていたわけじゃないけど。綺麗に片付いてはいたけど、微妙にズレていたもの達がピッタリと填まった感じ。自分でも何言ってるか分からないけど。
「彼女はこの世界の人間ではないと?」
「はい。前の世界での人間関係とその世界の管理者が色々暴走した結果、彼女は高校生として生活せざるを得ない状況になってしまっています。本来は28歳の素敵な女性です。」
「え、僕より上…!?」
「マスター、素敵は余計かと…。」
もともと誉められる容姿でも無かったし、この世界に来てからは顔面偏差値が高過ぎて完全に埋もれていた私なので恥ずかしい。そして南條さん、何故ショックを受けているのですか。
「身体が後退して精神も?」
「ちょっと殴ってもいいかなこの人。」
言うと同時に横にある肩にストレートをお見舞いする。そういう所が…!って喚いているが知りません。今の南條さんも普段よりだいぶ砕けて若く見える。
「続けてもいいかな?」
「あ、すいません…。」
「すぐに保護して説明出来なかったのは本当に申し訳ない。奴の呪いがなかなかに強力で解呪に手間取っていてね。君に加護も与えてあげられず周りも奴の人形みたいなものだった。環境としては最悪だったろうに、よく耐えてくれた。今君の呪いだけは解いたから、いくらかラクにはなるだろう。」
「だから今スッキリしたのか…。あの、一ついいですか?」
「これが神田先生による私を上手く利用する為のものの可能性ありますよね?」
私の言葉に再び沈黙。
確かにスッキリはした。本当に何かしらの魔法みたいのがかかっていたのかなとは思う。だって、奴の人形って言われた時に真っ先に浮かんだ彼に苦しい想いを抱いていない。ただの幼馴染みの認識しかない。
私も神田先生にベクトルを操作されていた可能性があるなら、翔や英司以外だってそうなのかもしれない。この世界の管理者だというマスターが手を出せないくらい強力なら、下手すれば世界中の人が操作されているのかもしれない。
もしかしたら、
「神田先生が私を上手く使えるように予めマスター達を私の周りに配置した可能性だってありますよね?」
「それは違う!篠崎さんも南條さんも…。」
「だって、そうじゃなきゃこんなにすぐなんて都合良すぎるじゃないですか!」
完全にキャパオーバーだ。神田先生と対峙して色々聞かされてから数時間、正直何を信じたらいいのか分からない。こうして混乱させることすらあの人の思惑な気がしてくる。
子供のように癇癪を起こした私を前に座る2人はどう嗜めようか思案している様子。隣の彼は、
「なんで南條さんが泣きそうなんですかっ…!」
酷く傷付いた顔でこちらを見上げてくるのに耐えきれず、他所様の家にも関わらず私は勝手に部屋を飛び出した。




