さぞ生徒にモテるでしょうね。
「退院した翌日は皆入院の理由知っていて心配してくれていたんですけど、ある日突然私以外全員それを忘れていたんです。」
「貴女が足を滑らせてということになっていたと?」
「そうなんです。」
あのまま特に驚かされる要素もないままお化け屋敷をあとにし、人気の少ない場所まで移動した私達は先程の質問の続きを話している。英司の代わりに先生と出くわして南條さんが黒い笑みを向けていたのは見なかったことにした。
「先生に手を挙げた彼女は?」
「転校することになったと本人から聞いてその後は何も。そのことも皆は忘れてるんです。」
「彼女の存在を忘れた?」
「はい。」
徐々に南條さんの眉間に皺が寄っていく。それでもイケメン素晴らしい。
こんな現実的に有り得ない話をした所で私が可笑しくなったとしか思われないのが普通なのに、南條さんは私を馬鹿にするわけでもなく一つ一つ疑問を解消しようとしている。
「色々分からないことが現段階では多すぎて結論は出せませんが…。」
「寧ろ出たら奇跡ですよ…。」
「この状況で1番助かってるのは、あの先生ですよね?」
「そうですね。だいぶ生徒から批判の目を向けられていましたし。」
「紫帆の幼馴染み君にだいぶご執心でもあるしね。」
やっぱり先生が翔のこと気にしてるのバレバレだよねぇ。皆記憶なくても先生が翔にベッタリだから多少白い目では見られてるし。朝の遭遇がそれを物語っていたというか。
「篠崎さんには話してあるの?」
「いや、こんな話しても私の方が可笑しいと思われそうで誰にも言ってなかったです。」
なんとなく重くなってしまった空気をどうにかしたくて少し笑ってみれば、南條さんも皺がなくなった。それでも考えることは止めてないらしく言葉は発さない。
篠崎さんに話すつもりなのだろうか。あの人もなかなかチートな感じだし結論は出ずとも近い所までは辿り着きそうな気がする。でも先生のバックにいる人が恐らく人外である以上、これ以上頼るのも無駄というか。向こうに先手を打たれてしまいそう。
「とりあえず今はまだ様子を見ようか。何か大きな動きがあるまで僕以外には話さない方がいい。僕は関わってた人間だから違和感を感じたけど、幼馴染み君が気にしてない素振りからするに何かしらの条件があるのかもしれないし。」
あぁもどかしい。
私のこと全て話せたらもっと答えは簡単なのに。真剣に考えてくれる南條さんに申し訳ない。
「わかりました。なんかご迷惑をおかけして申し訳ないないです…。」
「いいんだよ。一人で抱えるには少し厄介なものだし。何よりこんなんでも僕も教師だからね。子供達の力になれるなら頑張るよ。」
そう言った南條さんは今までで1番キラキラした笑顔を向けてきた。
というか南條さん、篠崎さんの秘書かと思ってましたよ…。




