喧嘩は売ってません。
「お、大澤さんおはよう!昨日は凄かったみたいだね!」
「先生おはようございます。皆が頑張ってくれてますしね。今日も売り上げの為に頑張りますよ。」
放置されるのが嫌なのか、先生が翔より少し前に出て話かけてくる。
2人の後ろで先程の女子達がまだヒソヒソしているから、ここからどう平和的に事を運べるかが勝負だ。開店まで時間もないしね。
「そういえば、翔のクラスって何やるのか聞いてなかったね。」
「F組はお化け屋敷なの!大澤さんも良かったらお友達と来てね!」
「…。」
なんで翔に聞いた質問を先生が返してくるんですか。そんなに私と翔が話すのが嫌なんですか。
「B組の大澤さんってことは、一緒にいる男子は数本君?」
「確か2人って幼馴染みよね?大澤さんがサボりか聞いてたから、彼は捕まっただけなのね。」
「えー、捕まえて腕組むとか、先生キモくない?」
「確かに!教師のくせに何してるのってね!」
もう彼女達はコソコソするのを止めたらしい。恐らく先生にわざと聞こえるように言ってるんだろうけど、肝心の本人は私に夢中である。
翔は直前までの行動が周りの顰蹙を買っていたのに気付いたらしく大人しくしている。
聞いてる感じやはりヘイトは先生のみに向いているから、このまま何もしなくても翔は大丈夫そうだ。
「お邪魔したいのは山々なのですが、今日のスケジュールにその余裕がないので残念ながら…。」
「そうなの?それは残念ね!」
「…はぁ。」
昨日の忙しさからローテーションの流れを調整、更にぐっちーとのダンスの合わせ。少なくなった休憩時間で他クラスを回るのだけど、正直F組は友人もいないしキラキラ集団(主に国立君)のファンが殺到してそうなので行きたくない。
本音を隠して残念そうに告げたのだけど。先生、言葉と表情が合っていませんよ。誘ったのは自分なのに断られたら嬉しそうにするって、カンの良い人にはバレると思うけど。
「おーい大澤、そろそろって…何?これ?」
「あ、ぐっちー。時間だよね、ごめん。」
「いや、俺は気にしてないけど。委員長が五月蝿い。」
「…お前、昨日のやつの…。」
呼びに来てくれた本日の相棒ぐっちーの登場に翔が反応する。マズイ、動画観られたことがバレてしまうじゃないか。
「怒られたくないから行こうか!翔、先生それでは!」
翔が余計なことを口にする前にぐっちーを引っ張って裏方組に合流した。委員長に小言を言われたがフルシカトである。これからまた地獄を体験するのに、その前に無駄に疲れたくない。
だから、翔が私達を睨んでいたのなんてまったく気付かなかった。




