早速ですか。
相澤さんが表向き転校、その存在を恐らくゲームオーバーを告げた人物に消されてしまった日から。
今までのエンカウント率の低さが嘘のように先生に遭遇する。
文化祭の準備等で皆があちこち動いてるからっていうのもあるだろうけれど。
そして今目の前には香織先生。今日で連続4日遭遇ですね。相澤さんから聞いた話が本当だろうが法螺だろうが、聞いてしまった以上できれば会いたくないんですけど。
「大澤さんのクラスは屋台よね?何をやるの?」
「F組は先生がスパイをしていらっしゃるのですか?残念ながら、極秘なんですよ。外観だけで想像してみてください。」
どうして今私は1人なのだろう。友人がいれば絶対回避できたはずなのに。
「スパイだなんてとんでもない!B組の屋台は他学年と違って進みが悪いみたいだから気になっただけよ。」
「悪いというか、寧ろほぼ完成に近いですよ。」
「え?でも本当に外観だけしか出来ていない感じなのに?」
「まぁそれはお楽しみってことで。」
ここ最近の流れならだいたいこの辺で切り上げて作業に戻れているから今日もそのはず。人通りがある所での会話だから余計なこと言えないだろうし、手が出ることもないだろう。よっぽど先生が馬鹿じゃない限りは。
「じゃぁ、私は作業にも「ねぇ大澤さん。」…、なんですか?」
「大澤さんは数本君と幼馴染みなのよね?」
戻りたかったのにまさかの豪速球が飛んできましたよ。先生やっぱり馬鹿なのかな?
皆から相澤さんの記憶がなくなったことで私の入院事件の理由も別のものにすり替えられ、先生のヘイトは消えているとはいえ少々大胆過ぎでは?
「はい、翔は幼馴染みですが?」
「…やっぱり仲良かったりするよね?」
「そりゃぁ小さい時からずっと一緒ですし…。それが?」
正直ここ半年くらいの記憶しか持っていないから、昔がどうだったのかは分からないけれど。
それにしても先生、声のボリュームだいぶ落としていても誰が聞いていても可笑しくないからね?
「あ…、私、幼馴染みっていなかったからどんなものかなぁって気になったのよ!そういう関係っていいわよね!」
私が訝しげな視線を送ると途端に誤魔化そうする先生。下心見え見えですよ。相澤さんいなくなってからの行動の早さにビックリですよ。
「先生。」
「うん?なぁに?」
「想うのは自由だと思います。でも、自分の立場を考えてください。先生が選択を間違えれば貴女だけじゃなくて、相手だって悲しい思いをするんですよ。」
あちら側が私の情報を持っているのは確実だし、それを変に隠すのもアレだから直球で言ってしまおう。翔が周りから非難されるのは嫌だから、先生にはゲームの通り慎重になってもらいたい。
先生の驚く顔に少しだけ優越感を抱き、何か言われる前にさっさとその場から去る。
言い逃げ万歳。




