恩人もイケメンらしい。
「あー、それなら家庭科室にあるホットプレートとかガスコンロ借りれば何とかなりそう。ドリンクはクーラーボックスとかにしまっておけばいいし。」
「場所的に家庭科室も近いから、そこで調理してこっちに卸すのも有りだよな。」
「そうなると食材費と小物類だけで出費は収まるかな?」
私の意見そっちのけで皆が絢子の提案にノッてくる。なんですかス○バ的なノリって。あんな凝ったもの作れないんですけど。
というか、
「作るの私だけとか無理だからね?」
「分かってるわよ。そこは料理部の子達にもお願いしてローテーションするわよ。ドリンクは比率とかさえ間違えなければ誰でも失敗はしないでしょ。」
言い出しっぺの絢子は決定事項のように話してくるけど、どうせ自分は客引きだから何でもいいって思ってるよね?
「いいじゃない、進路そっちに進むなら。それにコーヒーとか紅茶とか、マスターさんの所で安く仕入れられれば儲けものよ。」
絢子の一言がトドメとなり、担任にも快諾されてしまい結局そのまま決定してしまった。
予定よりだいぶ早く決まったのでそのまま調理班とドリンク班を決め、メニューの案を出していく。残りの子達はクラスTシャツのデザインやらお店の外観のデザインやらの話し合いを始めている。私もTシャツのデザインに加わりたかった…。
ある程度目処がついた所で時間となり、委員長が提案書を持って教室を飛び出していった。最終的な決定権は生徒会の顧問と風紀委員の顧問だ。却下してくれないかな。多分無理だろうけど。
「紫帆ちゃん、今日から早速詳細まで決めていこうかと思うんだけど、放課後って時間ある?」
「あー、ごめん。今日は例の恩人さんにお礼しに行かないとなんだ。火曜と木曜がバイト。土日も基本バイトだけど半日だけだから、それに合わせてもらえるなら。」
「了解。アタシ達の部活の時間と調整するね。」
「ありがとう。ついでにマスターにも交渉してきちゃうね。」
「本当に!?期待しとくね!」
次の授業の準備をしながら前の席に座っている友人と予定の確認をする。調理班は文化部の子が多いし、時間は多めに取れるだろう。
「それにしても、よく恩人さんと連絡取れたね。」
「病院の先生に連絡先渡してくれてたからアッサリ。万が一ヤバい人だとマズイから、バイト先で会う予定だよ。」
「その可能性は低いから大丈夫だと思うけどね。」
一応知り合いがいる所で会いたかったのでマスターの所を指定したのだけれど、絢子はその人に会ったらしい。初耳だ。
「いつ会ったのよ?初めて聞いたけど。」
「紫帆が運ばれた日よ。数本君から航太経由で知って急いで駆け付けたら、丁度帰るところだったのよ。」
「えー!絢子ちゃんどんな人だった!?」
時間もないというのに私達の会話に食い付いてくる女子が目をキラキラさせて続きを促している。皆準備出来てるの?次、厳しいで有名の日本史のオババだよ?なんでそんなに気になっているんだ。
「そうねぇ、スーツの似合う素敵な男性だったわ。容姿も悪くなかったし、格好良かったわよ。」
航太には勝てないけどね、なんてノロケは色めきだった女子の声とチャイムに負けて私にしか聞こえなかった。




