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逆ハールートは存在しません。  作者: うかびぃ
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本日は厄日です。


夏休みも残すところ後3日。

課題が終わらないと連絡してきた英司の勉強に付き合ったり、絢子の終わらないノロケを聞かされたり、それほど大きなトラブルもなく過ごせていた。

夏休みが明ければすぐに文化祭の準備が始まる。各学年1クラスずつしか許可が降りない屋台の権利を勝ち取ったうちのクラスは、教室を使わず第一体育館前での催しになる。一人辺りの拘束時間が少なくてラッキーと思いきや意外とスペースが広く、その分商品を提供出来る場所も多めに取れるので少数精鋭で小まめな交代は出来なそうだ。

まぁでも飲食だからそこまで準備に時間をかけることはないだろう。

体育館を使用するクラスはだいたいが演劇だから、夏休み中から準備に取り掛かってるみたいだし。



さてそんな風に来月末の文化祭に思いを馳せているのは、単に目の前で繰り広げられている修羅場から目を背けたいからだ。



「なんで先生と翔君が一緒にいるのよ!?」

「補習終わって用事済ませて帰ろうと思ったら、数本君も同じ方向だっただけよ。」

「うるせーな、別にいいだろーが。」



久しぶりな相澤さんは今日も元気そうで何より。

先生と翔は…うん、先生の声が上擦ってたけど気付かないフリだ。もう少し上手く誤魔化してくれなんて期待はしないよ。



「じゃぁ大澤さんは何なの!?」

「何なのって、買い物に来たら3人がいたから邪魔しないように立ち去ろうと思ったのに相澤さんが見つけて声掛けてきたんじゃないか…。」



そう、完全な巻き込まれである。結構遠くにいる段階で揉めてる3人に気付いて隠れて観察若しくは逃走したかったのに、恐ろしいことに相澤さんに見つかってしまって引きずり込まれた。

私ただの被害者なのに。悪くないはずなのに怒鳴られるってなんなんだ。



このまま気配消して(篠崎さんに指摘されてから練習中)買い物しに行きたいなぁなんてボンヤリしてみる。「邪魔しないように」の部分に気を良くしたのか分からないけど、相澤さんの標的は先生オンリーになったようだ。

その隣の翔からの「逃げんじゃねぇ」オーラが凄いけど。私関係ないから。自分達で何とかしなさいよ。



少しずつ、本当に少しずつ3人と距離を空け始める。相澤さんは私に背を向けているし、今がチャンスである。

後ろにある低めの植え込みに、よく分からない金属のオブジェが等間隔に刺さっているその隙間さえ抜ければ私の勝ちも同然!



そう自分だけ逃げようとした罰なのか。



「いい加減諦めなさいよ!逆ハーになるのはアタシなの!アンタはいらないのよ!」



先生に向かって振り上げられたのはまさかの握り拳。流石にマズイと空けたばかりの距離を反射的に詰めてそれを阻止するも、予想外に力のある彼女に振り切られてバランスを崩す。



やってしまったと思った時には既に遅く。

足が植え込みにぶつかり、そのまま後ろ向きにオブジェへダイブ。





先生を庇うように抱き締めていた翔なんて見たくなったなぁなんて思いながら、そこそこの衝撃音と後頭部の激痛を最後に私は意識を飛ばした。


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