第90話 異世界カレーライス
僕の目の前にはカレーライスが置かれていた。
この世界で食べられるとは思ってもいなかった。
僕の正面に座った芽結はこれ以上ない程のドヤ顔である。
まぁ、感謝しかないけど。
再びカレーライスに視線を落とす。
お米は……なにこれ?細長い。
「ああ、ジャポニカ米はまだ開発できてないんだよね。これはインディカ米に近い品種だよ」
中学の社会で習ったな。
これがインディカ米かー。
「よく香辛料を用意できたね」
「実はなんちゃってカレーなんだけどね」
え?めっちゃカレーの香りがしますけど?
「クミンとパクチーは見つけたんだけど、どうしてもターメリックが見つからなかったんだよね。そもそもターメリックが何か知らないし」
でもこの色はどう見ても……。
「色はそれっぽくなるかなーってウコンで代用した」
節子、それターメリックや。
「あ、そうなの?」
逆になんでその部分だけわからないのかを問いただしたい。
相変わらず知識が偏ってるなー。
そんな風に話をしていると、全員分の配膳が終わった。
芽結が立ち上がる。
「これはカレーライスという食べ物です。お米とスープを一緒にスプーンですくって食べてみてください。おいしいですよ」
みんな興味津々だ。
拒否反応出る人がいなさそうで安心した。
「では、いただきましょう」
「「「「いただきます」」」」
まずは付け合わせのサラダを食べる。
カレーライスでも一品料理にしないで3品も用意してるの、さすがです。もぐもぐ。
ではお待ちかねのカレーをいただく。
パクリ。
見た目からそうかなって思ってたんだけど、やっぱりインドカレーのようなサラサラカレーじゃなくて、日本の家庭のドロドロカレーだ。
「小麦粉とバターが用意できたからルーを作ってみたんだ。成功だね」
へぇー。ルーって小麦粉とバターで作れるんだ。
材料だけじゃなくて作り方知ってるのもなんかすごいね。
カレー自体は甘口だ。
辛いのが食べられない僕に配慮して唐辛子入れてないのかな。ありがたい。
あとあれだね。インディカ米ってカレーに合うんだね。
ジャポニカ米みたいにもちもちしたお米でカレーを食べるのも好きだけど、これもこれでおいしいね。
他のみんなの様子も見てみる。
ローン、クイザ、サクラの三人はみんな揃って口元に手を当てて「あら、おいしい」みたいになってて面白い。
レッタは何やら難しい顔で食べてる。何かを分析してるのかな?
アルソは黙々と。
シノカはかき込んでおかわりを要求してるわ。お嬢様ェ。
カホクはカレーライスとピクルスを交互に食べて頷いてる。
僕も真似しよーっと。
メリアはシノカ以上のスピードでかき込んでハムスターになってるわ。
「てか、牛肉なんてよく用意できたね」
「近くに畜産農家さんの家があるって聞いて、あらかじめお願いしておいたんだよ」
おいしい物のためなら全力だね。
「もうカレーライスなんて食べられないものだと思ってたから、すっごいサプライズになったよ。すごくおいしいし」
「えへへー」
そう笑う芽結を見ながら、僕もまたおかわりの要求をしたのだった。




