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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 夏休みの雨編
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第89話 魔力鍛錬

 深く、深く集中する。

 小さい頃から繰り返している動作だ。

 さすがに旅の間は危険への対処ができるようにしなかったけど、それ以外では大抵の場面で続けていた。

 まずは魔力を体内に循環させる。

 それを暫く続けたのち、右手に握った短杖(ロッド)に魔力を流す。

 魔力を空中に放出するイメージだ。

 こうすると……


 ジィィ


 ――このようにロッドの先に光が生まれる。

 実際は光だけでなく熱も生まれるのだけれど。

 たぶん、空気中の何かしらの分子だか原子の電子を励起→再結合してるんだと思うんだけど、詳しいことは僕にはわからない。

 国王陛下の話だと、うちの師匠が開発した魔法の一つらしい。

 

 ひととおり光を強くして維持した後は、今度はロッドの先の空気を冷やす。

 こっちの魔法はこの旅の間たびたび使っている原子運動を制限する魔法だ。

 こちらは魔力を直接空気中に放出しないで、魔法干渉力によって作用させるので、先ほどの魔法とはだいぶ違う。


 この二つの魔法を交互に使って、魔力を使い切るまで消費する。

 光を出す魔法は、結構魔力の消費が多いんだ。

 ちなみに、結露によって空気中から水を取り出すこともできるけど、その効率はすこぶる悪い。

 とても飲用できるほどではないのを付け加えておく。

 

 ふう。

 魔力を使い切って、ロッドの先をタオルで拭う。

 このロッドは錫80%銅20%の合金製だ。

 この大陸で流通しているロッドはほぼこの比率の合金だ。

 長さは種類があるけど、大体が30~40cmくらい。

 僕が使ってるのはその大体から外れた45cmの長めのロッド。

 理由は光の魔法を使う時に熱が発生するから。

 できるだけ離して使いたいよね。


 それと、ちょっと夢のない話をすると、魔法使いでロッドを使う人は少数だ。

 理由は簡単。制御が難しくなるから。

 考えてみて欲しい。

 ロッドという余分なものを媒介にして魔法を発動させるのと、自分の身体から魔法を発動させるのと、どっちの方が簡単だと思う?

 ただ、今回みたいに熱を出すとかの直接体から出すと自滅するような魔法もあるから、そういう魔法用にロッドはある。ということ。

 

 視線を上げるとアルソと芽結がこちらを見ていた。


「なかなかの集中力だな」


 アルソがそう声をかけてくる。

 集中しなくても、もう魔法は使えるんだけどね。

 

「まだまだだよ」


 芽結も疑問を投げかけてくる。

 

「毎回魔力を使い切ってるの?」


「魔力を使い切ることで魔力総量が伸びてるんだよね」

 

 成長は年齢と共に一気に鈍化してるけど。

 あと、よく創作である設定で魔力を使いきると動けなくなったり倒れたりするやつ。あれもない。

 魔力がなくなっても、地球にいた時の普通の人間と同じ状態に戻っただけみたいな感覚で想像してもらえればOK。

 だから、普通に使いきるまで消費できるんだ。


「その方法では伸びないと聞いているが」


「たぶん、年齢によるところが多い気がする。小さい頃はガンガン伸びてたけど、今はほぼ変化ないから」


「英語とか音楽の教育みたいなものかな?」


 その話、僕にしか通じないです。


「あ、そうだ。ご飯できそうだよ」


 なんかさっきからめちゃくちゃ覚えのある香りが漂ってきてるんだよね。


「もしかして、あれ?」


「そう、あれ」


 マジか。

 材料どうやって揃えたんだ。

 いやー。夕飯めっちゃ楽しみだなー!

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