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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 夏休みの雨編
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第87話 女剣士といえば袴でしょ

 場所が場所なので今日は護衛はなくていいだろうとのことで、今回の旅で初めてアルソと同じ組になった。

 もう一人はクイザだ。


「約束、違えるんじゃないぞ」


 さっきの指切りのことだろう。


「旅行して帰りに寄るだけだし、違えようもないですよ。僕が事故に遭って死なない限り」


 ちょっとフラグっぽかったかな。


「そうだな。忘れているようだったら、私が尻を叩いてやろう」


 まぁ!上級貴族のお嬢様が尻だなんて!


「こんなに楽しみにしているんですもの。レイは忘れませんわよ」


 うんうん。


「さて、旅はまだ長い。はしゃいだりしてあまり体力を使いすぎないようにな」


 それはシノカに言ってやってください。


「でも、この馬車と休憩の多さのおかげで全然疲れませんわね」


 短い時間だけど、休憩はかなり多めに取ってる。

 同じ姿勢でいるとやっぱり体が硬くなるし、ちょっとの休憩でも外に出て伸びをしたりするだけでだいぶ違うよね。


「メイ様は本当に寛大な方だ。この馬車も上級貴族でもおいそれと乗れないものなんだぞ」


 増産しないのか芽結に聞いたことがあるんだけど、格の差をつけておくことに意味があるんだとか。

 まぁ、そのおかげでこうやってアルソが感謝してるとも言えるのか。

 いや、アルソだけじゃなくてみんなかな?

 使用人さんだって過酷な旅にならなくて済んでるのを喜んでたしね。

 貴族の世界は難しいんだなぁ。

 

「君もちゃんと知っておいた方がいいぞ」


 また心を読まれた。


「そうですね。精一杯励もうと思っていますよ」


 そう返すと、アルソは満足そうにうなずいた。


「そういえば、アルソは魔法が使えるんですよね?」


 そう聞くと、アルソは少しだけ自嘲気味に答えた。


「使えるとは言っても君ほどのものではないし、そもそも私は少し特殊な体質でな」


 特殊?なんだろう?


「どういうことなのでしょう?」


「君に似ている……いや、君ほどのものではないのだが」


 珍しく歯切れが悪い。


「言いにくいことなら無理には聞きませんよ」


「いや、気を遣わせてしまってすまない。魔法は使えるが制御が甘く、男性寄りの魔力量がある」


 え?僕の逆バージョン的な?


「先ほど言ったように君ほどのものではないよ。実は護衛も魔法でのものよりも獲物を用いた戦闘の方が得意なんだ」


「アルソ様は剣術の授業は受けていませんが、校内でも屈指の実力者との噂ですわ」


「よしてくれ。大したものではないのだから」

 

 クイザの補足に謙遜するアルソ。

 ガチか。

 あれ?でも剣なんてずっと持ってない気がするけど……。


「徒手空拳の実力も折り紙付きですの」


「本当にそう大したものではないのだ」


 クイザが根拠もなく言うはずもないし、芽結が護衛に頼むくらいの実力があると見ていいな。これは。

 しかしそうかー。

 メリアは身体強化に魔力を使うわけではなく、魔法で無理やり解決している感じだったけど、アルソは身体強化に使うのだろうか?


「その認識で正しいよ。メイ様から賜ったカタナを強化した身体能力で振るのが本来の戦い方だ」


 芽結は刀匠の家系だったから、やっぱり日本刀を作ってたか。

 抜刀術とか使うのかな?


 しかしそっか。

 女剣士って感じの見た目だったけど、マジモンの女剣士だったわけだ。

 これは袴の製作が急務だな。


「またくだらないことを考えているな」


 えー?

 芽結も同意してくれると思うんだけどなぁ。

 それに、 女剣士に袴は世界の真理……だよね?

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