第83話 そんなに慌てなくてもすぐに着くぞ
さーて、どうしよう?
ちょっと空気の壁を狭めるか。
でもどれくらいやればいいんだろ?
んー?
とりあえず30cmくらい横の壁片面だけ狭めてみるか。
ズズズ。
いや、実際は音はしないんだけど気持ち的にね?
うーん?変化ない?
あ、暴れ始めた。
ああ、そうだ。
「どなたかロープを売ってくれませんか?少し高めに買い取りますよー」
見ていた何人かが足早に去っていった。
芽結たちもこっちに来て合流した。
「油断しちゃってごめんね」
「全然だいじょび!」
キッとカホクに睨まれた。
「なんか顔赤くなってるが、大丈夫なのか?あれ」
アルソが聞いてくるけど、実際僕もよくわからないんだよね。
まぁいきなり丸焦げになったりグロい展開にならなくてよかった。
もうちょいじっくり狭めるべきだったな。
「どうなんでしょう?中の温度が上昇している影響のはずですけど」
あ、てか今思ったけど、空気の壁の圧縮率を調整してレンズみたいなの作れないかな?
まぁ、効率悪すぎるか。
彼らは一生懸命壁を叩いているけど、それで余計体温上がらない?
まぁ視覚的に暴れてくれた方が、中の状態が多少分かって助かるけど。
彼らが暴れてくれなければ、もうちょと狭めていた。
もしやりすぎて大やけどとかになってたらちょっと僕のメンタルがやばいかもしれないし、助かったわ。
「ロープ持ってきましたが、いくらで買っていただけるので?」
お、戻ってきたか。
状況を見てちゃんと拘束用の頑丈っぽそうなやつを持ってきてくれたみたいだ。
「商人さんですか?」
「ええ、これもうちの商品です。実は自慢の一品でしてね……」
長くなりそう。
「店頭価格で2個分の価格で買い取りましょう」
「ええっ?」
こんなことに時間をかけたくないし。
お金には余裕あるし。
「あっ。賊が倒れ始めたぞ」
あー頭を押さえて倒れてる人いるわ。
まぁ、まだ解除しないけど。
「わ、わかりました。ではひとつ銀貨7枚でお願いいたします」
カモだと思って更に少し値上げたな?
まぁいいか、それくらい。
「ではこちらで」
というわけでロープと交換。
ちょうど全員倒れたみたいなので、今度は中の温度を下げていく。
少し前に街道でやった魔法だ。
中の一人がシバリングしたタイミングで空気の壁を解除。
アルソとメリアにロープを渡して捕縛開始。
「すみませーん。こいつらを詰所に連れて行ってくれる方はいませんか~?」
誰も動かないし。
なら――
「もしかしたら賞金首かもしれませんよー?」
お、食いついた。
「じゃあ後は皆さんにお任せしますねー」
食いついた何人かに任せることにした。
「じゃー僕らは馬車に戻ろー」
「なんか街道の野盗に比べてやけに雑じゃないですか?」
促す僕にメリアがツッコミを入れてくる。
「だって、さっさと済ませてブイニシャに入らないとですし」
「そんなに慌てなくてもすぐに着くぞ」
そうなんだ。
まぁ、早く済んだならいいじゃん。
「それでは馬車に戻りましょう」
そう言ったクイザについていく。
今日はクイザ、ローンと組みだ。
馬車の組み分けは毎日変えてるんだ。
「本日のお食事が楽しみですわー」
ローンはマイペースだなぁ。
そう思いつつ、僕は同意の首肯をした。




