第82話 今日はこの町に泊るんじゃないですか?
少し進むと次の町まですぐについた。
すぐに詰め所に向かい、入る。
あーなんか前世の交番とかでもそうだったけど、こういうところってなんかちょっと緊張するよね。
何もやましいことがなかったとしてもさ。
それがたとえ、けだるそうに、だらしなく椅子に座ってる役人が相手であっても、だ。
詰め所に来たメンバーはアルソ、メリア、僕だ。
報告はメリアがする。
相手が国の兵でも役人の態度は変わらない。
そもそも、貴族のアルソが居て、それでもあの態度を崩さないのだから兵士では変わらないか。
てか役人もメリアに近い立場だろうけど。
「へーい。じゃあ回収しとくんでー」
マジでやる気ないな。この人。
まぁいいや。あとのことは僕らの関与するところではないし。
会社員をしていた地球の頃のおじさんも言ってた。
「上司に報告しちゃえばあとは上司の責任だ」って。
役人さんに報告したからあとは彼らの仕事だ。
さーて。今日の宿はどんなところかな?
「じゃー移動を再開しましょー!」
え?
「今日はこの町に泊るんじゃないですか?」
メリアの発言に驚いた。
僕らのメンバーは半分ほどが貴族令嬢だ。
つまり、野宿や言い方は悪いけど、くたびれた家に泊ることはない。
村なんかは、何かしら理由がない限りは宿なんてものはないし、今回の旅は町の宿で宿泊しながら北上するルートを取っている。
今、この町を逃したら次の宿ありの場所なんてあるんだろうか?
そう思っていると、
「ここはもうレハチワとブイニシャの国境前ですよ。次はもうブイニシャの王都です」
お、もうそんなに来てたのか。
「日が暮れる前に移動したいのでさっさと馬車に戻りましょー」
そんなわけで馬車に戻る。
――が、
「おいおい、町中だぞ?」
馬車は野盗に襲われていた。
……野盗?町中でも野盗って言うのかな?
しくったな。
護衛組全員で詰め所に向かってしまった。
僕かメリアが残るべきだったな。
次は気を付けよう。
しかし――
「くそっ!なんだ!?この壁は!」
芽結さんってば本当に神童だったんだね。
敵は5人。
油断してたからなのか、馬車を囲うように回り込んだりせずにまとまっている。
それを利用して正面にだけ『空気の壁』を芽結が生成して防いでいる。
芽結にしか教えてないし、たぶん芽結だよね?
こっちからだと空気の壁で光が屈折して向こうがよく見えないんだよね。
しかし、やり方は教えたけど、もう使いこなしてんの?やば。
結構制御が難しいんだけどね。
「なんとかぶち破れねえのか?」
野盗?達は後ろに居る僕たちには気づいていない。
けど、あ。
芽結がこちらに気付いたのか、壁を解除。
壁がなくなったことに気づいた一人がダッシュしだした。
やべっ。
ヒュッ!ゴン!
と、思ったらメリアが石を投げ当てていた。
ナイス!
その間に奴の足元の土を小さく吹き飛ばす。
奴はたたらを踏んで後退する。
5人まとまったところで音がする方の風の結界を作る。
空気の壁は便利だけど作るのに時間がかかる。
魔法の理論を理解して効率よくなった今でも、だ。
その後は風の結界の周りを空気の壁でぐるりと囲って風の結界は解除。
さて、どうしようかな?




