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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 学園編
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第81話 熱を奪えば、人は動けない

 戦闘開始だ!

 とは言ったものの絵面は地味なものだった。

 変化があるのは中にいる彼らの動きくらいで、しかも中から出られないから本当に地味。


 彼らのいる空間を密封して中の分子運動を下げていく。

 つまり、こうすることによって気温と気圧を下げることができるんだ。


 彼らが体をさすり始めた。

 壁を叩いたり叫んだりしてるけど、こっちには声が届かないんだよなぁ。

 一応空気の壁はかなり強い力を入れれば壁の中に入り込むことはできる。

 それくらいの圧縮率だ。

 まぁ、普通の人間には厳しいだろうけど。

 あと、中に入った後の保証は致しません。

 

 更にゆっくり下げていく。

 ガタガタ震えだした。

 あ、スクワットしてる人いる。

 こっちでもスクワットってあるんだなぁ。


 更にゆっくり下げていく。

 あ、鼻水凍ってる人いるわ。

 まだいけるな。


 更にゆっくり下げていく。

 さすがにそろそろいいかな?

 倒れこみ始めた人もいるし。

 人間が動くために必要なのは熱だ。

 冬に手がかじかんで動かなくなるでしょ?

 あれは寒さで血管が収縮して、血の流れが悪くなる。

 そんで、酸素や栄養が届かなくなって、思うように動かせなくなるんだ。

 あとは神経伝達の速度低下と筋肉の収縮効率の低下かな。

 つまり彼らは今、体を動けせても緩慢になってしまう状態ってわけ。

 それに、真夏で薄着の彼らにこの寒さは堪えるだろうし。


「メリア、アルソ。彼らを縛れるものを用意してこっちに来てください」


 僕は大声を張り上げる。

 二人はすぐに動き出してこっちに来る。


「ロープを持ってきたぞ」


「捕縛なんて甘いですねー」


 血とか見るの、嫌だし。


「今から結界を解除するのでそうしたら捕縛をしてください。かなり動きが緩慢になるようにしてますけど、それでも警戒は怠らずにお願いします。」


「手足切りつけて放置でいいと思うんだけどなぁ」


 メリアは納得していなさそうだけど仕方ないよね。

 結界を解除する。

 こっちの温かい空気と中の冷たい空気の交換がされて冷気を感じる。

 慎重に捕縛しないとな。


 ……と思ったけど、警戒に反して碌な抵抗はなかった。

 メリアがナイフを振りかぶられはしたけど、あっさり制圧されていた。


「彼らの体がやけに冷えているんだが、これは……?」

 

「体が冷えると生物の体は動きにくくなるんですよ。それを利用しました」


 一応彼らはパンイチにひん剝いてから縛り上げた。

 ナイフとか隠し持ってて逃げられてもアレだし。


「こいつらどうするんですかー?馬車につないで引いて移動ですかー?」


 鬼畜かよ。

 

 木と地面に「こいつら夜盗。賞金首の可能性あり」とでも書いておくのはどうなんだろう?


「次の村……じゃなくて最低でも町じゃないとだめか。町まではどれくらいですか?」


「ここまでくればもうすぐのはずだ」


 すぐか。

 それなら馬車で引いてもいい気がしてきた。


「鬼畜ですね」


 メリアにだけは言われたくないね。

 

「じゃあ、町まで行って詰所に報告しておきましょう」


「まあいいでしょう」


 ゴンッ!


 言うが早いか、メリアはリーダー格の男の頭を強打した。

 そのめん棒みたいなの、いつ拾ったん?

 あーでも気絶させておくのはいいかもしれないね。

 

 そんなわけで全員気絶させて馬車に戻った。


「お、お怪我はありませんか?」


 サクラは優しいなぁ。

 

「大丈夫だよ。ありがとう」


「彼は実力者だ。問題ないよ」


 少し前までビビり散らかしてたけどね!

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