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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 学園編
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第77話 秘される知識

 翌日、カホク、芽結、僕はスルラ師団長と面談していた。


「お久しぶりです。スルラ師団長」


「ご無沙汰してます。レイさん」


 カホクはカチコチに固まっている。


「カホク、こちらは魔法師団長のスルラです」


「カッカカカホクです」


「カッカカカホクさんですね」


 芽結がカホクって呼び掛けたんだからそんなわけないのに、からかったのかな?あのスルラが?

 あ、でもカホクが愛称って可能性もあるか。

 うーん。どっちだろ?


「違いますよ。カホクです」


「冗談です」


 真顔の冗談分かりにくいって。


「ほらカホク。深呼吸深呼吸。吸ってー吐いてー。吸ってー吐いてー。吸ってー吸ってー吸ってー」


「鈴!」「レイさん!」


 ごめんなさい。

 カホクは少し咳き込んでからこちらを睨んできた。

 いやでもほら。お約束じゃん?

 それにほら――


「少しは調子取り戻せたんじゃない?」


 ハッとするカホク。

 しかし――


「れーいー!さも落ち着かせるためにやりました感出してるけど、どうせお約束だからとか、そんな理由でしょ!」


 芽結にはバレバレらしい。

 カホクが裏切られた!みたいな顔をする。


「結果オーライだよ」


「いつの時代の人だよ」


 ツッコミありがとうございます。

 もちろんスルラとカホクはハテナである。


「無駄話はここまでにして始めましょう」


 僕が言うと、

 

「脱線させたの鈴だからね」


 すみません。


 というわけで説明をした。


「なるほど。魔力の先で魔法を使う感覚でいましたけど、更にその先で使っていたんですね」


 スルラがなるほどと頷く。

 そうなのだ。

 例えるなら、箸でトングを掴んでトングで物を掴むみたいなものだ。


 見えないものだから感覚に頼らなければならないのだけど、箸の先であれば指先に伝わる感覚はわかるけど、トングまで行けばさすがにもう指先に感覚は伝わらない。

 これが魔法を使うのが難しい理由だった。


 そう考えると分子や原子の制御をする、現象の再現魔法なんてよく使えてるものだなって我ながら感心するな。

 そして、以前スルラが行ってた、魔法師団内でも使える人間が少ない……ってのもまた、納得できる。


「理解しました。これは……正直すごい発見ですね」


 本当にカホクはお手柄だと思う。


「ただ、この知識を国内や学園内に共有するのは反対ですね」


 え?

 なんで?


「な、なぜでしょうか?」


 カホクも慌ててる。


「一つは、魔法を簡単に使えすぎる可能性です。誰でも簡単に使えるようになったら確かに夢のようですが、正しく使う人間ばかりではないということです。学園で魔法の基礎を教わるのは、貴族に信用があるからです」


 スルラは「それでも本当に誰でも簡単に使えるようになるとは思いませんけどね」と続けた。


 確かにガガダ山賊団のような奴らがポンポン使えるようになったら脅威かもしれない。

 国と国との戦争だと、国際法というルールがあるけど、賊にはそんなもの関係ないからな……。


「二つ目は、他国に漏れ出た時の危険性です。我が国では規制するけどラーンクでは規制しないとなれば、戦力的に脅威になりますし、どちらも規制しなければ、どちらの被害も大きくなる可能性だって出てきます。そして、一部とはいえ、ラーンクの出身者も学園に所属していますし」


 こちらも納得の理由だ。


「今聞いたばかりの私でも二つの、割と無視できない問題点が出せました。みだりに公表するのは危険だと思いますので、本当に信頼する人にだけ伝える秘伝という形の方が良いと思います」

 

 スルラはさすが師団長だなぁ。

 僕はこの発見のことしか頭になかったけど、スルラはすぐにここまで考えたんだなぁ。

 

 カホクの方を覗き見ると、彼女も納得した顔をしていた。

 一応スルラは宰相や陛下と相談して、その後追検証してくれるそうだ。

 

 僕らはそろってお礼を言いながら部屋を出て、三人に戻った。


「公にできないのは少し残念だけど、スルラ様の仰るとおりね」


「わたくしたちは貴族でもありますから」


 領地や国を守る義務があるもんね。

 不穏の種をまく必要はないよね。


 こうして、スルラとの面談は少し残念な形で終了した。

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