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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 学園編
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第68話 悔しい!

 今日の午後は魔法と剣術だ。

 例によって僕は女子に混ざって魔道具の操作だ。

 ドライヤーの風量調節で魔法の感覚を養う提案は、ミオ先生が教員会議で相談。

 そこから国王陛下のところまで話が行って、了承を得て、採用されたらしい。

 謎に壮大な流れになったものだ。


 各生徒の魔道具起動に関しては、そろそろ全員が感覚を掴めそうなところまで来ていた。

 そして――


「あら!ようやくできましたわー」


 うちのグループではローンがなんと、一足先に風量調節まで成功させた。

 まだ起動すらできていない子ばかりの中、快挙である。


「おめでとうございます。やりましたね」


「ええ。ありがとうございます。とぉーってもうれしいですわ」


 額に汗がきらめいている。

 結構深く集中してたしな。


 こういう感覚に頼るような分野はカホクみたいな論理タイプより、シノカやローンのような感覚タイプの人間の方が掴みやすいんだろうな。


「ローンに先を行かれちゃったけど、私も早くできるようになりたいわね!」


「わたくしも負けられませんの」


「……」


 シノカ、クイザもやる気十分だ。

 カホクは無言だけど、その瞳に闘志を宿らせているのがわかる。

 みんなやる気すごいなぁ。

 彼女たちのモチベーションは何なのだろう?


「次はレイですわよ」


 ローンが手渡してきたドライヤーを礼を言って受け取る。


「ありがとうございます」


 僕は最初の授業の段階で風量調節ができてるから、もうやる必要はないんだけど、みんなと足並みそろえないのもどうかなって思ったのと、


「もうっ、ちょっとなんだけどなぁ」


 もう少しで何かが掴めそうな感覚があるからだ。


 魔法を当たり前のように発動させることができてからは気にしてなかったけど、流した魔力のその更に先で物を動かしたり、状態変化させる感覚の、その正体がもう少しでわかりそうなんだ。

 似たような技術?それとも知識?感覚?きっと僕は知ってるはずだ。

 それに辿り着いたら、魔法はもっと簡単に、便利になるかもしれない。


 しかし、僕の持ち時間が終わるまでの間には何かを掴むことはできなかった。


「次はシノカだよ。がんばって」


 僕はシノカにドライヤーを渡す。


「何かコツみたいなのないのかしら?」


 そうだよね。

 みんなとはちょっと違うけど、僕もそのコツみたいなのを探してるんだけど。

 魔道具自体の起動は、僕は物心つく前からやっちゃってたからなぁ。

 理論じゃなくて完全に感覚なんだよなぁ。


「指先にふわっと来たら、スーですわー」

 

 ローンの説明は少し難しい。


「ふわっでスーね。わかったわ」


 しかし指先かぁ。

 僕は手のひら全体の感覚だったんだけど、何が違うんだろう?


「できた!」


 はぇ?

 え?できちゃったの?


「ローンが教えてくれたおかげねっ!」


 まじか。あれでできたんか。


 その後、クイザも魔道具の起動までは漕ぎつけた。

 あと、起動ができていないのはカホクだけとなった。

 てか、そろそろ地球でいうところの7月に入ろうというところだ。

 座学から始まったとはいえ、いまだに起動までいけない子は結構いる。

 魔道具を使うのは相応に難しいらしい。

 うちの村ではみんな当たり前に使ってたんだけどなぁ。男以外は。


 「悔しい!」

 

 カホクが珍しく感情をあらわにしている。

 何かアドバイスしてあげられたらいいんだけど、僕もわからないからなぁ。

 自分の中で当たり前になってることって、こういう時厄介よね。

 

「仕方ないわね!くれーぷ奢ってあげるわ!レイが!」


「僕かよ!いいよ」


 ふっふっふ。

 最近はポーション製作で小銭稼ぎをしているんだ。

 メリアに案内されたクレープ屋くらいなら奢っても問題ない。

 てか、クレープもやっぱ芽結が広めてた。

 食の伝道師かよ。


 そんなわけで放課後のクレープ屋行きが決まった。

 カホクは最初遠慮していたけど、他の三人(僕以外)の勢いに飲まれていくことになった。

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