第69話 一緒でお願いします
クレープを買うため四人と移動していると、校門で芽結とサクラと会った。
二人は仲良く……ではないか。
サクラはめっちゃ緊張してるわ。
「珍しい組み合わせだね」
「あ、鈴」
二人が気づき、芽結は笑顔で振り向き、サクラは会釈してきた。
「どうしたの?こんなところで」
「え?五人を待ってたんだけど?」
へ?
「あれ?聞いてないの?」
どうやら芽結にはローンが、サクラにはクイザが声をかけたらしい。
「もう二人は?」
芽結のお供にはもう二人いたはずだ。
「二人とも今日はちょっと都合が悪いみたい」
僕の財布的には助かったけど、友達の輪を広げるチャンスを逃したって考えるとちょっと残念かな。
「ハーレムだねっ」
芽結が近づいてきて、ニシシと笑いながら日本語で言ってくる。
「僕には芽結だけで十分だよ」
僕も日本語で返す。
芽結が満足そうな顔で歩き出す。
僕らも歩き出したんだけど、サクラがついてこない。
「どうかしたの?」
声をかけてみると、
「や、やっぱり私がお邪魔しちゃっていいんでしょうか?」
実際に動く段になって怖気づいたらしい。
「誘いたいと思ったからクイザは声をかけたんだから、遠慮したら逆にクイザに失礼になっちゃうかもよ。ね、クイザ」
「わたくし、サクラさんにもぜひと思いましたの」
クイザが少し悲しそうにすると、サクラはハッとした顔をした。
「す、すみません。」
「いこー!いこー!」
シノカがサクラを引っ張って行こうとする。
「サクラが転ばないようにねー」
注意をするとシノカは後ろ手に片手を振ってこたえた。
「みんないい子だね」
「お姉さんぶるね」
芽結が話しかけてきたから茶化してやった。
「実際みんなの倍くらい生きてるからね」
芽結が日本語で話しかけてくる。
そうなんだけど、僕はちょっと気になることがある。
「確かにそうなんだけどさ、僕らは32歳の精神年齢かって言われたらちょっと微妙じゃない?」
僕は年相応くらいなんじゃないかってちょっと思ってるんだけど。
「それはあたしも思う。ラノベなんかだと、肉体年齢に精神年齢が引っ張られるみたいなのはお約束だけど」
「僕は大人になるような経験をしていないからかなーって思ったりしたけど、実際はどっちなんだろうね」
「どっちもかもよ?」
あー。そっか。物事は白黒だけじゃないもんね。
「古代語か何かですかー?」
いつの間にかローンが隣で聞いていた。
びっくりしたあ。
「遠い場所の言葉ってだけで古代語ではありませんよ」
芽結がローンに答える。
師匠曰く、古代語は解析がほとんど進んでいないらしい。
割と難解なのと、残っている資料がほとんど風化しているものばかりだというのも手伝ってのことだとか。
その後も談笑しながらクレープ屋に着く。
屋台ではなく店舗型のようだ。
「7人分まとめて払います。お会計は一緒でお願いしまーす!」
「あいよー」
僕が言うとおばちゃんが元気よく返事してくれた。
メニューはすごくシンプルだ。
日本みたいに種類が豊富だったりはしないみたい。
しかし、ついに……ついに生クリームとご対面か。
「鈴はベリーのクレープでしょ?」
もちろん。
僕は大のベリー好きだ。
ベリー系の何かを与えておけば一日機嫌がいい。
僕が真剣な顔で頷くと芽結が僕の分も注文してくれた。
「ベリー生クリーム2つお願いいたします」
他のみんなはまだ悩んでる。
これはメニューが増えたら大変そうだな。
みんなが何を選ぶかで、好みがわかりそうだね。




