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第57話 問いの意味

「ぬしの例の魔法は、どうやって得た」


 たぶん、雷雲を出した魔法だよね?


「先ほど話しました、地球の知識を利用して開発しました」


「しかし、先ほど魔法が存在しないと言っておったではないか」


「魔法の知識ではなく、『科学』の知識で新しい魔法を開発した……ということだと思います。父上」


「そういうことか……」


 そういうことです。


「ちなみに、この世界にも科学の産物は存在します」


「ほう?何がある?」


「数えだしたらきりがないのですが、例えばコンパスや鍛造なんかもそうですね」


 他にも水車や風車なんかもこの世界にはあるから、これらも科学の産物と言える。


「そも、科学とはなんだ?」


「難しい問いですね。僕は一介の学生に過ぎませんでしたので、科学の定義を答えることはできませんが、僕は『なぜ?どうして?を徹底的に調べる姿勢そのものが科学』だと考えています」


「待て。結界を一度解いてもらおう」


 僕はゆっくり空気の結界を解く。


「わたくしも混ぜていただきましょう」


 僕の後ろにはツキーズ宰相が立っていた。

 空気の結界の影響で視界が歪んでいたはずだけど、王様はよく気づいたな。

 でも、この魔法もあまり長時間維持していると、中の温度が少しずつ上がってくるから、タイミング的にはちょうどよかったかもしれない。

 王様に目で問うと、「よい」との返事がもらえたので、宰相にも話すことになった。

 

 そんなわけで結界を再度貼り直し、先ほどと同じ説明をする。


「にわかには信じられませんな。……いえ、そうでもありませんか」


 どっちだよ。


「確か姫様が7つの時でしたか。急に耳馴染みのない単語を使われ始めましたな」


 思い出すの僕より少し遅かったのか。


「では次に科学についてです。例えば、ニニギ草という薬草の効果をもっと上げられないかと考えた賢者が、経口摂取の方法を模索し、水に溶かして魔力となじませるとしたところ成功。それを他の人にも使えるように製法を広めたのがポーションと聞いております」


 師匠からの受け売りだけど。


「確かにそのように伝わっておりますな」


「うむ」


 ちなみに、今の「うむ」は王様ではなく芽結である。

 こんな状況なのに楽しんでるなぁ。

 あ、芽結にはドライヤーの魔道具作ったの、教えておかなきゃ。

 まぁ、機構はすごく単純だから教える必要もないかもだけど。


「どうしたらいいだろう?から始まり、観察・予想をし、実験・証明を経て共有をし、再現性が確認されているので、ポーションも科学の産物だと僕は思います」


 難しいな。概念の存在しないものを説明するのは。

 それに、僕自身も正しく理解できているか謎だし尚更。


「ではなぜ、その『ちきゅう』とこちらでは『かがく』に差が出るのだ?」


 王様の質問にはなんて答えよう?


「こちらは魔法への科学は進んでいますが、それ以外への興味関心がなかなか沸かない。あちらは魔法がないので、より多くの物へ興味関心が沸く。という面があるのかもしれません。父上」


 僕が答えに窮していると、芽結が援護してくれた。


「あとは、文明が発達してからの年月もあちらとこちらでは違うのかもしれません」


 まぁ、魔法があるかないかの差はおっきい気もするけどね。


「しっかり理解できたとは言い切れぬが、おおよそは理解した」


 よかった。

 

「では次の質問だ」


 ちょっと息が詰まる質問はまだ続くらしい。



★あとがき★


 メリアと夜の番をした時はもっと広範囲に結界を張ったので、温度の上昇は大してありませんでした。

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