第101話 目覚めぬ君の横で -side May-
鈴が眠ってから二日が経った。
あれから鈴は目を覚まさない。
ストレスによって目を覚まさないことってあるんだね。……なんて、そんなことを考えながら現実から少しだけ目を背けてみたりして。
私も結構心に来ちゃったんだなぁ。
鈴は今は静かに眠っている。
最初はうなされていたけど、今は驚くほど静かだ。
穏やかに眠れているならそれが何よりだけど……。
「そんなわけ、ないよね」
鈴がどれだけあの子のことを思っていたか。
それをあんな、あんな方法で死者が弄ばれるなんて。
アルソから話を聞いた時、私でも強い憤りで目の前が真っ暗になった。
鈴の衝撃はどれくらいだっただろう?
そっか。
静かに眠ってるのはもしかして、これ以上のストレスを受けないように脳が身体機能をシャットダウンした……とか?
確か、うつ病になると脳が感情やストレス、システムなんかをシャットダウンするってどこかで聞いた気がする。
そういう状態なのかもしれない。
仮にそうなら、まだたとえ目覚めなくてもこのままゆっくり快方に向いていってくれたらいいな。
でも――
「鈴がここに居ないと寂しいよ」
涙がポロリとあふれ出た。
鈴が目を覚ますかどうかはわからないらしい。
ここにもずっとお邪魔するわけにはいかないし、そうしたら馬車で護送かな?
ブイニシャ国王は恩人のためならと言ってくれるけど、いつまでもそのご厚意に甘え続けるわけにはいかないよね。
「おーい。鈴。いつまでも眠り姫してると、私が王都まで王子様のように……はこっ……運んじゃう……っんだから」
最後はほとんど声にならなかった。
涙がとめどなくあふれ出す。
コンコン。
ノックの音に慌てて涙を拭く。
「はーいどうぞー」
声でバレてるだろうけど、多少は体裁を整えないと。
ノックの主はレッタだった。
「いい加減寝てください。メイ様」
「でも……」
「でもではありません。我々の立場も考えてください」
そういわれると弱い。
「そう……だね。じゃあ、少しだけ見ててもらおうかな」
「少しなんて言わないでちゃんと休んでください。レイが目覚めたらすぐに起こしますからね」
そう言ったレッタに頷いて部屋を出ようとした時、レッタに呼び止められた。
「メイ様。レイは大丈夫ですよ」
その友の心遣いに、私の目頭はまた熱くなった。




