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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 夏休みの雨編
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第94話 しっかりと考えておいてね

 汗を流した後はお風呂だ。

 旅館ではないし、大浴場みたいなものはない。

 というか、ログハウスなので浴室はない。

 何とお風呂は外だ。

 外とは言ってもさすがに大自然の中入るわけではなく、ログハウスとは別の建物だ。

 こちらも木でできている。

 浴槽はくりぬいた岩石に水を張って、火の魔石でお湯にするらしい。

 岩石の湯船の底には簀の子が敷いてある。

 直接火で熱したりするわけではないから火傷の心配はないけど、お肌を傷つけちゃうからね。

 

 本当は魔石で水を温めるんだけど、今回は僕がいるから僕にやらせようってことになった。

 貴族なのにすっごく節約志向!

 そうです。僕がタキンチ村の給湯器、(レイ)です。


「それはさすがに無理があるよ。鈴」


 僕もそう思う。


 一応順番は貴族の位の順番で入ることになった。

 まずは芽結とローンからだ。

 ふたつの浴槽の間はパーティションで区切られている。


「あたしはぬるめでお願いね」


「わたくしもー」


「はーい。少し待ってね」


 ゆっくりと芽結のお風呂をお湯に変える。

 手で温度を測って芽結に声をかける。


「芽結の方、あったまったよー」


「ありがとう」


 次はローンの方だ。

 パーティションの向こうに回ってローンの浴槽が置いてある方へ……ギャーーーー!!


「ちょっ!なに、なにしてんの!?」


 ローンは???みたいな顔をしてるけど、こっちがしたいよその顔。

 

「まだ脱衣所の方に居てよ!」


 いくら浴衣とは言えびっくりするわ。

 僕が声を上げるとパーティションの向こうで芽結がクスクス笑う。

 さては知ってて放置したな?


「第二婦人がローンなら不満はないよー」


 ダメです。

 他の女に現を抜かすのは裏切り行為だし、何より僕は小市民なのだ。

 ハーレム形成するような甲斐性はない。

 そんなわけでローンには一度脱衣所に戻ってもらう。


「でもさー現実問題、鈴は第二、第三婦人を娶ることになると思うよー」


 僕にそのつもりはないんだけどなぁ。


「鈴の心の問題じゃなくてさ、国防的な問題でね」


 ローンの方の湯船の水を温めながら僕は口をへの字に曲げた。

 また国防か。

 僕の意志はどうなるんだろうか……。


「父上はたぶん、大丈夫だと思うけど、ツキーズが言い出しそうなんだよねー」


 ああ、宰相閣下か。


「無理強いはしないだろうけど、色々理由をつけて勧めてくるとは思うよ」


 うげえ。

 

「受けるにしても断るにしてもさ、あらかじめしっかりと考えておいてね」


 わかったよ。

 さて、そろそろ頃合いだしローンを呼ぶか。


「お待たせー。もう入……れ……うわああああ!」


 今度はちょうど上半身をはだけたところだ。

 後ろ姿だからセーフだけども!


「浴衣ちゃんと着て!僕がまだいるんだよ?」


 僕は横を向いて目を閉じてローンに告げる。

 ひたひたとローンが歩く音が僕の横を通り過ぎる。

 ――ふう。


「ありがとうございますー」


「ぎゃーーーーー!!!」


 耳元で声がして、ただのお礼に僕は再び悲鳴を上げたのだった。

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