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異世界魔法、観察してみたら  作者: 猫チュー
第二章 夏休みの雨編
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第93話 『腰を入れる』とは

「それにしてもみんな浴衣似合うね」


「今更?」


 芽結さんきびしーい。

 だって他の事考えてたりボコボコにされたりしてて見てなかったんだもん。

 地味な浴衣だけど本当にみんな似合ってる。

 特にアルソなんかはめっちゃ雰囲気出てるわ。

 

「よく浴衣なんか用意できたね」


「木綿が用意できたからね」


 そっか。これの素材って木綿なのか。

 まぁ僕は木綿が何なのかよくわかってないんだけども。


「木綿はワタから採った繊維を織った布のことだよ」


 芽結が僕の前に座る。

 あの……。

 浴衣って歩いたり座ったりすると足が見えてドキドキしますね!


「……」


 ナンデモナイデス。ハイ。

 

「あーでも楽しかったなー」


 終始ボコられてただけだけど。


「私も楽しかったです!」


 珍しくサクラが興奮した様子で感想を言う。

 そんなに楽しめたならボコられた甲斐があるってもんだね。

 普段しっかりお嬢様やってるから、こうやってなかなかはっちゃけられないのかもしれないね。

 

「わたくしの枕は飛びませんでしたわ」


 クイザの言葉にローンがうんうんとうなずく。

 うーん?

 基本的には筋力不足かな?

 そこまで重い枕でもなかったしね。


「それでも足りない筋力で何とか投げたいんだったら物を投げる時のフォームをよくするしかない……かな」


「ふぉーむ?」


「動作には、もっとも効率的な動きや姿勢があるんだよ」


 何人かは理解した表情をした。

 さすが、君たちすごいね。


「外旋、内旋。回内、回外。あとはいわゆる腰を入れるって動作をうまくやれるようになるとだいぶ違うかな?」


 腰以外のは握力の関係で枕が手からすっぽ抜けそうだけど。


「それで通じると思ってる鈴が怖いよ」


 ごもっとも。


「その場で物を投げるのと、走って投げるのだと違いってあると思います?」


「走って投げた方が遠くに飛ぶだろうな」


 レッタ先生正解。

 速度も増加するけどね。


「力に、同じ方向の別の力を加えると加算されるんですよ。こうやって走った時の力と、投げる時の力が合わさるってことね」

 

 僕が実演するとみんなふむふむとうなずく。


「仮にさっき言った腰を入れるって動作だと、まず左半身(ひだりはんみ)になって、膝と肩の力を抜く。足を地面から離さないまま正面を向こうとして体をひねると、腰と肩ってどうなる?」


 僕が聞くと、各々自分の体で試してみ始める。


「遅れて腰、更に遅れて肩、そして腕の順に同じ方向についてくるね」


「カホク正解!その動きに更に腕の投げる力も加えるとどうなる?」


「力が合わさる!」


 僕はシノカにサムズアップする。

 男はこれを理論ではなく無意識にやってる人が多いんだけど、女性はできてない人が多いんだよね。

 腕の動きも旋回させる動きじゃなくて砲丸投げみたいな動きで投げちゃうのもあって、物を投げるのが苦手なんだと思う。

 でもメリアとアルソはさすがというか、できてたけどね。


「それが腰を入れるって動作ね。物を投げる時だけじゃなくて剣を振る時とか、色んな場面で使える動作だから覚えておくといいよ」


 メリアやアルソも、仮に理論でわかっていることではなかったとしても、ちゃんと理論で理解することには意味がある。

 より効率よく体を使えたり、自分の体を操りやすくなったりするからね。


 ――と、


 パフッ!


 横からの衝撃。


「飛びましたー」


 ローン。君か!

 まぁ、少しでも君が飛距離を伸ばせたならよかったよ。

 しくしく。

 「腰を入れる」を論理的に表現している作品って、漫画であるとか小説であるとかに限らず実はあんまりない気がします。

 少なくとも僕は見たことがないのでしっかりと表現してみました。

 あと、「腰を落とす」と混同されているパターンもよく見る気がしますね。

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