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第七十七章 雨中からの贈りもの 4.Over the Rain Bomb(その1)

 ~Side ネモ~


 そんな事を熟々(つらつら)と考えながら、また、祖父ちゃんと言葉を交わしながら歩いていると、やがて塩川本流との合流点に着いた。本流の流れが速いから、弟妹(チビ)たちは合流部の手前でお留守番だ。


 本流の水位は少し高くなってるが、水害を心配するほどのレベルじゃない。


「取り越し苦労じゃったかのぉ……」


 安心したような残念なような、そして、まだ疑いを(ぬぐ)いきれないような声で、祖父ちゃんがそう(つぶや)いた時だった。


『マスター おおみずが くるよー』

『――っ!』


 ヴィクの警告を疑う理由は無い。即座に【眼力】を発動して、川上に目を()らしてみたら…………シィットォッッ! 鉄砲水が一気に川を駆け下って来てやがる! 上流で土砂ダムか何かが決壊したか!? 糞っ! 長雨のやつめ、(ろく)でもない爆弾(bomb)を残していきゃあがって。


「祖父ちゃんっ!」


 それだけ叫んで引き返すと、祖父ちゃんもただ事じゃないと察したんだろう。余計な口を利かずに後を追って来た。


 塩川本流を駆け下る鉄砲水なんざ、まともに相手してられるかってんだ。俺たちが防がなきゃならないのはその一部、支流を遡って塩害をもたらしそうな分だけだ。

 合流点の少し手前、遊水地の候補地として目を付けていた場所まで駆け戻ると、そこで鉄砲水を迎え撃つ事にする。


「ネロ! ネイラ! 準備しろ!」

「「うん!!」」


 何の準備か――なんてのは言わなくても解る。魔法の準備に決まってる。家を出る前にも話してたしな。


 祖父ちゃんが駆け戻って来たのに少し遅れるタイミングで、忌々しい濁流がこっちへ向かって来やがった。本流の鉄砲水に較べりゃ大分ささやかだが、湿地に悪さをするには充分な規模だ。

 俺はそいつを――


「【施錠(ロック)】」


 濁流の先端部から合流点付近までの水を、【施錠(ロック)】で固定してやった。

 まぁちっとばかり魔力は使ったが、冬休みに雪崩(なだれ)とタイマン張った時に較べりゃささやかなもんだ。『一人(ワンマン)城壁(ウォール)』の称号は伊達じゃないぜ。……祖父ちゃん、何も溜息を()(こた)無ぇだろう?

 固めてやった水が好い感じに水路を塞いでくれて、新たな流入は防ぐ事ができてる。けど、さすがにずっとこのまんま……ってのはきつい。

 だから……


「ネロ! ネイラ! 土魔法で河床(かわどこ)持ち上げて水路を塞げ! 急ぐんだ!」

「「はい!!」」


 俺が水を固定してるせいで、土を被せて水路を埋めるって手が使えない。……土は固められた「水」の上を滑って落ちるだけだろうからな。

 だから……代わりに河床(かわどこ)自体を隆起させてやる事にした。これなら固まった「水」も一緒に持ち上がるからな。流入ル-トを封鎖するにゃ持って来いだ。


 あとは弟妹(チビ)たちの土魔法で堤防でも(こさ)えてやりゃあ、当面の浸水対策になるだろう。水路の再接続は、鉄砲水が収まってからやりゃあいい。


 固めた「水」の方は、俺が水魔法で本流に運んで、【施錠(ロック)】を解除すりゃ一巻の終わりだ。訓練の一環として、水の運搬は弟妹(チビ)たちにやらせる事も考えたんだが、俺が【施錠(ロック)】で水に干渉してる間は、弟妹(チビ)たちの水魔法は通じないんだよな。俺がやるしか無いわけだ。弟妹(チビ)たちの訓練は別枠でやる事にしよう。


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― 新着の感想 ―
〔【ググり】を見ただけからの予想と感想〕……米が甘くなる程度の被害で済めば良いですね
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