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早朝より、私を会議場まで安全に誘導するという目的で各国の使者が出向いていた。
眠気眼の私を見て、ため息を漏らすカフカスとミュール。
クスクスと笑い、世話を焼こうとしてくるライラを押しのけ、目の前に現れたのはフロントだった。
「妹に勝手に触れるな。どこの国もだ。」
「フロント、私は大丈夫だから、皆と話をしないと進まないでしょ?」
「今回の国王側の会議で裏から手を回し、リポネームを攻撃したことをアクアムは悪びれる事も無く認めた。目的はサンスだ。」
「私はまだ、あの時点では国に入っていませんでしたが?」
首をかしげる。
するとミュールが
「カルミナよりケティーナの方角へお前が逃走したと言う話はすべての国に回っていた。それで私は適当な理由でお前を拘束した。」
「適当な理由……!」
「気にするな。」
「気にします。」
翻弄されていたことにため息が出てしまう。
「まあ、蓋を開ければ別の意味で罪人にするつもりだったがそれ以上の成果を出してくれたのが結果だ。我が国で流行り病を治した話はすぐに回るのは目に見えていた。腕のいい薬師の旅だ。しかも次は砂漠を渡る。手助けの要請をするのは目に見えている。」
「アクアムは、ウィーンドミレがお前には特に用事はなく、グリゼオと解れば毛嫌いする汚れた種族。右から左に流すだけ、最短で一週間で砂漠が渡れることは同盟国だ、知っているだろう。そうなれば一か月でだいぶリポネームにもなじんでいることを襲う作戦だったんだろう。」
カフカスはそう言いながらアクアムの使者を見た。
「アクアムの行動は法を犯している。今までの事から離国処置が下る可能性もある。」
「そこまでしなくてもよいのではありませんか?」
「ドラドラをあそこまで苦しめられたんだぞ。いいのか?」
背後の声に振り返る。
ユウダ様が先ほどの私のように眠気眼のドラドラを連れて来てくれた
。
「探しているようだったからな。」
「ありがとうございます。」
にっこりと笑ったような顔を見せると腕の中で納まるように眠り始めた。
確かに、ドラドラに使ったあの不思議な光線の武器は許せない。
でも、それはそれだけ竜王を恨んでの行動。
理由なしに行った事ではない。
竜王に近いグリゼオだから私は狙われた。
連鎖に巻き込まれただけだ。
「そろそろ移動しよう。ヒヒがうるさくなる。」
カフカスが睨む。
その先にはニシキ様がいる。
「あいつには言わないといけないことがあるからな。」
「言わないといけないこと?」
私が聞き返す。
すると、ユウダ様の肩に肘を乗せ、その顔を覗きこんでいた。
「な。」
なんて言うだけで何の話かは分からなかった。
「サンは私たちと行きましょう。」
サンゴ様とワモン様に両腕をつかまれ、強制的に歩きだされる。
いつもの事だ。それに、各国の使者もついてくるようで、ちょっとした見世物のようだった。
会議場へ入ると、昨日とは違う円形会議室。国王たちが会議を行う場へ連れてこられた。中からは声が聞こえ、すでに会議は始まっているようだ。
「奴隷法の違反により、ウィーンドミレの解体を命じる。」
「ふざけるな。何が法だ。薄汚い家畜と小汚い混ざり者が決めたような法律に純粋なポプルスである我々がなぜ従わなくてはならない。」
「ほかにも、古来人間が決めた神聖なティアリサム山への無断侵入。」
「もともとは我が国の領土だ。勝手に化け物が国土と言い張っているだけだろう。法律違反は向こうだ。」
「御託はいい。今後は政権を解体後第二王子が我々の指導の元、新たな国造りに奮闘してくれると約束をしてくれている。」
「どういうことだ!」
会議中の中からではなく、外の廊下から大きな声が響いた。
「バーバリはどこだ!」
アンゴラ様の声だ。
そのほかにも数人の声が聞こえてくる。
彼をなだめるのに必死のようだ。
そして、アンゴラ様の声に気がそれ、中断していたのだろう中から再び声が聞こえてきた。
「この場を持ちまして宣言いたします。わたくしバーバリは本日よりカルミナ、リポネームとの同盟を宣言します。並び、独占状態となっていた国内の水源より、川の整備を行い、乱獲の続く野鳥の保護に全力で取り組むと共に、海上保安をカルミナより学び密入国者を排除いたします。そして、この後の議題で有りますグリゼオの少女に今までのウィーンドミレが行ってきたことを謝罪し、グリゼオと一切接触せず、ティアリサム山へ二度と侵入しないことを約束します。」
バーバリ様の宣言の最中、何度か椅子を引きずる音が聞こえた。
アンゴラ様同様、ウィーンドミレの国王も暴れているのかもしれない。
「そのほか、奴隷問題、闘技場につきましては改善し次第報告いたします。」
「頼みましたよ。」
聞き覚えの無い女性の声がした。
「ツンドラ様だ。」
フロントが教えてくれた。
「よかったな。後は山からお前みたいな奴隷を捕まえてくるこいつらだな。」
そう言ってスカーレット様と睨み合うのを見て、
「今後はもうしないって約束してくださいますよね。」
と、彼女に聞いてみる。
「わからない。女王のグリゼオを手中に収めたいという欲がどこまでのものなのかは計り知れないからな。」
約束はしてもらえないようだ。




