前へ目次 次へ PR 25/31 二十五話:壁 就職が決まって引っ越した。それはいい。問題は壁が白いことだ。整理と称してポスター諸々を剥がすことを求められたので実家の自室の壁も裸になっている。逃げ場がない。今日もため息をついて消灯する。布団に入る。固く目を瞑る。祭り囃子が聞こえはじめた。薄く目を開けて確認する。壁のなかに百鬼夜行がいた。昨日は壁のなかの貞子に見つめられ、一昨日は老婆に焼かれていく菓子の匂いで寝れなかった。これだから白い壁は困る。