ずっと仲良くしましょうと
『それだけのダメージ……もうアイスブランドは使用できないでしょう』
相変わらず鳴美の声は刀から聞こえていた。それを握っている沙織さんは肩幅ほどに足を開いて仁王立ちしている。瞳は緑色に染まったままこちらも微動だにしない。
ややあって、沙織さんの左手が動くと刀を屋上に突き立てた。待つこと三秒、芸術品のような美しさの刀は姿が揺らめくとセーラー服姿の鳴美と変わった。それに連動して沙織さんの瞳も黒く変化したが瞬きも忘れぴくりとも動かない。
鳴美の腰に付けられた鈴がチリンと小さな音を立てた。
「おかしい、鳴美の瞳は黒だろう」
「世の中にはカラーコンタクトという便利なものがあるのですよ」
鳴美はメガネを外して投げ捨てると、右手で自分の目を覆っていた。改めて瞬きした鳴美の瞳は暗闇に光るエメラルドグリーンだった。
メガネも伊達だったとはな、全国のメガネ萌えに謝れ。
しかし沙織さんは鳴美が擬人化したにも関わらず、仁王立ちを継続している。そのほっそりとした顎に鳴美は指で触れた。
「先ほどは剣の分際で大変失礼なことをしました。お許しくださいご主人様……」
その言葉は心の底から思っているように聞こえた。何一つ偽りがなく心底沙織さんに尽くそうとする献身が伺える。丁寧な上の揶揄や侮蔑は何一つ込められていない。
「鳴美にとってご主人様なのか?」
「そう……わたしは最初に作られた宝剣。そしてそれはご主人様の父親である丸目幸之助自ら手渡された」
「なぜ、自分の娘を参加させた」
「決まっているわ、あの男は自分のために娘を利用したのよ」
一転、鳴美は怒りを込めて目尻をつり上げた。静かながら憤怒の表情に見える。
「幸之助のありとあらゆる欲を実現するためにご主人様にわたしを託した」
「兄貴の方では無いのか?」
「丸目三郎は正当な跡取りとしてこの件とは何の関わりも持たせていないわ、わたしとしてはここへの門番として働いて貰ったけど役立たずだったようね」
それなりに役にたっていたぜ。しかし鳴美には興味が無いのか話を続けた。
「丸目三郎に比べるとご主人様は不要な子供なのよ、幸之助にするとね」
生徒会室で丸目に聞かされた沙織さんの立場が思い出される。それと共に右脇腹がぎりぎりと痛んだ。
「不要な娘でも、いや不要な娘だからこそここで役にたてとばかりに参加を強制させられた。
さらにわたしに向かって言った、必ず勝ち抜けと、そしてご主人様にも命令した、どんなことをしても優勝しろと。
今日までこの家で育ててきた丸目家に恩返しをせよと詰め寄った、ウイナーとなって丸目一族を永遠に反映させる望みを告げよと強制した。ご主人様はとても辛そうにうなずいておられたわ。
きっと幸之助の目にはご主人様は忠実な奴隷のように見えていたのでしょう。しかしあれは大きな勘違いをしている」
「それはなんだ?」
「わたしはご主人様の忠実なしもべ……けっして幸之助の奴隷ではないわ」
鳴美は目を細めると穏やかなほほえみを浮かべ沙織さんの頬と自分の頬を合わせていた。
「ご主人様は剣に過ぎないわたしにとても優しかった。人間の言うところの姉妹のように接してくれた。そしていろいろなことを教えてくれた。
動物のこと、花の名前、綺麗な衣服、とてもおいしい料理。
あの男に剣以外何も期待されていなかったわたしにとってそれは全て不要のものだった。あるじであるのになぜそんなことを教えてくれるのか不思議だった。
しかしご主人様はリア充を狩ることよりわたしが人間の女の子として知識を深めていくことに喜びを示していた。
そしてはっきり言ってくださった、わたしのことを妹だと、ずっと仲良くしましょうと」
鳴美はゆっくり瞬きすると頬を離し沙織さんの少し乱れたセーラー服を直す。
「想像されて以来、ものとしてしか扱われなかったわたしにとってご主人様はもっとも愛すべき存在なのよ」
「しかしおまえは成長している……それはリア充を狩ったとでも言うのか!」
鳴美はフェンスの外に目を向け何かを思い出すように語り始めた。
「あれは一月四日だったわ。ご主人様は中学時代のご学友が自宅で飼っていたシベリアンハスキーが大きくなりすぎて、飼えなくて困っていると聞き邸宅で引き取れないかとそこに訪れた」
「しかし、沙織さんの柴犬は邸宅で飼えなかったぞ」
「きちんとした血統賞もある犬だと聞いていたから幸之助も受け入れると思っておられたのでしょう。
二人でおそろいの和服を着て、ご主人様はその犬種がどれほどに美しいのかをわたしに話してくださいました。
そしてその家が見えた頃、ご主人様は見てしまった。以前かわいがっていたモルモットを死に至らしめた友人の女が、言うことを聞かないハスキーに暴行を加えているところを。
ご主人様は止めました。しかしその女は鼻で笑ったのです、たかだか犬に何をと。そのとき、ご主人様はこうおっしゃいました」
いったん言葉を切った鳴美はまるで沙織さんのしゃべり方を真似るように口を動かした。
「許せないと」
鳴美の瞳が鋭くなる。まるで自らが返信する日本刀のようだった。
「わたしはご主人様を侮蔑する女が許せなかった。だからご主人様の無意識に働きかけわたしを剣化すると殴られているハスキーに復讐の機会を与えた」
「そうか、それが千葉の言っていた友人がハスキーに噛まれたと」
「そう……そしてそれでもわたしはレベルを上げることができた。もちろんご友人を傷つけてしまったことにご主人様は気をやんでいました。ですからわたしはかわいそうな犬を助けることでレベルが上がり、わたしも成長するのだと教えて差し上げたのです」
「すると美代子を襲った犬も、町会長のジルベールもそうなのか?」
「ええ……荒木さんにケガを負わせてしまったのは事故ですがそれでもかわいそうな動物に虐待を加えるリア充を、飼い犬をもって襲うことでわたしのレベルはアップしたのです」
「では、八番目の被害者を襲ったのもおまえなのか!」
「違いますよ、わたしはHIMOTEともリア充とも直接闘ったことはありません。ご主人様がそれを許しませんから。八番目の被害者はあなたのお友だちである伊藤くんがアイスブランドで狩ったものです。ただしあの女に伊藤君を誘導したのはわたしですけど」
「なんだと?」
「あなたと以前のHIMOTEとの戦いも見せていただきましたわ。あれほど大きな騒ぎになって幸之助は驚いていましたから。全く小心な男です。ご主人様の父親を名乗る価値など微塵もありません」
するとあのとき遠くにいたコートの女は鳴美だったということか。
「さあ、口上はこれぐらいにして闘いましょう」
鳴美は右手を俺に差し出して誘うように指を動かした。
「まて、鳴美は沙織さんの望みを知らないのか、彼女は……」
「ご自分の存在を過去に戻って消し去りたい」
彼女は静かに静かにそう告げた。やはり剣だけあってその考えを読んでいるのだろう。
「それがどういう意味か判っていないのか!」
「判っているわ……でもご主人様が心から望むなら」
「おまえに真から優しくしてくれたのだろう、妹のように思ってくれたのだろう、その沙織さんの存在を消してもいいと言うのか!」
「だからこそ思う、わたしはどうでもいいの。もっとも愛するご主人様が心底願うのならそれを成就させるためにわたしが存在する、それが剣のつとめだから!」
彼女は胸の前で腕を重ねると瞳を閉じた。
「さあ、あなたも剣を呼びなさい。こざかしく愚かで醜い丸目一族が始めた最高の舞台の上で、最後の演舞を始めるとしましょう。わたしたちは最後に残った戦士なのですから」
鳴美は跪き自らの頭に沙織さんの右手を誘導した。
「この世でもっとも美しいご主人様……わたしにご命令を与えてくださいませ」
「我HIMOTEとして命ず、我が刃となれ第一の宝剣、神鳴丸」
沙織さんの歌うような言葉が屋上に響いた。すると彼女の全身が緑色に輝き瞳がエメラルドと化し、細くて華奢な右手に不似合いな日本刀が握られていた。
それを両手で保持すると中段に構えて俺を見る。チリンと柄尻の鈴の音が聞こえて来た。
こうなったら闘うしかない、俺はペンダントを握った。
屋上に四人が召喚されたがアイは正座しておらず床に伏している。刻印への攻撃で剣化はおこなえないのだろう。
「兄ちゃん、出番や」
「わてらなら何とかなりまっせ!」
足取りはおぼつかないがトラ縞と豹のコスプレが俺の左右に近づいた。予想できる属性を考えたら選択肢はそれだけだ。俺は右手をアルの頭に、左手をエルの頭に乗せると大きな声で叫ぶ。
「我HIMOTEとして命ず、我が刃となれ第三の宝剣、ツインランサー!」
すると両手にずっしりと重量がかさむ、それが全身をつつみふっと軽くなると目の前が琥珀色になった。それが開けると俺は両手に二メートルの槍を持っている。
『兄ちゃん、神鳴丸は大気の属性や!』
『優位は火炎、弱点は冷気、相剋はわてらや!』
判っている、だから真っ先にアイの刻印を消したのだ。
俺は頭上で槍を振り回す、そしてアルの切っ先を沙織さんに向けた。
相手への射程ならこちらの方が長い、俺は大介のやり方を思い出し穂先を沙織さんの鳩尾に向けて突き立てようと踏み込んだ。
しかし目の前でぱんっと乾いた音がすると刀の切っ先は俺の目の前にある。
左に大きく身体を反らしてそれをやり過ごしたが二人がすれ違う瞬間、彼女の手の中で鍔が鳴る音が聞こえた。
沙織さんの細い腰が回転し長い髪が揺らぎ、緑色の細い刀身が切り返しで上段から袈裟懸けに振り下ろされた。
俺も腰をひねる、足首が急な方向転換に悲鳴を上げたが、槍を両手で目の前に持ち柄で刀身を抑えた。
ものすごい力だ、神鳴丸の刃がツインランサーの柄をがりがりとこすりながら俺に向かって押し込まれる。これが沙織さんの力だっていうのか? 切っ先は俺の頭ではなく右肩、第三の宝剣の刻印を狙っている。
“闘え戦士よ! 刃を交えよ”
またこの声か、いい加減にしろよ!
無理な体勢に踏ん張りがきかない、俺は右手をはなして刀を滑らせた。できうる力で後方に飛んでむやみやたらに槍を振り回す。暗闇の中に琥珀色の軌跡が円を描いている。
沙織さんは刃の方向を一八〇度回転させる、鈴と鍔が鳴る音は同時だ、刀が緑の残像を描きつつ下段から一気に切り上げてきた。
柄で受け止めては真上にはじかれる、俺は上体をそらしたが切っ先は俺のトレーナーを切り裂いた。
しかも刀は俺の左肩口を抜けそのままツバメ返しに綺麗な弧を描くと右肩に振り下ろされる。
俺は身体を左にひねりつつ槍の穂先ギリギリを右手で握り、片手で彼女の腹に突き立てようとした。
刀が俺の右腕を叩く、トレーナーは肩から肘までがそげ落ちた。俺は左手を槍の中央に添え彼女に向かって繰り出す、エルの切っ先がセーラー服に触れたと思った瞬間彼女はモーション無く真後ろに三メートルは飛んだ。
二人の距離はお互いの制空権から離れている。俺は槍を突き出した姿勢で、沙織さんは刀の背を右肩で担いでこちらを見ていた。
信じられない、沙織さんはここまで動けるのか? まさか丸目の親父さんに変なチートを仕組まれていないだろうな。
“どうした戦士よ、刃を交えよ!”
うるせえよ、こっちはそれどころじゃないんだ!
沙織さんは微動だにしない瞳で俺を見たまま立っている。肩が細かく上下しているので息を整えているのだろう。
『三人のHIMOTEをお相手にしているだけのことはありますね。ではこういった攻撃はどうでしょう、羅刹豪雷[らせつごうらい]!』
鳴美の声が響く、沙織さんは刀を胸の位置で持ち切っ先を真上に向けた。そしてチリンと鈴が鳴る。
『兄ちゃん、うちを地面に突き立てるんや!』
俺はその声に応えてコンクリートの床にアルの穂先を突き立てた。
『ゴルダンスィグラナァスゥ【金色の針】』
エルの穂先が音をたて金色のリングが取り巻いた。それと同時に神鳴丸の刀身が真っ白に輝いたかと思うと俺に向かって稲光が襲う、空中をジグザグに飛ぶいくつもの光はほとんどがエルの穂先に集中した。
だが残りは俺の左腕に落ちる、今度はトレーナーの左肘から先が粉砕した。
そうか避雷針か。これが相剋に当たるわけだ。
「しかし全部は吸収できないのか、左手がしびれるぞ!」
『無理や、あっちの方がレベルが上やから、わてではこれが限界や!』
『それでも相剋の力、侮れませんね……ではこれはいかがでしょう?』
鳴美の言葉と同時に沙織さんが踏み込んだ。俺は右肩を守るために槍でカバーするように構えたが、刀の切っ先が狙っているのは左の肩だった。
そちらには何もない、しかし沙織さんの動きは途中で止まる。神鳴丸の切っ先は俺の左の耳たぶにわずかに触れている。
『誘眠幻想鈴音[ゆうみんげんそうりんね]』
チリン……鈴が鳴る、その音が刀身に伝わって俺の耳の中で反響する。
チリン、チリン、チリン――小気味よく聞こえるそれ、なぜか、俺の感覚が……
『あかん! 兄ちゃん、これは神鳴丸の心理攻撃や、催眠攻撃や!』
『あの鈴の音を聞いたらあかん、寝てまうで!』
しかし俺の身体は言うことが利かなくて目の前が白く……
§
「英雄」
……ここはどこだ? 俺はどこに居る。
清潔そうな部屋の中、どこからか初夏の風が吹き込んで白いカーテンを揺らしている。窓の外には青空が広がり部屋の中はとても明るい。
「英雄」
もう一度女性の声で俺は呼ばれた。振り返ると上半身を起こした母さん……柴田美春が俺をじっと見ていた。長い髪は一本の三つ編みにまとめられ右の肩口から胸に流れている。
一ヶ月の入院生活でやややつれているがそれでも俺を見る目はいつもと変わらない。
〈これは五年前の記憶〉
「なんだい母さん」
俺は母さんの声に答えて近づいた。身体が楽になるようにベットを起こすと毛布を少しめくってあげる。サイドテーブルを足の方向に移動した。
「今日はお天気が良いわね」
「ああ、梅雨の前の快晴だってさ。そろそろ窓の外は雨になるかな」
「そう……お父さんから連絡はあったかしら?」
親父のことを出され俺はむっとする。その表情を読んで母さんは小さく笑っていた。
「その様子だと連絡は無いみたいね」
「あの放蕩親父が! 母さんがこんななのに連絡もしないで」
「いいのよ、お父さんは遺跡調査というとても大切な仕事をしているのだから」
「昔のものを掘り起こしたって何が偉いんだか……」
「今は過去の積み重ねよ。古くからのことも良く知らないで未来を築けないわ」
「いや、親父は人間としての根本が間違っていると思う」
〈辞めてくれ……この記憶を掘り起こすのは辞めてくれ!〉
母さんは俺の言い方がおもしろかったのか小声で笑っている。
「ふふ……そう言えば美雪はどこかしら?」
「購買部にお菓子を買いにいっているよ」
「英雄、あなたは立派にお兄ちゃんになれたのね」
母さんが何を言いたいのか判らず小首をかしげていた。
「あなたのお母さんになったとき、わたしは美雪とあなたが仲良くしていけるか少し心配だったわ。だって美雪はとても人見知りでお友達も作れなかったから」
「俺もきちんと話ができるようになるまで二年かかったからね」
母さんはそのときのことを思い出してかふっと笑ってみせる。
「でもね、白猫のシロが亡くなったとき、英雄は美雪を心配してくれた。困っている人が居れば見過ごせない、その姿を見て安心できたの」
「だってさ、妹じゃんか」
「美雪ね、あの子はわたしがここに入院してから小学校のお友達とお見舞いに来てくれたのよ」
母さんはそれがとてもうれしいのだろう、病気の苦しさを打ち消すような明るい表情を自然に向けてくれる。
「そっか、クラスでも仲良くしている子がいるんだな。俺も安心だ」
「美雪がね、お友達に英雄を自慢しているの。自分にとってのヒーローだって」
俺はどこか恥ずかしくてうつむいたまま鼻頭をかいていた。
「ありがとう、英雄」
「何を今更」
「一つ聞いてもいいかな」
母さんはほんの少し眉を顰めて俺を見た。
「何だよ、改まって」
「あなたの本当のお母様とわたし、どっちが好きかしら?」
意外な質問だった。今までに母さんからお袋の話題を持ち出されることは無かったからだ。
「あなたの本当のお母様はとても綺麗で……平太郎さんにとって自慢の妹さんだったのよ。さりげなく褒められていた妹さんをうらやましく思っていたわ。それからわたしがあなたの母親になるに当たって不安だったわ、もしかしたら比べられるのではないかと」
母さんは確かに不安そうな表情を俺に向ける。そんな顔は似合わないから辞めてくれ。
俺はふうとため息をつくとこう答えた。
「俺が八歳のときに死んだのはお袋、俺の目の前に居るのは母さんだよ。俺はどっちも同じだけ好きだし二人とも本当の母親で偽物ではない」
「ごめんね……変なことを聞いて」
「俺には二人の母親が居る。父さんのことは覚えていないし親父はちょっとあれだけど、お袋と母さんの家族でよかったと思うよ」
その答えに満足したのか母さんもふっと笑って見せた。
「ありがとう、英雄」
しかし母さんの顔から赤みが消えていく。この光景は以前見たことがある。命の火が消える直前の雰囲気を母さんはまとっている。
〈見せるな、俺にこんなものを見せるな!〉
「母さん?」
「お兄ちゃん、あんまりおいしそうな和菓子が無かった。今度、お土産に……」
病室にのんびりと入ってきた美雪、俺はあいつの顔を見た。
「美雪、早く来い、母さんが!」
美雪も俺の声と表情に何が起きているのか察したのか、手にしていたレジ袋を落とすとベットに駆け寄った。
「お母さん、お母さん、どうしたの!」
「美雪……あなたは強く生きるのよ」
ほんの少し開いた瞼から母さんの瞳が見える、それは美雪と俺の顔を見ていた。
「お母さん、お母さん!」
美雪がベットにすがりつく、俺はあのときと同じようにナースコールを押した、押した、押した!
〈辞めろ、俺にこんなものを見せるのは、辞めろ!〉
「あるじ様、危ない!」
そのとき頭中に鳴り響くレイの声のあと、目の前が再び真っ白になった。
視界が戻ると目の前に迫る切っ先、ぐらりと揺らいだ俺の身体、覚醒する意識。
次に自覚できたのは左の肩に食い込む神鳴丸とそれが与える激痛だった。




